化け物殺人事件 〜フランケンシュタインの化け物はプロメテウスに火を与えられたのか?〜

あっちゅまん

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プロローグ

序章 ~prologue~

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 この世には、化け物と言われる存在がいる。



 それは、ひっそりと、または大胆に人間社会に溶け込み、人を凌駕する危険な種も存在する。



 人類の天敵とも言える存在。だが、その個体数は非常に少なく、それらはひっそりと人間社会の闇に溶け込み、今日も人を殺めているのだ。



 あなたのすぐそばに、そいつは現れるかもしれない……。





 私の名前はジョシュア・ジョシバーナ(叙朱亜・序司華)、かの有名な名探偵・コンジ・キノノウ(崑児・輝乃皇)先生の助手のアルバイトをしている高校2年の女子です。

 んー、いわゆる女子高生、JKってやつです。はい。


 で、コンジ先生は、名門・輝乃皇家の次男坊。長男は警察関係のエリート。コンジ先生はIQは高いのですが、その気分にはムラがあり、非常に好奇心旺盛で先が読めない性格。

 私ジョシュアは高校1年の時、ある事件でコンジ先生と出会ってから、アルバイト助手をしているってわけなんです。



 コンジ先生はこれまで数々の難事件を解決してきました。で、どれもこれも人知を越えた存在……まさに『化け物』を扱ってきたんですよね。

 吸血鬼事件、ゾンビ事件、殺人鬼の悪霊事件、迷いの森の魔女事件……などなど。



 今回、お話するのは、その中でも最もコンジ先生を悩ませた人類の天敵……といっても過言ではない、そんな『化け物』の事件です。

 それは、ある絶海の孤島で起こった惨劇の物語です……。

 その孤島に建つ研究所で起きた不可解な事件の捜査依頼がコンジ先生宛に届いたところから始まったのでした―。




 コンジ先生宛に国際警察機構(ICPO)から一通の捜査依頼が舞い込んできた。

 普段はコンジ先生はそういう依頼はまったく眼中にないのですが、このときばかりは違ったのです。




 「んんーっ……!? ジョシュア。この依頼、受けるぞ!」

 「……って、ええ!? いつも、まったく興味ないって顔するのに、珍しいですね?」

 「ああ。見たまえ! 『フランケンシュタイン研究所』での事件の捜査依頼だ。依頼人は国際警察機構……、担当刑事は……、パリ支部のフジミ・ムラサメ(藤実・群鮫)刑事か……。」

 「あれ? その人、知ってますよ。新聞で見ました。トレードマークはピンクのトレンチコートと帽子。「不死身」のコードネームの敏腕刑事とのことですよ?」

 「へぇ……。そんな有名なヤツなのかい? 僕とどっちが有名……、おっと、聞くまでもない。愚問だったな。」

 「まあ、コンジ先生も負けじと有名ですからね。でも、それ、私が小説に書き起こしているからですよ? 少しは感謝してよね!?」

 「はいはい。だが、どうやら、その刑事からのご指名ではなさそうだな……。」



 「え……? どうしてですか?」

 「ふん。よく見なよ? いいかい? 見るというのはただ視界に入っているだけでは見ているとは言えない。よく観察するのだよ。それが『見る』ということだ。

 この封筒にはかの大財閥ロッサム・コングロマリット社の紋章が記載されている。ロッサム・コングロマリット社はその傘下にロッサム万能ロボット会社を有する巨大軍産複合体企業だ。……で、今回の依頼にある『フランケンシュタイン研究所』……、その最大出資者は? って言うと……。」

 「その……、ロッサム・コングロマリット社……ですか?」

 「イグザクトリー! 少しは察するようになったな? 君も。」

 「お褒めに預かり、光栄です。先生。」



 「この『フランケンシュタイン研究所』ではね、極秘の実験が行われているという黒い噂が絶えなくてね。僕も一度ぜひとも訪れてみたかったのだよ。」

 「だから、今回は乗り気なんですね。」

 「ああ。キマイラ実験か、はたまた人工生命体の実験か、人体実験か……。何が行われていても不思議はあるまい。そして、この研究所には世界中から天才たちが集められているという……。」

 「ええ!? コンジ先生よりも天才……でしょうか?」

 「ジョシュア……。君、それは愚問だろう? 僕より天才がこの世に存在するはずなかろう?」

 「ええ、ええ。そうでしたね。」




 「さっそく、出発の準備だ。君、今、夏休みだろ? 1週間か2週間ほどバカンスに行くのもいいだろう?」

 「はいはい。親にはコンジ先生と行くって言いますからね? 責任とってくださいね?」

 「……? 何の責任だよ……。」

 「さあ……? ご自身のその高いIQでお考えになればいいのでは?」

 「ふん……。この僕に解けない問題などないぞ。」



 まったく……。ホントに気づいていないんだか、気づいていて知らんぷりしているのか……。

 とにかく、その絶海の孤島に建つ研究所へ行くために、まずはパリへ行くことになりました。

 そこで、国際警察機構の担当の方が迎えに来てくれるとのことでした。



 パリ=シャルル・ド・ゴール空港は、フランスの首都パリの国際空港です。フランスの軍人・大統領のシャルル・ド・ゴールにちなんで名付けられたのです。

 日本の東京・羽田からパリまでの飛行時間は、平均12時間33分です。

 フランスは中央ヨーロッパ時間(Central European Time - CET)を採用しています。日本との時差は8時間。

 ただし、サマータイム期間中は7時間になります。




 私とコンジ先生が日本を朝10時に飛び立って、シャルル・ド・ゴール国際空港に降り立った時、パリの現地時間で午後3時過ぎでした。

 時間を遡りながら進んだので、その時間になったということですね。

 なんだか早く着いた気がします。

 え……?

 コンジ先生ですか?

 もちろん、飛行機が羽田を離れた直後に、気絶するようにお眠りになられましたよ?


 「ジョシュア! 君は本当に感受性が鈍いね? いいかい? 飛行機なんてものは、異空間の中を飛んでいる閉鎖空間となんら変わりないんだよ。この場合の閉鎖空間データは、現実または概念のオブジェクトの本質的な位置特性を、それらが存在する現実または概念の空間に関連する……ぐぅ……。」

 「……、おやすみなさい。コンジ先生。」




 パリの空港のゲートを出たところで、迎えに来ている人が見えました。

 ビシッとしたスーツを来た長身の人で、見た目はヨーロッパ風な方でした。

 髪の色は黒色で、堀の深い顔立ちのいかにも刑事……って感じの雰囲気を醸し出しています……。



 「ムッシュ・キノノウ!! マダム・ジョシュア!! こちらです! こっちへどうぞ!」

 けっこう大きい声だなぁ。

 呼ばれた私たちは、いそいそと、その呼ばれた方へ近寄っていく。

 コンジ先生はまだ寝起きって感じで、シャキッとしていませんでしたが、まあ、いつものことなので良いでしょう。



 「あ! 初めまして。私が助手のジョシュア・ジョシバーナです。こちらが名探偵コンジ・キノノウです。」

 「おお! これはこれは! かの『黄金探偵』ですな? 私は国際警察機構(ICPO)のフジミ・ムラサメ(藤実・群鮫)です。日本人です。日本語でおけ……ですよ。はっはっはぁ!」

 「あら、そうだったんですね? フランス語あまり得意じゃあないので、ちょっと安心しましたよ。」

 「ふん! 僕はフランス語でも構わないんだけどな? この地球上の言語で僕が話せない言語は、すでに消滅したアラパホー語(オクラホマ方言)やマピア語などか、エラム語などの死語となった古代言語か、関西弁くらいなものだよ……。」

 「なんでやねんっ!! ……ってツッコミ入れてもわからないんですか? コンジ先生?」

 「そんな下品な言語があるのか? 知らんけど……。」

 「あ、ああーー!! 今、関西弁使ったじゃあありませんか!?」

 「ああ、知らん。知らん!!」




 「あのぉ……。お話進めてもいいですか? お二人さん……。」

 黙って聞いていたムラサメ刑事がなかば呆れ顔でそう言ったのも無理からぬことでした。



 ~続く~





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