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第4日目
第30話 到着4日目・夕食~夜
しおりを挟む※4日目夕食・ダイニングルーム
この日の夕食の時間はとても静かでした。
集まったのはママハッハさんとアネノさんを除いたメンバーで、コンジ先生、私、ジニアスさん、スエノさん、ビジューさん、アレクサンダー神父、ジェニー警視、シュジイ医師、それにメッシュさんです。
シープさんは自室で食事をするというママハッハさんとアネノさんの食事を提供しているとのことでした。
メッシュさんはこんな状況にも関わらず、美味しい料理を提供してくれた。
カナダディアン直伝鮭のオーブン焼きは相変わらずの美味でしたね。
チーズボールも食べやすく、ガツガツ行っちゃいました。
「キノノウくん。今夜の警戒はどうすればいいかな?」
「そうですね……。」
ジェニー警視がコンジ先生に相談している。
確かに。
昨夜、見張り作戦で夜通し見張っていたにもかかわらず、人狼は暗躍したのです。
どうすれば犠牲を防げるのか……。
「ひとつはもちろん戸締まりです。が、人狼はマスターキーを持っている。そこで、内側から開けられないように工夫することが必要ですね。」
「ふむ。なるほど。何かワイヤーのようなもので開かないように固定する……か?」
「それも良いでしょう。あとは……。全員、集まって過ごす……という手もありますが……。」
「いや。それはママハッハさんが承知しないだろうなぁ。」
「でしょうねぇ。」
そんなことを話しているのを聞きながら、私はすでに眠気で意識が朦朧としていました。
そりゃそうです。
昨夜は徹夜で見張りをしていたのですからね。
「やはり、我々が警備をするしかあるまい。」
「それしかないようですね。」
「あ! でも、ジェニー警視が万が一、人狼だったら、コンジ先生、殺られちゃいますよ!?」
「おい! 君は私を疑ってるのか!?」
ジェニー警視が憤慨して大きな声を出した。
「いえいえ! あくまでも可能性ですよ?」
「まあ、そうだな。逆にジェニー警視から見ると、僕が人狼という可能性もあるからね?」
「おいおい! キノノウくんまでそんなことを……。」
「まあ、三人で動くのが最善ではありますね。」
「ジョシュアくんでいいだろ?」
「いや。ジェニー警視……。それが、私、昨夜、徹夜したのでもうそろそろ限界なんです……。」
「まあ、そうだろうな。いいよ。ジョシュア。君は今晩は部屋で休んでいるんだ。」
「はい。」
わぁ……。コンジ先生がいつになく優しい……。
いつもこうならいいんだけどなぁ。
「アレクサンダー神父! 今晩、見回りをしようと思う。君も手伝ってくれるかい?」
「オオ……。ソレはぜひに……と言いたいところでデスガ……。ワタシは主に祈りを捧げねばなりマセン!」
「いや、その祈祷で今まで犠牲を防ぐことは出来なかっただろう? ぜひ我々に協力したまえ!」
ジェニー警視もここは強めの口調で言った。
「アナタガタは勘違いしていマスネ。祈祷のおかげで犠牲が少なくて済んでいるのデスヨ? 主は裏切りまセン! アナタガタも一緒に主に祈りを捧げまショウ!?」
「うーっむ……。だから、それ、祈りながら見回りできんのか!?」
「無理デスネ。祈祷にはパワーが必要なのデス! 残念ながら、見回りをしている余裕はありマセン!」
うわぁ……。頑固な態度です。
しかも、私たちから見たら、何の役にも立っていないように見える祈祷を逆に一緒にしろだなんて……。
無理だわ。こういうタイプに何を言っても自分の信じるものしか見えないんだわ。
「なら、おーい! メッシュさん! こっちに来てもらえるか?」
「へい! なんです?」
ジェニー警視に呼びかけられたメッシュさんが近くにやってきた。
「ああ。今晩、我々で見回りをしようと思うんだ。で、三人体制、スリーマンセルで臨みたい。ぜひ協力をお願いしたい。」
「はあ。あっしがですか? まあ、わかりましたぜ。カンのヤツや、パパデス様を襲った犯人、人狼の野郎を見つけて倒してやりましょう!」
「まあ、そうだな。そう期待したいものだな。」
そうしているとシープさんが戻ってきた。
「ああ、シープさん。何かワイヤーのようなものはないですか?」
「ワイヤーですか……? 残念ながらそういったものはございません……。」
「なら、ロープかザイルのようなものはありませんか?」
「ああ! それなら救命用のロープ銃に使うロープの予備があるかと……。ロープ銃自体はライフル銃とともに紛失してしまっておりますが、たしか予備のロープは残っていたかと思います。」
「なるほど。そのロープの強度はどれくらいだい?」
「そうですね。人が四、五人くらいぶら下がっても支えられるほどの強度はございます。」
「よし。じゃあ、それをみんなに配ってくれ。夜間、自分の部屋に入ったら、鍵を閉めるだけじゃあなく、中からロープで縛り、できるだけ開けられないようにするんだ。バリケードを張ってもいい。」
「かしこまりました。そのように手配します。」
「ジニアスさん! ビジューさん! あなた達も同行して手伝ってください。」
「ああ。キノノウさん。僕に手伝えることがあれば手伝うよ。」
「まあ、自衛のためじゃし、仕方ないな。」
ジニアスさんもビジューさんも渋々か、喜んでかは別として手伝うことに異論はないようだ。
こうして、私たちはそれぞれの準備をして、部屋に戻るものは戻ることになった。
私ももう睡魔がそれはもう魔王のようになっていて、眠くって仕方がなかったものですから、早めに部屋に戻らせてもらいました。
これは、シープさんも同じのようでした。
まあ、彼はひょっとしたら違う目的で夜が忙しかったからかも知れませんが……。
コンジ先生とジェニー警視、メッシュさんが夜通し、散弾銃とハンドガンを持って見回りをしてくれるということでしたので、私は安心してすぐにベッドに入ったのでした。
他のみなさんも同じ気持ちだったと思います。
三人で警備してくれている、それだけで安心感が全然違ったのですから……。
私はそのまますぐに意識を失うように眠りについたのでした。
◇◇◇◇
~人狼サイド視点~
はぁ……。はぁ……。はぁ……。
頭が割れる。
この心の奥底から湧き上がってくる血の渇望……。
そう……。自分は人狼なのだ。
今、この時、はっきりと覚醒している。
苦しいのはただ飢えているからではない。
全身の細胞という細胞がわかっているのだ。
この人間という種を……。
『喰らえ!!』
……と。
注意深く、扉を開けて部屋を出る。
もう明け方に近い。
ん……?
何者かが廊下を歩いているな。
武器を手に持っている……。
少しやり過ごそう。
決して、人間という種族を侮ることなかれ。
ヤツラは危険だ。
こうして、やり過ごした人狼だが、塔の中に誰かがいることが、その匂いでわかった。
何をしている?
まあいい。
何をしているのかわからないが、獲物が自ら独りになってくれているのだ。
ならば、喰らうまでだ。
音を立てずに忍び足で、その塔の中へ身を滑り込ませる人狼。
その獲物は静かに音を立てないようにしながら、地下へ行こうとしている。
その人間は、自分が人狼に獲物として目をつけられ、後をつけられていることに全く気がつく様子もなく、地下への階段を下りて行く……。
そして、人狼はその後ろを音も立てずに、続いて下りて行くのであったー。
惨劇の『或雪山山荘』での宿泊は5日目の朝へと移る―。
~続く~
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