【読者への挑戦状あり!】化け物殺人事件~人狼伝説・狼の哭く夜~

あっちゅまん

文字の大きさ
7 / 62
第1日目

第2話 到着1日目・昼その2

しおりを挟む



 ダイニングルームの中は広く作られており、アンティークなイスと大きな長方形のテーブルがある贅沢なスペースになっていた。

 細かいところまでデザインが施されていることに改めて感動を覚えてしまう……。まさに、ひとつひとつが芸術品のようだ。

 ステンドグラスの大きな窓も、その微妙な色の取り合わせが部屋の表情を柔らかくしており、この広間の優しい雰囲気を作っている。




 また、部屋の端にある大きな置き時計も、細部にいたるまで緻密な意匠が施されたお洒落な風合いを醸し出している。

 しかも、この絨毯、とっても可愛くないですか? どこを切り取っても絵になってしまう……。

 雑誌やドラマの撮影にも使われそうってくらいのおしゃれ感があって、もう最高!




 「うわぁ……。ちょっと凄いですね。コンジ先生! 豪華ぁ……。」

 「ジョシュア。ちょっと黙っていようか? 僕まで品格が疑われるじゃあないか。」

 「でも、ホント……。ステキだわぁ……。」



 料理人兼召使いのメッシュさんと、管理人のカンさんがテキパキと食事の準備をしてくれていました。

 私たちも邪魔をしないように、さっさとイスに座り、準備が終わるのを待つ。

 それにしても、私たち以外に食事をする人はいないのか、テーブルには私たち以外の食事の準備はされていない。



 すると、私の疑問を察したのか、端に控えていた執事のシープさんが教えてくれた。

 「キノノウ様とジョシバーナ様以外のお客様はみな、今日は遅めの朝食を済ませておられますので、昼食はおふた方だけということになります。」

 なるほど。みんなは昨日に到着したので、今朝はゆっくりだったわけか。



 そうこうしているうちに、食事の準備ができたようで、私たちは昼食をいただくことにした。

 前菜でサーブされたのはエスカルゴで、パセリとバターで味付けされており白ワインにぴったり!

 そのまま食べても美味しいですが、ソースをパンにつけても絶品です!



 続いてフォアグラのテリーヌが出されたのですが、高級食材フォアグラも、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、パンに塗っていただきました。

 これが最高でした!

 メッシュさんって本当に料理の腕が素晴らしいんだなと、私、感動しました。




 メインディッシュは牛肉の赤ワイン煮込みで、日本でもメジャーなこの料理ですが、ブルゴーニュ地方の料理ですね。

 赤ワインと香辛料を加え、牛肉を弱火でゆっくりとじっくり煮込まれていて、肉がとにかく柔らかい!

 フランス産の赤ワインと一緒にいただきましたが、やはりワインに合うわぁ!


 コンジ先生も何も言わずに黙々と食べてるので、相当気に入った様子。

 コンジ先生、気に入らない時はひたすら喋りかけてくるから……。



 デザートは、フランスのクレープ「ガレット」。

 最近日本のカフェでも見かけるようになってきた、そば粉を使った生地で卵やハムなどの食材を包んでいただく、食事感覚のクレープです。

 ボリュームにかけるかなと正直見た目では思ったのですが、食べてみると意外とお腹いっぱいになりました。


 ガレット、また日本でも食べに行こうかな。




 ちょうど、食事が終わったところで、扉が開いて二人の女性が入ってきた。

 ふたりとも見事な金髪でドレスが艶やかな青と白。 透き通るような肌の白さでスラリと長身の美人だった。

 顔もどことなく似ていて、瞳が吸い込まれそうなブルー。

 どこかの雑誌のモデルさんみたい……。



 そんな二人の女性に私が見とれていると、その二人はコンジ先生の前の席に座った。

 シープさんがイスを引いて、うやうやしくエスコートしている。

 なんともその所作がいちいち似合っている。

 ええ、ええ。どうせ、私は平民の出ですよ!




 「あなたが、あの有名な名探偵キノノウ・コンジさんなの!?」

 派手目の化粧をしたほうの女性が第一声、コンジ先生に話しかけた。

 コンジ先生は飲んでいた紅茶を一瞬、止めてちらりとその女性の方を見た……。

 が、そのまま紅茶を飲みだし始めた……。



 あ……いつものコンジ先生の習性だ。

 名乗らない相手には無視するという……。

 「あはは! ちょっとコンジ先生、疲れちゃってるみたいですね! あ、どうも初めまして。お招きいただきありがとうございます。

 おっしゃるとおり、こちらが、かの名探偵! キノノウ・コンジ先生です!!

 そして、私はその助手、ジョシュア・ジョシバーナです。

 えっと……それで、どちら様でしょうか?」

 一気に私がまくしたてて喋り、相手の女性に名乗るように仕向けた。




 その女性は私のほうを、なんだかキッチンの流し台の排水溝についた汚いサビでも見るかのような冷たい目ですっと見た。

 「あら? 助手さん……ね……ふぅーん。」

 そう言って、またコンジ先生のほうを振り返り、少し胸を強調するかのように張って、また話しかけた。

 「私はシンデレイラ家の長女、アネノ・シンデレイラですわ。 キノノウ様! いつも貴方の活躍を本で拝読させていただいておりますわ。私、貴方のファンですのよ?」



 そう言って、じっとコンジ先生を見つめた。

 アネノさんか。シンデレイラってことは、この館の主人、大富豪シンデレイラ家の人なんだ……。

 すると、アネノさんの隣に座っていた女性も声を発した。

 「お姉さまは『黄金探偵』シリーズはすべて読破されているのですよ。 私たち姉妹の中でも一番の読書家なんですの。お姉さまは。

 ああ、私は次女のジジョーノ・シンデレイラです。もちろん、私も拝読させていただいておりますのよ。」

 


 
 こちらの女性もシンデレイラ家の人か。

 お姉さまってことは、姉妹か。

 招待主の大富豪パパデス・シンデレイラさんの娘ってところかな……。



 「そいつはどうも。マドモアゼル方。僕がキノノウ・コンジさ。察するに、あなた方はパパデスさんの娘ってところかな。

 そして、君は長女のアネノさんで、そちらが次女のジジョーノさんだね? そして、もう一人、妹さんがいる……のだね?」

 「え? すごーい! どうして、私たちのほかにまだ、妹がいるとおわかりになったのでしょう?」

 コンジ先生が、やれやれといった表情を浮かべ、説明してくれた。




 「ふむ。初歩的な推理だよ。さっき、ジジョーノさんが『私たち姉妹の中でも一番の読書家』とおっしゃった。

 ……姉妹が二人しかいないなら、比較する対象が二人なのだから、『私よりも読書家』というべきところ。

 つまり、姉妹は他にもいる。そして、あなたは次女だと名乗った。そして、アネノさんは長女と名乗った。ならば、他の姉妹は『妹』となり、まだ見ていない妹がいるということだよ。」



 アネノさんとジジョーノさんはコンジ先生のよどみない説明にぽーっとなっていた。

 ああ。コンジ先生、変人だけど、顔は確かにカッコいい……。

 私が惚れちゃっただけはある……。

 あ! 惚れちゃったっていうのは、若いときのことで、今はなんとも思ってないんだからね!

 ……なんとも思ってないんだから!

 たぶん……。



 「さすがは黄金の頭脳を持つ名探偵『黄金探偵』ですわね! 私、あの『ゾンビ事件』の話が好きですわ! なんとも寂しいお話で泣いちゃいましたわ!」

 「あ、私も『ゾンビ伝説』は好きです! あと、『吸血鬼伝説』も最後がなんとも言えない気持ちになる名作だと思いますね!」

 おお……。本当に読んでいるみたい。ありがたいことです。

 書いたの私なんですけどね。



 「あなた! キノノウ様の足を引っ張らないのよ!」

 「そうよ!そうよ! いつも、あなたがバカだから、いらいらしますわ!」

 そう言って今度は二人が私の方を向いて責めてきた。

 いや……。コンジ先生はたしかにすごいですけど、私は小説だから引き立て役になっているだけであって……。

 なんだかなぁ。



 「あ……。いえ。そ、そうですね。以後、気をつけます……。」

 私は特に反論することもなく、そう述べておいた。

 「いや! こいつは役に立つぞ! 生活における生きるための能力ははっきり言ってオレよりも高い!

 実際、核戦争が起きても生き延びるかも知れん。

 だから、ジョシュアはオレの助手なのだ。他にオレの助手が務まる者がいるとは思えないぞ。」

 コンジ先生ぇ……。な……泣きそう……。

 あ、コンジ先生が『オレ』って言ってる……。真のコンジ先生だ。





 コンジ先生はそのIQの高さ故に、普段は脳をほとんど休ませているのです。

 そして、その黄金の脳をフルで稼働させると、とてつもない知能を発揮するわけですが、その際は感情的にもなって『オレ』って言うようになるんですよね。

 なにか今の会話でスイッチが入ったみたい……。



 「そ……そうなんですわね……。確かに、キノノウ様の助手でしたね。キノノウ様がそれを上手く使われているのですわね! さすが!」

 「ですわねぇ。どんな人でも役立つように扱えるのが名探偵たる由縁ですね! お姉さま!」

 「まったく。そのとおりですわ。キノノウ様。私、ぜひ、『ゾンビ伝説』のお話、詳しく聞かせていただきたいですわ。」

 「あら! それいいですね。お姉さま。私もぜひお伺いしたいですわ!」



 と、二人はまったく悪びれる様子もなく、コンジ先生に過去の事件の話をせびるのだったー。





 ~続く~



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】結界守護者の憂鬱なあやかし幻境譚 ~平凡な男子高校生、今日から結界を繕います~

御崎菟翔
キャラ文芸
​【平凡な高校生 × 妖従者たちが紡ぐ、絆と成長の主従現代和風ファンタジー!】 「選ぶのはお前だ」 ――そう言われても、もう引き返せない。 ​ごく普通の高校生・奏太(そうた)は、夏休みのある日、本家から奇妙な呼び出しを受ける。 そこで待っていたのは、人の言葉を話す蝶・汐(うしお)と、大鷲・亘(わたり)。 彼らに告げられたのは、人界と異界を隔てる結界を修復する「守り手」という、一族に伝わる秘密の役目だった。 ​「嫌なら断ってもいい」と言われたものの、放置すれば友人が、家族が、町が危険に晒される。 なし崩し的に役目を引き受けた奏太は、夜な夜な大鷲の背に乗り、廃校や心霊スポットへ「出勤」することに! ​小生意気な妖たちに絡まれ、毒を吐く蛙と戦い、ついには異世界「妖界」での政変にまで巻き込まれていく奏太。 その過程で彼は、一族が隠し続けてきた「残酷な真実」と、従姉・結(ゆい)の悲しい運命を知ることになる―― ​これは、後に「秩序の神」と呼ばれる青年が、まだ「ただの人間」だった頃の、始まりの物語。 ​★新作『蜻蛉商会のヒトガミ様』 この物語から300年後……神様になった奏太の物語も公開中! https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」

(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。 王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。 風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...