流行りじゃない方の、ピンク髪のヒロインに転生しました。

文字の大きさ
7 / 39
第一章

7 ※

しおりを挟む


 成長期の、神力の暴走を抑える為に、「交わる」場合は、月一回程度で充分で、体液で摂取する場合は、効果がそれよりも低く、頻度を上げて摂取する必要があるらしい。摂りすぎも身体に負担がかかってしまうから、週に二回で、という事になった。
 どちらにしても、「声変わり」が目安になり、落ち着いた大人の声になる頃には、「交わり」も、体液の摂取も必要無くなるらしい。




 ルカ君の、骨張った手で、胸を形が変わるくらいに揉まれ、胸の先に吸いつかれる。じゅっと強く吸われ、舌先で、一滴も逃さない様に舐めとられてしまう。

「ぁ、んッ」


 ルカ君が、「聖蜜」を摂取し始めてから、やはり成長期だったのだ、という事を、実感している。
 
 日に日に、少年の滑らかな骨格から、節ばった身体になってきていて、喉仏も出てきている。声変わりのせいか、少し声も枯れ気味で、出しにくそうにしている時があった。

 
「んっ、もぅ、」
「まだ、もうちょっとだけ」

 と少し掠れた声で言われる。掠れた声が、やけに色っぽくて、どきりとしてしまう。
 もうすでに硬くなって、ツンと立っている、反対側の胸の先に吸いつかれた。

「あっ、ゃ」

 軽く歯を立てられ、身体がびくりと反応してしまう。

「んッ」

 舌で絡めとられながら、胸の先全体を咥え込む様に、強く吸われてしまう。

「あ、ンンッ」

 扱く様に、ちゅぽんと、胸の先から唇を離された。

「んっ」

 は、とルカ君が息を吐く。
 あまりの刺激の強さに、涙目になってしまう。

「ミアさん、大丈夫……? ごめん、痛くなかったかな?」

 ルカ君に、心配そうな顔で聞かれる。

「……はい。大丈夫、です」

 始めは、ルカ君の方が、あんなに躊躇っていたのに、今では、自分の身体が、ルカ君の一挙一動に、翻弄されてしまっている。
 それに、ルカ君にとって必要な事だからと、分かってはいるけれど、ルカ君に触れられて嬉しいと思う自分に、酷く戸惑ってもいた。




 服を整えて、一息つく。

「ミアさんは、サウィン祭りでは、何を着るの?」
「まだ、決めていなくて。今度、寮長に相談しようと思っているんです。今までの仮装で使ったものを、お借りする事もできるみたいで」

 「サウィン祭り」とは、10月31日から11月1日にかけね行われる、夏の終わりと冬の訪れを告げるお祭りのことだ。
 
 この日は、あの世とこの世が繋がる日で、出てきてしまった魔物や、霊や、妖精に連れて行かれない様に仮装をする。
 
 魔除けの意味で、家の前に松明を焚いたりもするのだけれど、学園では、寮の寮長が代表として、各寮の松明に火をつける役をする。その後ろを、みんなで仮装し、行列になって、学園内を渡り歩く。
 
 その後は、学園内の丘がある場所で、ガーデンパーティーをする。この日は、先生や生徒、貴族、平民関係無く、仮装してどんちゃん騒ぎをするらしい。

「ルカ君は、何を着るんですか?」
「実は、初めて仮装するんだよね。辺境領だと、喰種が出てきてしまったりする日だから、領都の人達も、魔物が寄り付きにくいように、松明を焚いて静かに過ごすんだ。その分、サウィンが明けた日は、盛大にお祝いするんだけど」
「……そうなんですね。ルカ君のお父さんや、辺境領で守ってくれてる方達がいるから、みんな安心してサウィン祭りが出来てるんですね」
「でもね、11月1日のお祝いの祭りは、すごく盛り上がるよ。屋台も沢山出るし、広場でみんなで踊ったりして、とても楽しいよ。また、ミアさんと一緒に行きたいな」
「ええ、是非行ってみたいです」




 仮装のことを、寮長に相談すると、ディアナさんを紹介された。

「うちに着ていない服が沢山あるので、女の子達に是非使って頂きたくて」

 衣装に困っていた子達が、ぞろぞろとディアナさんのお部屋にお邪魔している。

「わ、ミア、これ可愛いわよ! 妖精みたいね」
「エマに似合いそう! こっちのドレスも素敵ね」

 今日は、同室のエマも一緒だ。

「さすが、シェラード家ね。どれも品質が良いわ!」

 エマのおうちは貿易関係の仕事をしているからか、目が肥えていて、エマもいつも上質な物を選んで、身につけている。
 ディアナさんは、王家に最も近い、公爵家の令嬢だ。代々、宰相をされている家系で、政治的にとても力のあるおうちだ。

「これだけあると迷ってしまうわね」
「なるべくシンプルで、着やすいものが良いのだけど……」

「皆さん、どれでも気に入った物を選んで下さいね。ご自分で、手を入れられるなら、好きにして下さったら良いですし、もし、ご自分でなさるのが難しければ、メイドのアンナが、裁縫が得意ですので、相談なさって下さいね」

 平民の子達の殆どが、衣装を用意するのに苦労していたので、ディアナさんの気遣いを、皆感謝していた。

 そして、肝心の仮装用の衣装は、……ギリシャ風のオフホワイトのシンプルなドレスを選んだ。自分でも着られそうで、比較的扱いやすそうだったから……という理由。
 ディアナさんの方が背が高いので、丈を詰めないといけないけれど、それくらいなら出来るかな。難しそうなら、アンナさんに相談させてもらおう。
 

 ディアナさんに衣装を貸してもらった後、図書館へ向かっていると、コーンウォリスさんに声をかけられる。

「……あなたにお話したい事があって。少しお時間良いかしら?」
「私に、ですか?」
「ええ」

 ここではなんだから、と、人気の少ない、中庭のベンチに案内される。

「突然、ごめんなさいね。……あなたに、お願いしたい事があって。……その……、私には、一つ下の弟がいるんだけれど、小さい頃から身体が弱くて……、それで、このままだと、跡取りになるのが難しいかもしれないと言われているの」
「……そうなんですね」
「それでね。弟は、その、「交わる」のも無理なくらい、体力が落ちてしまっていて……、今は、薬で抑えているけれど、薬も身体に負担になってしまうから、日に日に弱っていっていて……、こんな事、あなたに頼むなんて、図々し過ぎる、って分かってるんだけれど、……ルカが、あなたのおかげで、薬を飲む必要が無くなったでしょう? 本当に感謝しているわ」

 優しい知的イケメンの人、だ。
 コーンウォリスさんの弟さんが、最後の攻略対象だったんだ。
 
「……いえ、それは、私ができる事をしただけですし、自分のためでもあるので」
「……そうなのね。仲が良いものね。あなたとルカ」
 
 コーンウォリスさんが、黙ってしまう。

「……その、私に出来る事なら、させて下さい」
「っ、でも、」
「弟さんはもちろん、コーンウォリスさんも、ご家族の皆さんも、ずっと辛い思いをされてるんですよね。私が出来る事で、お力になれるなら嬉しいです」
「……本当に? 良いの?」

 コーンウォリスさんが、泣きそうな顔をする。

「はい」
「……ルカに、相談しなくて、良いの?」
「ルカ君は、……友達ですし、どうするか決めるのは、私自身なので」

 私の為に、恋人のフリをしてもらっているけれど、ちゃんと成長したルカ君には、婚約者がすぐに出来るだろう。
 
「……そう、なのね」
「あの、……あまり時間を置かない方がいいことですよね」
「そうね。……あなたさえ良ければ、この週末は、どうかしら……?」
「分かりました」
「じゃあ、馬車を迎えに来させるから。私も一緒に行くわね。……お願い、します」
「はい」
「…………本当に、ありがとう」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

氷の公爵さまが何故か私を追いかけてくる

アキナヌカ
恋愛
私は馬車ごと崖から転落した公爵さまを助けた、そうしたら私は公爵様に俺の嫁だと言って追われることになった。

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい

狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。 ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる

今泉 香耶
恋愛
王女エレインは隣国との戦争の最前線にいた。彼女は千人に1人が得られる「天恵」である「ガーディアン」の能力を持っていたが、戦況は劣勢。ところが、突然の休戦条約の条件により、敵国の国王の側室に望まれる。 敵国で彼女を出迎えたのは、マリエン王国王弟のアルフォンス。彼は前線で何度か彼女と戦った勇士。アルフォンスの紳士的な対応にほっとするエレインだったが、彼の兄である国王はそうではなかった。 エレインは王城に到着するとほどなく敵国の臣下たちの前で、国王に「ドレスを脱げ」と下卑たことを強要される。そんなエレインを庇おうとするアルフォンス。互いに気になっていた2人だが、王族をめぐるごたごたの末、結婚をすることになってしまい……。 敵国にたった一人で嫁ぎ、奇異の目で見られるエレインと、そんな彼女を男らしく守ろうとするアルフォンスの恋物語。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

氷の魔術師(引きこもり)のはずなのに、溺愛されても困ります。

入海月子
恋愛
「もう、なんですぐ石になるのよ〜!」 没落貴族のサナリは突然、天才だけど人嫌いの魔術師シーファから世話係に指名された。面識もないのにと疑問に思うが、騙し取られた領地を取り戻すために引き受けることにする。 シーファは美形。でも、笑顔を見たことがないと言われるほどクール……なはずなのに、なぜかサナリには蕩ける笑みを見せる。 そのくせ、演習に出てくださいとお願いすると「やだ」と石(リアル)になって動かない。 なんでよ!?

乙女ゲームの世界に転移したら、推しではない王子に溺愛されています

砂月美乃
恋愛
繭(まゆ)、26歳。気がついたら、乙女ゲームのヒロイン、フェリシア(17歳)になっていた。そして横には、超絶イケメン王子のリュシアンが……。推しでもないリュシアンに、ひょんなことからベタベタにに溺愛されまくることになるお話です。 「ヒミツの恋愛遊戯」シリーズその①、リュシアン編です。 ムーンライトノベルズさんにも投稿しています。

期間限定の関係のはずでは?〜傷心旅行に来たら美形店長に溺愛されてます〜

水無月瑠璃
恋愛
長年付き合った彼氏から最悪な形で裏切られた葉月は一週間の傷心旅行に出かける。そして旅先で出会った喫茶店の店長、花村とひょんなことから親しくなり、うっかり一夜を共にしてしまう。 一夜の過ちだとこれっきりにしたい葉月だが、花村は関係の継続を提案してくる。花村に好感を抱いていた葉月は「今だけだしいっか」と流されて関係を続けることになるが…。

処理中です...