魔王にさらわれた聖女の君は、僕の言葉で堕とされ『花嫁』となる

K.A.

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Act 10

書架~浮の本

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「ああ……あは、あは……エリオット、やめて、こんな場所で……そ、その本の力で……ここが、作り出されたというの……ああ……はあ、はあ」

「聖女さま、僕にひざでられただけで、可愛らしく手足を揺らしてくれているじゃないか。
 こんな場所で?
 場が具現ぐげんしたのは、アリスの心がなした事。寝所ねどこで身体を重ねている時、書架しょかに囲まれ僕と共に時を過ごしたいと、熱っぽい瞳で何度も何度も訴えてきたので、アリスの願いを聞き入れてやったんだ。周囲が満たされるほど、たくさんの物語たちがそばにいるだろ?
 アリスと僕が今いる、閲覧の為に備えられた長椅子の周りには、本をおさめた書架しょかが並んでいる。ここは、君の安らぎの場であった図書館そのものだね。
 君の瞳にも映っているだろ。
 おもてけものの皮で装飾されたかのような一冊の典籍てんせきが――広間のちゅうに浮かぶその本が、この場を編んだんだ。アリスの書物に対する様々な想いを類纂るいさんした結果、結実けつじつとなったのが、この文殿ふみどの

「はあ、はあ……あ……そ、それ以上……それ以上、太腿ふとももさわらないで……下着の中に手が入ってしまう……あは……太腿ふとももを、ゆっくりでないで……魔王……図書館の中に……私の心の中に……魔法を使って、入ってこないで……」

「おやおや。どうしてだい? 魔法は使わせてもらっているが、ここは、二人の思い出の中だと僕は認識している。一人で想いにふけりたかったのかな?
 すそかし彫りを施した、真っ白のワンピース姿の君、あの日と変わらずうるわしいよ。そでを飾る糸かがり細工や腰に結ばれた留めおびには何のいろどりも加えられていないはずなのに、アリスがまとう事で、空模様が生み出した皚々がいがいたる雪白色せっぱくいろよりもきらめいて見える。だが、やはり一番美しいあやは、聖女さまの肌の色だよ」

「こ、腰の後ろ……リボンをかないで……ああ……せ、背中に腕を入れないで! ……あは、胸を持ちあげないで……むねを、もまないで……はあ、はあ……魔王……エリオット・ジールゲン……私の思い出の中で、これ以上……ああ……あああっ! あ、足っ! ふ、太腿ふともも……や、やめて……それ以上、あがってこられたら、下着の中に手が入ってしまう……はあ、はあ」

「足の付け根は、もうすぐそばだよ。
 僕が、人間に化けていないのでねているのかな? しかし今日は、悪魔のさまで最後まで遂げたいと考えている。僕と二人きりで過ごしたい場所はどこだと魔力を通して問いかけたら、この書林しょりんを描き出す事で応じてくれたじゃないか!
 心をじゅつで絡め取る際、アリスは、烏夜色うやいろのマントにくるまれたままでいてくれた。一糸纏いっしまとわぬ君の、胸や陰部をでてやっていただろ? 息荒く、頬を赤くし、か細い手足を激しく揺らしているのに、魔王の手からのがれようとはせず、大切な部分を濡らして――ほら、こうやって」

「あ! あ、あ、あ、ああんっ! あは……あはっ! くぅ……あは……やめて、このワンピース姿で、魔王の手にでられたら……くんっ! あは、あは……や、やめて、エリオット……陰核いんかくを……そ、そんなに激しく……あは……あは……し、下着の隙間から、指を入れてこないで……く……あ」

「陰部を護る肌付はだつきを具現ぐげんさせたのはアリス自身じゃないか。
 ああ。
 聖女さまの身体からあふれたもので濡れてしまった絹物きぬものを、僕の手で脱がせてほしかったのか。すぐに気づいてやれず、すまない……だが、しとどに濡れたのち、大切な部分がに触れさらされた方が、愛慾あいよくに溺れていく先をす気持ちが強まりよいと思うんだ。
 見て。陰部を護っていた肌付はだつき、濡れ過ぎて、繊維がこすれる絹鳴きぬなりがしないほどだよ。これは、聖女さまが、魔王から与えられる快楽を明けけに味わっていたあかしではないのかな?」

「あ……ああ……したぎが、ぐしょぐしょで……あ……ああ……」

「あははははっ!
 二人きりの時間を楽しむきょうを演出する為、今、僕が手にする肌付はだつきを舞台道具として用意してくれたんだな! 絹物きぬものが持つ、本来の触感しょっかんが失われるほど濡らしてくれて嬉しいよ。
 ふふふ。
 それにしても、君の想いが生み出した空間は芸術品だね。おぼえているよ。広間中央、丸みをびた弓形の天井が特徴的だった。まさに、ここ」

「エリオット……私の大切な物語たちを、魔王の黒衣こくいつつみ込んで闇に閉じ込めないで……この思い出の図書館が、私の心から生み出されたものだというのならなおさ……ら……あ……ああ……し、下をさわらないで……はあ、はあ……あ、あ、あ、あっ!」

「せっかく陰部をさらしてもらったんだ。さわってやらねば、君に失礼だろ?
 そういえば、書物を読み心打たれると我知らず、天井を見上げてしまうと言っていたね。僕に大切な部分をでられ、魂が震えるような思いが浮かんでくるのなら、同じようにすればいいんだよ。
 あおぐと、穹窿きゅうりゅうの美しくもあやしいあおに心奪われた時のように、が統べる天趣てんしゅまで連れて行かれそうだと、君が、書見しょけんした読みものの真似をし呟いたのに対して、僕が、地の底にひろがるような黒暗こくあんでは落ち着けないのかと問うたら――胸もとにかかえた書物を、いっそうに引き寄せながら、本を読む時は、少しばかり暗さを感じた方が落ち着けるので、闇にさらわれるのも、きっと悪くはないと答えてくれた。
 あの時のアリスの無垢な笑顔が忘れられない。
 まばゆいと感じるほどだったら書物たちが傷んでしまうし、光があふれていないから、落ち着いて書見しょけんできるのだと述べてくれたのをおぼえているよ。あまに導かれるようだと例えたのは、新たなよき物語に逢えた時の歓びを表したで、言葉のあやだと可愛らしい様子で言っていた」

「あ……肩を出さないで……せ、背中のリボン、かないで……胸が見えてしま……う……ああっ! 胸、まないで……ああっ! む、胸が出て……あ……あ……思い出の……この白いワンピースの私を、魔王の姿でもてあそばないで……エリオット、やめて……やめ……あっ! あ! あん……い、いんかく……は、激しく……くんっ! あは、あは……陰核いんかくを、指で……はげしく……くあ……あ、あ、あ、あっ」

「魔王のさまなのは、聖女さまが、この姿の僕と思い出の場所で過ごしたいと考えてくれているからではないのかな? 何度も言っているが、そこに浮かぶのは、アリスの心がなしたいと願う事を現出げんしゅつさせる魔法の書物なんだ。
 人の世では見るも美しいとたたえられている貴石きせきよりも、書物をたっとぶ君に、最高の贈りものをしたいと考えて用意したんだよ。僕の可愛い聖女さまが、物語の主人公になれるよう、この魔王エリオット・ジールゲンの力を惜しまず注ぎ込み作りあげたんだ。僕といえど、支度をするのに少し時間がかかってしまったが、やっと君に与えてやれて嬉しい限りだ。
 アリスは、どのような物語を望むんだい?
 人の姿の僕ではなく、悪魔のつの尻尾しっぽを持ち、烏夜色うやいろのマントをまとった魔王を求めてくれた事、喜悦きえつの声をあげたくなる。ふふふ。陰核いんかく、時間をかけてゆっくりとめられるのと、強い刺激故に快感へと転じてしまうほど激しく吸われるのは、どちらが好き?」

「やめて……エリオットへの想いが高ぶってしまうような事は……やめて……おねがい……おねが……ぃ……あはっ! あ、あ……あ……や、やめて……な、めないで……魔王の姿で、私を誘惑しないで……あ……ああっ! ああっ! す、吸わない……で……こ、ここは、私の知っている図書館じゃない……はあ、はあ……ま、魔王の甘言かんげんろうされているだ……け……あはっ! な、めないでっ! い、陰核いんかくを吸われて、められたら……あは……こ、心のどこにも、私の居場所がなくなってしまう……せ、聖女の私の心がおかしくなった……ら……はぁ、はぁ……」

「可愛い聖女さま、君の居場所は、この魔王エリオット・ジールゲンのそばだけ。アリスが、人の世で好んだと思う場所すら、僕の魔力をもってすれば与えてやれるんだ。
 僕の心にも、思い出として深く刻まれているよ。
 吹き抜け二階を指さしながら、右端の書架しょかの一番上に気になる本があるが、棚にかけられた梯子はしごが古びていて、揺れて怖いので、僕に取ってほしいと聖女さまがお願いしてきてくれて嬉しかったな。
 君がしっかりと梯子はしごを押さえているつもりだと、気づかってくれ、魔王である僕の方が、アリスに対しうやうやしい気持ちをいだいてしまった。目の前のすべての出来事が幸甚こうじんの至りであると思ったぐらいだ。無邪気で佳麗かれいな聖女さまに心をつかまれ、今すぐ悪魔のさまさらし、君をかどわかそうと考えてしまった。だが、思いとどまれた。二階へと続く螺旋状の回り階段を素早く駆けあがり、さくをつかみながら、早く物語に逢いたいと言うんだ。願いを聞き届けない訳にはいかない」

「……は、あは……あは……し、尻尾しっぽ……言葉で、私の心を絡め取りながら……尻尾しっぽで、下をでないで……わたしが、ものがたりたちを楽しんだ……この長椅子の上で……あっ! あは、あは……む、胸……胸がっ! や、やめて……魔法を使って……触手やねばったものを具現ぐげんさせて、胸を……ひ、人ならざる力ばかり使って……私の心を奪おうとしないで……あ……んんんっ!」
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