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第1日目
第3話 到着1日目・昼その3
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「……ということで、コンジ先生は犯人のゾンビが誰か見破ってしまわれたのです!」
私・ジョシュアがコンジ先生の活躍を脚色して、おもしろおかしく話を盛り上げて話し終えたころには、コンジ先生がいねむりしていました……。
「すごい! さすが『黄金探偵』ですわ!」
「お姉さま! そのとおりですわね!」
しかし、アネノさんもジジョーノさんもコンジ先生の完璧すぎるこの起きてる感を醸し出しつつ、いねむりをする高等技術にまったく気づいてはいなかった。
「う……うむ……? そのとおり! 僕に不可能はないのだ!」
コンジ先生が調子を合わせてきた。
こういうところは、さすがです……。コンジ先生。
「それでは、そろそろキノノウ様。失礼させていただきますわ。非常に有意義な時間でございましたの。また、他のお話も聞かせてくださいね。」
「ああ。喜んでお話しましょう。マドモワゼル。」
「キノノウ様。お嬢様方にお時間とっていただきまして、私、執事からもお礼申し上げます。」
そう言って、二人の姉妹は部屋から出ていった。
残ったのは、管理人のカンさんだけで、料理人兼召使いのメッシュさんはキッチンへ引っ込んでいました。
後片付けとかいろいろあるからでしょう。
「では、我々も部屋に戻るとするか。ジョシュア。」
「はい。コンジ先生。あ! カンさん。この『ガレット』、部屋に持って帰ってもいいですか!?」
「は……はい。まだお召し上がりになるので?」
「だって、美味しいんですもの。」
「ジョシュア……。君……。いつも食いしん坊だけど、今日はさらに食いしん坊すぎじゃないか?」
コンジ先生が手を顔に当てて、やれやれと言った感じで首を振った。
だって……まだ食べたかったんだもの。 いいよね? ちょっとくらい。
その後、私とコンジ先生はそれぞれの部屋に戻った。
腕時計は1時半を指していた。
執事のシープさんが2時から館の美術品の案内をしてくれるそうだ。
そこで、コンジ先生も誘ってこの館の美術品巡りをすることにした。
少し休憩をしてから、私はカジュアルな服装に着替えた。
私の部屋を出て、右斜め前のコンジ先生の部屋のドアをノックする。
コンコン、コココン……。
「開いてるぞ? ジョシュア。君だろ?」
「あ! わかりますか?」
「うむ。君のノックの仕方は覚えているからな。」
「癖、出ちゃいますかね?ノックの仕方も。」
「まあな、人間はその行動全てに癖が出るものだ。」
「そうなんですねぇ。 あ! それより、コンジ先生。このお屋敷の美術品を見に行きませんか?」
私は本題を切り出した。
「ほう。君も芸術に興味が出てきたか?」
「ええ。まあ。このお屋敷にある美術品って世界的に有名なものもたくさんあるとか……。そりゃ一度は見ておきたいかなと。」
「なるほど。俗物的な理由だな。君らしい。」
「ええ? 悪いですかぁ?」
「いや。褒めてるんだよ。ブレないなと。」
「それ、褒めてるって言うんですかね……。」
なんだかんだ言いながら、コンジ先生の準備ができたっぽいので、私たちは部屋を一緒に出た。
廊下も豪華な絨毯が敷かれてあり、壁の照明は宝石で輝いているかのように美しい。
待ち合わせの1階ホールに入ると、シープさんが待ってくれていた。
シープさんの他に三名の人が集まっていた。
何やらちょっと偉そうなおじさんが大声で話をしていた。
「銀野閏風(ぎんの・うるうふう)の作品はいずれもその作風に共通点がないんですよ。そこが素晴らしいんですなぁ。」
「それはすごいですね。」
「へぇー。でも、一人の人間が何十も作風をまったく違えて描くだなんて、できるものなんですか?」
「それをやってのけたから、銀野・閏風は超一流と言われているのですよ?」
どうやら、美術品について話をしているようです。
「あ! キノノウ様。ジョシバーナ様。 こちら、美術商のビジュー・ツーショウ様、そのお隣がアイティ・キギョーカ様、そしてジニアス・サッカセンシュア様です!」
シープさんが紹介したのは、今しがた銀野・閏風の絵画について語ってた男性とその話を聞いていた二人の男性だった。
「ご紹介に預かりましたワタクシ、美術商のビジュー・ツーショウと申します。あなたがかの有名な名探偵キノノウ・コンジ様でいらっしゃいますか?」
「おお!あの有名な黄金探偵ですか!? 私はアイティ・キギョーカ。ITの会社を経営しています。お噂はかねがね。」
「へぇ!あなたがあの名探偵さんねぇ。あ、僕はジニアス・サッカセンシュア。うわぁ。嬉しいなぁ。小説、読ませていただいていますよ。」
三人がそれぞれ、自己紹介をした。
「あ。どうも。キノノウです。美術商のビジューさんに、IT企業家のアイティさん……。それと……。サッカー選手のジニアスさんですね。初めまして。」
え? ジニアスさんって職業言ったっけ?
「あれ? 僕がよくサッカー選手だってわかりましたね。」
「簡単な推理ですよ。その身長と日焼け、それに足の筋肉がかなりついていて、腕の筋肉はそうではないところ……。何かのスポーツ選手だろうことは容易にわかる。
それに、その手首に巻きつけているミサンガ、そこから推測するに、サッカー選手が妥当と思われる。」
「ふぇー。さすが、鮮やかな推理ですねぇ。黄金探偵の名はダテじゃないってか。」
「素晴らしい! 名探偵の推理、見せてもらいました!」
「まさに名推理ですな。」
みんなが口々に褒め称える。
まぁ、私、ジニアスさんのお顔は知っていましたからね。私はわかってたんですけどね。
コンジ先生がサッカーをチェックしているとは思えないので、やっぱ、コンジ先生……すごいや。
「あ、私はコンジ先生の助手のジョシュア・ジョシバーナです。よろしくお願いします。」
「ん? ああ。よろしく。」
あ……。このあからさまな私への興味の無さ……。
いや、わかりますけどね。
すると、そこへ、何やら派手な化粧をしたいかにも金持ちっていう雰囲気の年配の女性と、その隣にすごくイケメンな美男子と、キリッとした顔立ちをしたアラサーくらいのスーツの女性が入ってきた。
「これはこれは。エラリーン・クイーン様。イーロウ・オートコ様。それにジェニー・ガーター警視。お待ちしておりました。」
しずしずと歩いてきたその女性が、にこやかに微笑んだ。
「あら? シープさん。 おまたせしたかしら?」
「いえ。大丈夫でございます。今しがたみな揃ったところでございます。」
エラリーン・クイーンは、ゆるやかに視線を私たちのほうに向け、話しかけてきた。
「あら? 昨日は見かけませんでしたね? わたくしはエラリーン・クイーン。この館のシンデレイラさんとは旧知の仲ですのよ。あなた方は?」
「私はジョシュア・ジョシバーナと申します。こちらのキノノウ・コンジ先生の助手をしています。こちらはキノノウ・コンジ先生。探偵です。」
私が簡潔に自己紹介をする。コンジ先生はどうせ、面倒がると思ったから、私の口から紹介しておいた。
「まあ! あの名探偵の!? 素晴らしい出会いですわね。」
エラリーンが舐め回すようにコンジ先生を見る。
「ほう。あの『黄金探偵』か? 私はジェニー・ガーター。スコットランド・ヤードの警視ですわ。よろしく。」
スーツ姿の背の高いキリッとした容貌の女性がそう言った。
「俺はイーロウ・オートコ。ニューヨークで俳優をやっている。」
イケメンで高身長、さらにイケボ、カッコいい声をしている男性がそう名乗る。
へぇ……。ロンドン警視庁のおえらいさんに、アメリカの俳優か……。でもイーロウさんって失礼だけど聞いたことはないな。
「では、みなさんを『左翼の塔』の美術品をご覧に入れましょう。」
シープさんがそう言って案内をしようとした。
そこへ、ビジューさんがすかさず口を挟んだ。
「ふむ。『左翼の塔』か……。ミケネコランジェロや、ラファエロスなどの宗教画が数多く、飾られてるという塔ですなぁ。
だが……、ワタクシとしては『右翼の塔』に保管されているという、かの巨匠レオナルホド・ダ・ビュッフェの『モナリザの最後の晩餐』が見たいもんですけどねぇ。」
ああ! その絵画のことは私でも聞いたことがありますよ。幻の名画としてつい最近、発見されたとニュースになってたのを覚えてるわ。
「ふむ。そうですね。『モナリザの最後の晩餐』は、パパデス様の許可が降りなければ、ご案内はいたしかねますので……。
いずれ、ご覧になる機会があるかとは思います。」
「そうか……。なら、楽しみにさせていただくとしよう。」
ビジューさんもそう納得したようで、私たちは『左翼の塔』へ向かったのだったー。
~続く~
「……ということで、コンジ先生は犯人のゾンビが誰か見破ってしまわれたのです!」
私・ジョシュアがコンジ先生の活躍を脚色して、おもしろおかしく話を盛り上げて話し終えたころには、コンジ先生がいねむりしていました……。
「すごい! さすが『黄金探偵』ですわ!」
「お姉さま! そのとおりですわね!」
しかし、アネノさんもジジョーノさんもコンジ先生の完璧すぎるこの起きてる感を醸し出しつつ、いねむりをする高等技術にまったく気づいてはいなかった。
「う……うむ……? そのとおり! 僕に不可能はないのだ!」
コンジ先生が調子を合わせてきた。
こういうところは、さすがです……。コンジ先生。
「それでは、そろそろキノノウ様。失礼させていただきますわ。非常に有意義な時間でございましたの。また、他のお話も聞かせてくださいね。」
「ああ。喜んでお話しましょう。マドモワゼル。」
「キノノウ様。お嬢様方にお時間とっていただきまして、私、執事からもお礼申し上げます。」
そう言って、二人の姉妹は部屋から出ていった。
残ったのは、管理人のカンさんだけで、料理人兼召使いのメッシュさんはキッチンへ引っ込んでいました。
後片付けとかいろいろあるからでしょう。
「では、我々も部屋に戻るとするか。ジョシュア。」
「はい。コンジ先生。あ! カンさん。この『ガレット』、部屋に持って帰ってもいいですか!?」
「は……はい。まだお召し上がりになるので?」
「だって、美味しいんですもの。」
「ジョシュア……。君……。いつも食いしん坊だけど、今日はさらに食いしん坊すぎじゃないか?」
コンジ先生が手を顔に当てて、やれやれと言った感じで首を振った。
だって……まだ食べたかったんだもの。 いいよね? ちょっとくらい。
その後、私とコンジ先生はそれぞれの部屋に戻った。
腕時計は1時半を指していた。
執事のシープさんが2時から館の美術品の案内をしてくれるそうだ。
そこで、コンジ先生も誘ってこの館の美術品巡りをすることにした。
少し休憩をしてから、私はカジュアルな服装に着替えた。
私の部屋を出て、右斜め前のコンジ先生の部屋のドアをノックする。
コンコン、コココン……。
「開いてるぞ? ジョシュア。君だろ?」
「あ! わかりますか?」
「うむ。君のノックの仕方は覚えているからな。」
「癖、出ちゃいますかね?ノックの仕方も。」
「まあな、人間はその行動全てに癖が出るものだ。」
「そうなんですねぇ。 あ! それより、コンジ先生。このお屋敷の美術品を見に行きませんか?」
私は本題を切り出した。
「ほう。君も芸術に興味が出てきたか?」
「ええ。まあ。このお屋敷にある美術品って世界的に有名なものもたくさんあるとか……。そりゃ一度は見ておきたいかなと。」
「なるほど。俗物的な理由だな。君らしい。」
「ええ? 悪いですかぁ?」
「いや。褒めてるんだよ。ブレないなと。」
「それ、褒めてるって言うんですかね……。」
なんだかんだ言いながら、コンジ先生の準備ができたっぽいので、私たちは部屋を一緒に出た。
廊下も豪華な絨毯が敷かれてあり、壁の照明は宝石で輝いているかのように美しい。
待ち合わせの1階ホールに入ると、シープさんが待ってくれていた。
シープさんの他に三名の人が集まっていた。
何やらちょっと偉そうなおじさんが大声で話をしていた。
「銀野閏風(ぎんの・うるうふう)の作品はいずれもその作風に共通点がないんですよ。そこが素晴らしいんですなぁ。」
「それはすごいですね。」
「へぇー。でも、一人の人間が何十も作風をまったく違えて描くだなんて、できるものなんですか?」
「それをやってのけたから、銀野・閏風は超一流と言われているのですよ?」
どうやら、美術品について話をしているようです。
「あ! キノノウ様。ジョシバーナ様。 こちら、美術商のビジュー・ツーショウ様、そのお隣がアイティ・キギョーカ様、そしてジニアス・サッカセンシュア様です!」
シープさんが紹介したのは、今しがた銀野・閏風の絵画について語ってた男性とその話を聞いていた二人の男性だった。
「ご紹介に預かりましたワタクシ、美術商のビジュー・ツーショウと申します。あなたがかの有名な名探偵キノノウ・コンジ様でいらっしゃいますか?」
「おお!あの有名な黄金探偵ですか!? 私はアイティ・キギョーカ。ITの会社を経営しています。お噂はかねがね。」
「へぇ!あなたがあの名探偵さんねぇ。あ、僕はジニアス・サッカセンシュア。うわぁ。嬉しいなぁ。小説、読ませていただいていますよ。」
三人がそれぞれ、自己紹介をした。
「あ。どうも。キノノウです。美術商のビジューさんに、IT企業家のアイティさん……。それと……。サッカー選手のジニアスさんですね。初めまして。」
え? ジニアスさんって職業言ったっけ?
「あれ? 僕がよくサッカー選手だってわかりましたね。」
「簡単な推理ですよ。その身長と日焼け、それに足の筋肉がかなりついていて、腕の筋肉はそうではないところ……。何かのスポーツ選手だろうことは容易にわかる。
それに、その手首に巻きつけているミサンガ、そこから推測するに、サッカー選手が妥当と思われる。」
「ふぇー。さすが、鮮やかな推理ですねぇ。黄金探偵の名はダテじゃないってか。」
「素晴らしい! 名探偵の推理、見せてもらいました!」
「まさに名推理ですな。」
みんなが口々に褒め称える。
まぁ、私、ジニアスさんのお顔は知っていましたからね。私はわかってたんですけどね。
コンジ先生がサッカーをチェックしているとは思えないので、やっぱ、コンジ先生……すごいや。
「あ、私はコンジ先生の助手のジョシュア・ジョシバーナです。よろしくお願いします。」
「ん? ああ。よろしく。」
あ……。このあからさまな私への興味の無さ……。
いや、わかりますけどね。
すると、そこへ、何やら派手な化粧をしたいかにも金持ちっていう雰囲気の年配の女性と、その隣にすごくイケメンな美男子と、キリッとした顔立ちをしたアラサーくらいのスーツの女性が入ってきた。
「これはこれは。エラリーン・クイーン様。イーロウ・オートコ様。それにジェニー・ガーター警視。お待ちしておりました。」
しずしずと歩いてきたその女性が、にこやかに微笑んだ。
「あら? シープさん。 おまたせしたかしら?」
「いえ。大丈夫でございます。今しがたみな揃ったところでございます。」
エラリーン・クイーンは、ゆるやかに視線を私たちのほうに向け、話しかけてきた。
「あら? 昨日は見かけませんでしたね? わたくしはエラリーン・クイーン。この館のシンデレイラさんとは旧知の仲ですのよ。あなた方は?」
「私はジョシュア・ジョシバーナと申します。こちらのキノノウ・コンジ先生の助手をしています。こちらはキノノウ・コンジ先生。探偵です。」
私が簡潔に自己紹介をする。コンジ先生はどうせ、面倒がると思ったから、私の口から紹介しておいた。
「まあ! あの名探偵の!? 素晴らしい出会いですわね。」
エラリーンが舐め回すようにコンジ先生を見る。
「ほう。あの『黄金探偵』か? 私はジェニー・ガーター。スコットランド・ヤードの警視ですわ。よろしく。」
スーツ姿の背の高いキリッとした容貌の女性がそう言った。
「俺はイーロウ・オートコ。ニューヨークで俳優をやっている。」
イケメンで高身長、さらにイケボ、カッコいい声をしている男性がそう名乗る。
へぇ……。ロンドン警視庁のおえらいさんに、アメリカの俳優か……。でもイーロウさんって失礼だけど聞いたことはないな。
「では、みなさんを『左翼の塔』の美術品をご覧に入れましょう。」
シープさんがそう言って案内をしようとした。
そこへ、ビジューさんがすかさず口を挟んだ。
「ふむ。『左翼の塔』か……。ミケネコランジェロや、ラファエロスなどの宗教画が数多く、飾られてるという塔ですなぁ。
だが……、ワタクシとしては『右翼の塔』に保管されているという、かの巨匠レオナルホド・ダ・ビュッフェの『モナリザの最後の晩餐』が見たいもんですけどねぇ。」
ああ! その絵画のことは私でも聞いたことがありますよ。幻の名画としてつい最近、発見されたとニュースになってたのを覚えてるわ。
「ふむ。そうですね。『モナリザの最後の晩餐』は、パパデス様の許可が降りなければ、ご案内はいたしかねますので……。
いずれ、ご覧になる機会があるかとは思います。」
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