婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

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 自分の部屋に戻り、今晩の出来事をベッドの中で反芻する。嬉しいのと心配なのとで、中々寝られず、何度も寝返りを打ち、気がついたら朝になっていた。

 メイドから、「旦那様からお話があるそうです」と言伝があり、食堂ではなく書斎へと向かう。

 ドアをノックし、「パトリシアです」と告げる。

「パトリシア、入りなさい」

 お父様の、いつもよりも少し硬い声で、返事がある。 
 ドアを開けると、お兄様はすでにいらっしゃって、お父様とお母様の向かいの、二人掛けのソファに腰掛けていた。
 お兄様を見ると、頬が赤く腫れていて、驚いてしまう。

「お兄様、頬が……」
「パトリシア、なぜ呼ばれたか分かっているね。アレックスの隣に座りなさい」
「……はい」

 ソファに座り、心配でお兄様の方を向くと、大丈夫と言う様に、優しい顔で頷かれる。
 お父様とお母様の方へ向き直り、背筋を伸ばす。

「パトリシア、アレックスから話を聞いた…………」

 真剣な顔で話されていた、お父様の顔が歪む。
 心なしか、涙ぐんでらっしゃる……?
 
「お、お父様……?」
「パトリシア、お前を、義兄さんと姉さんの分まで、実の娘以上に、大事に思って育ててきたつもりだよ。……まだまだ、子どもだと思っていたのに……、早過ぎるのではないかな? ……なあ、アレックス?」

 お父様の怒りを帯びた低い声に、お兄様が身じろぐ。

「あなた」

 お母様が、お父様を嗜める。

「パトリシア、……身体は、大丈夫なの?」

 全て知ってるであろうお母様が、優しい声で、私の身体を気遣って下さり、緊張が和らぐ。

「……お母様、心配をかけてごめんなさい。大丈夫よ」
「アレックスが、無理強いをしたんじゃないのか?」
「いいえ! そんな事お兄様はしないわ。お父様もご存知でしょう? 私が無理を言ったの」
「……そうなのか?」

 お父様が、気の抜けた様な声を出される。

「いえ、私が、……自分の気持ちを抑えられなかったからです。パトリシア、無理をさせてしまい、本当にすまなかった」
「そんな。お兄様、無理なんてしてないわ」

「……私も、パトリシアの事は、誰よりも大切に思っています。フィリップに婚約者になってもらう事で、パトリシアを守って下さっていた事は感謝しています。けれど、パトリシアも、もう17才です。本人の意志を、もっと早くに確認する必要もあったのでは? 実際、パトリシアは、フィリップと夫婦になる事を真剣に考え、悩んでいました」

「それの、何が悪いんだ? フィリップの事が好きなら、フィリップでも良かったんだ。……そうすれば、まだ先の話だったのだよ? それを、お前が……」
「パトリシアは、父上と母上に感謝しているからこそ、悩んでいたんですよ。せっかく整えてもらった婚約を、幸せなものにしなければならないと、思い詰めていたんだ」

「…………そうなのか? パトリシア?」

「……お父様、私、お父様とお母様に育てて頂いて、とても幸せに暮らせています。私の事を思い、お父様がして下さった事、本当に感謝しております。ただ……、フィリップと、その、結婚をした後の事を考えた時に、お互いに夫婦としてやっていけるのか、分からなくなってしまって……、お兄様に相談をしたの」

「……そうだったのか……」
「それで、余計に、フィリップと夫婦になる事は出来ないと分かってしまったの」
「………………アレックスの事が、好きなのかい?」

「ええ、大好きです」

 お兄様の事を思うと、自然と笑みが溢れてしまう。

「……あなた、二人共、いつまでも小さい子供ではないのよ」
「…………分かっている」

 呟く様に、お父様が言う。

「……アレックス、パトリシアが、好意を寄せてくれたからといって、結婚前に理性を保てずに、行為に及んだ事は、到底許せる事ではない」
「お父様! でも、それは、私がお兄様に、」

「パトリシア、違うんだ。……分かっています。まだ、学生の身でありながら、自分を律せなかった事については、どんな罰でも受けます。……私は、パトリシアを、本当の妹の様に思い、一緒に育ってきました。なのに、パトリシアに邪な気持ちを抱いてしまう自分を許せなかった……」

「お兄様……」

「パトリシアは、そんな私を……受け入れてくれました。パトリシア以上に、大切に思える女性は、今までも、これからも現れません。……生涯、パトリシアと共にいる事を、許して頂けますか?」

「………………結婚は……、お前が大学を卒業してからだ。それまでは、パトリシアに指一本触れるな。それが、お前への罰だ」
「分かりました。結婚するまでは、指一本触れません。必ず約束は守ります」
「なら、話は終わりだ。もう朝食の時間だ。二人共、先に行きなさい……」
「……はい、お父様」

 お兄様と二人で部屋を出る。

 書斎には、お父様とお母様だけが残る。

「………パトリシアは、『お父様と結婚する』と、言っていたんだよ。…………二人共、もう、小さな子供ではないんだね。」
「そうね。でも、まだ危なっかしい所はあるんだから、見守ってあげましょうね。……今までが、過保護過ぎたのかしらね。しっかりと自分の意見が言える様になったんだもの。もう、立派な大人だわ」
「ああ、だが、結婚するまでは、まだ子供だからな。絶対に約束は守らせるぞ」
「あまり、アレックスに厳しくし過ぎると、パトリシアに嫌われるわよ」
「っ、いや、しかし、それだけは、駄目だっ」
「あなた……」

◇◇◇

「お兄様、頬が赤くなっているわ」
「ああ、これかい? 大丈夫だよ」
「お父様が……?」
「父も、パトリシアの事が大切だからだよ」
「……私も、望んだことなのに……? お兄様ばかりおかしいわ」
「いや、女性はどうしても、力では男には敵わないだろう? だから、パトリシアには何度も男と二人きりになるなと言ったんだよ。父の心配は最もだよ。僕だって、パトリシアのお願いを、拒もうと思えば拒めたんだから」
「そうなのかしら……? やっぱり納得できないわ」

「……パトリシア、僕が大学を卒業するまで、待ってくれるかい?」
「もちろんよ!…………お兄様、その、それまでは、指一本触れてはいけないのよね?」
「そうだよ」
「……分かったわ。それまでは、自分で出来る事をします」
「……パトリシア、あまり、無茶はしないようにね?」
「ええ、分かってるわ、お兄様」

 お兄様に、心配そうな顔で見つめられたのは、どうしてだったのかしら……?


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