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(文学)対話体小説※『対話体小説』を読みやすくする為、独自の「改行/句点ルール」を使っています

魔王の贄~捧げられる聖女の君

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「……ん……あ」

「ふふ。聖女さまの口の中、とても心地よかったよ。
 どうしたんだ。
 君から、僕の方に顔を近づけてきて、くちびるを重ね、舌を絡めてきてくれたじゃないか。
 そんなうら悲しげな表情で、目を潤ませないでくれ。
 さあ、こっちにおいで、アリス。
 僕だけの聖女さま」

「ああ……い、いや……私……私は、エリオットとは、い……やああっ」

「ほら、もう僕の腕の中だ。
 する僕にかれたいと、アリスの方から手を伸ばして近づいてきてくれたじゃないか。
 ははっ。
 無駄だよ。
 君は、もう、この魔王エリオット・ジールゲンのもの。
 めいじられるまま、そのを捧げるしかないんだ。
 さあ、諦めて、この手にもてあそばれる事に、悦びをおぼえるといい」

「む、胸に手を……上から、手を入れないで……やめて……私は、魔王をたお……す……あ……はあ」

「うんうん。
 君以外のもの、瞳に映したくない。
 この魔王エリオット・ジールゲンに、そう思わせているんだ。
 アリスは、聖女として、じゅうぶんな働きをしたと思うがね。
 王の間で二人きり。
 いとおしい君と過ごしたいが故に、僕は、人間どもの街を襲いにいく事ができないよ。
 ああ。
 胸の先、楽しそうだね。
 僕の口にくわえられ、ゆっくりと舌をあてがわれたら、アリスは、どのような反応をするのだろうか――」

「ひ……ひっ!
 エリオット……ド、ドレス……や、やめて……胸が見えて……ああっ!
 あは、あ、あ、あああんっ!」

「……気持ちが良すぎて、息が荒くなってしまったのかい?
 その漆黒のドレスは、僕が与えたもの。
 ふふ。
 君の胸が、告げられる事もなく、あらわになるなんて、至極当然なんだ。
 ろんたない。
 肩を隠せず、寒くないか。
 きしめてやろう。
 白い素肌の上半身をさらしたままのアリスは、この城のあるじにして、魔族の王である僕にいだかれる。
 君は、もう、聖女ではない。
 烏夜色うやいろのマントをまとう、魔王エリオット・ジールゲンにきょうされたにえにすぎない」

「あ、はああん。
 いや……私は、世界のみんなの為に、魔王を倒す力を持つ者……なぐさみものにされるぐらいなら……はあはあ……生贄いけにえであるというのなら、いのち……を……ああ。
 あ、あ、あ、あ、あっ!」

「おやおや。
 僕の尻尾しっぽが、下着の中に侵入しただけじゃないか。
 どうしたんだ。
 喘ぎ声をあげたりして。
 あははっ。
 陰部を、尻尾しっぽいじられて、感じているのか!
 ほう。
 そのあたりをさわられると、気持ちがいいんだな。
 陰核いんかくか?
 女性が、行為にのぞみやすいように用意されていると聞く。
 ゆっくりと、しかしながら幾度いくどとなく、僕の尻尾しっぽでてやる」

「あ、あ、あああっ……や……ああんっ!
 ……はあ、はあ。
 え……あ、やめて……エリオット……顔を近づけてこないで……んっ!
 ん、んんんっ!」

「……乱れたさま、満足がいくほど見せてもらったので、褒美だ。
 ふふ。
 僕の方から、くちびるを近づけてやったんだ。
 ほら。
 魔王である僕に、感謝の念にえぬと伝える為、アリスの方から、強くきしめてきてくれないかい。
 ――君は、僕と身体を重ね続けた事で、聖なる力を奪われ、すでに魔の者に近い存在。
 めいに従え」

「か、身体が……お、おねがい……と、止まって、私のからだ……あ……う……くっ」

「実に情熱的なさまで、僕をきしめてくれたが、本意無ほいないのか。
 あはははっ。
 表情をゆがめ、歯を食いしばっている。
 アリス。
 さっき、みずから認めたじゃないか。
 生贄いけにえであると。
 そう、君は、人間どもを恐怖で支配する魔王エリオット・ジールゲンに捧げられた供物くもつも同然。
 の自由だけを奪われ、心はそのまま。
 想いを絶えず引き裂かれながら、これからもずっと、むごたらしい扱いを受ける。
 魔王のうたげの主菜として、たくに飾られるのは、アリス。君だ。
 さあ。
 もう一度、尻尾しっぽで陰部をもてあそんでやろう。
 そして、胸は、僕の手によりで回される。
 快感からいつまで経っても解放されないと焦燥しょうそうするほど、しつこく、まとわり付くように――」

「あ……はううううううっ!
 あ、あん、ああ、あああっ!
 あああああ、あ、あ、あ、あ!」

もだえ、悦びに倒れてしまいそうだな!
 あははははっ。
 だが、君の身体は、どこにも逃げ出せない。
 くくっ。
 魔族の頂点に君臨する者だけがする事を許されるこの場所で、魔王の僕を楽しませる存在として、されるんだ。
 アリス。
 聖女さま、もっと強くいだかせてくれ。
 うんうん。
 君が、この僕を悦ばせ続ければ、人間どもを護れるのではないか。
 街を滅ぼしに行くなど、できる訳がない。
 いとしい君が、熱い息を激しく吐きながら、乱れ、快楽に溺れていく姿を、ずっと、眺めていたいじゃないか」

「あ……下……い、い!
 し、下着を脱がさないで……やめて、もう……はあはあ……エリオット。
 あの時、優しくしてくれたのは、私をだます為だったの……こうやって、私から聖女の力を奪って、魔王がめっされ、世界に平和が戻る未来に辿たどり着かせない……そうする為に、私をだましたの!」

「おやおや。
 さすがは、聖女さま。
 気丈きじょうに振る舞ってくれるものだ。
 生贄いけにえの祭壇に、鎖で繋がれているにも等しいというのに。
 ふふ。
 鎖か、それは面白そうだ。
 ほら」

「……あ……魔法。
 エリオット……何を……床のそれ……何をっ!」

「見ての通りさ。
 床から伸びる鎖の先には、首輪の支度したくがある。
 アリス。
 そんなに怯えた顔をしなくとも、大丈夫さ。
 ――今から君は、首輪をつけられ、繋がれたまま、僕に陰部をさらす事になるだけだ」
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