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第一章
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しおりを挟む成長期の、神力の暴走を抑える為に、「交わる」場合は、月一回程度で充分で、体液で摂取する場合は、効果がそれよりも低く、頻度を上げて摂取する必要があるらしい。摂りすぎも身体に負担がかかってしまうから、週に二回で、という事になった。
どちらにしても、「声変わり」が目安になり、落ち着いた大人の声になる頃には、「交わり」も、体液の摂取も必要無くなるらしい。
ルカ君の、骨張った手で、胸を形が変わるくらいに揉まれ、胸の先に吸いつかれる。じゅっと強く吸われ、舌先で、一滴も逃さない様に舐めとられてしまう。
「ぁ、んッ」
ルカ君が、「聖蜜」を摂取し始めてから、やはり成長期だったのだ、という事を、実感している。
日に日に、少年の滑らかな骨格から、節ばった身体になってきていて、喉仏も出てきている。声変わりのせいか、少し声も枯れ気味で、出しにくそうにしている時があった。
「んっ、もぅ、」
「まだ、もうちょっとだけ」
と少し掠れた声で言われる。掠れた声が、やけに色っぽくて、どきりとしてしまう。
もうすでに硬くなって、ツンと立っている、反対側の胸の先に吸いつかれた。
「あっ、ゃ」
軽く歯を立てられ、身体がびくりと反応してしまう。
「んッ」
舌で絡めとられながら、胸の先全体を咥え込む様に、強く吸われてしまう。
「あ、ンンッ」
扱く様に、ちゅぽんと、胸の先から唇を離された。
「んっ」
は、とルカ君が息を吐く。
あまりの刺激の強さに、涙目になってしまう。
「ミアさん、大丈夫……? ごめん、痛くなかったかな?」
ルカ君に、心配そうな顔で聞かれる。
「……はい。大丈夫、です」
始めは、ルカ君の方が、あんなに躊躇っていたのに、今では、自分の身体が、ルカ君の一挙一動に、翻弄されてしまっている。
それに、ルカ君にとって必要な事だからと、分かってはいるけれど、ルカ君に触れられて嬉しいと思う自分に、酷く戸惑ってもいた。
服を整えて、一息つく。
「ミアさんは、サウィン祭りでは、何を着るの?」
「まだ、決めていなくて。今度、寮長に相談しようと思っているんです。今までの仮装で使ったものを、お借りする事もできるみたいで」
「サウィン祭り」とは、10月31日から11月1日にかけね行われる、夏の終わりと冬の訪れを告げるお祭りのことだ。
この日は、あの世とこの世が繋がる日で、出てきてしまった魔物や、霊や、妖精に連れて行かれない様に仮装をする。
魔除けの意味で、家の前に松明を焚いたりもするのだけれど、学園では、寮の寮長が代表として、各寮の松明に火をつける役をする。その後ろを、みんなで仮装し、行列になって、学園内を渡り歩く。
その後は、学園内の丘がある場所で、ガーデンパーティーをする。この日は、先生や生徒、貴族、平民関係無く、仮装してどんちゃん騒ぎをするらしい。
「ルカ君は、何を着るんですか?」
「実は、初めて仮装するんだよね。辺境領だと、喰種が出てきてしまったりする日だから、領都の人達も、魔物が寄り付きにくいように、松明を焚いて静かに過ごすんだ。その分、サウィンが明けた日は、盛大にお祝いするんだけど」
「……そうなんですね。ルカ君のお父さんや、辺境領で守ってくれてる方達がいるから、みんな安心してサウィン祭りが出来てるんですね」
「でもね、11月1日のお祝いの祭りは、すごく盛り上がるよ。屋台も沢山出るし、広場でみんなで踊ったりして、とても楽しいよ。また、ミアさんと一緒に行きたいな」
「ええ、是非行ってみたいです」
仮装のことを、寮長に相談すると、ディアナさんを紹介された。
「うちに着ていない服が沢山あるので、女の子達に是非使って頂きたくて」
衣装に困っていた子達が、ぞろぞろとディアナさんのお部屋にお邪魔している。
「わ、ミア、これ可愛いわよ! 妖精みたいね」
「エマに似合いそう! こっちのドレスも素敵ね」
今日は、同室のエマも一緒だ。
「さすが、シェラード家ね。どれも品質が良いわ!」
エマのおうちは貿易関係の仕事をしているからか、目が肥えていて、エマもいつも上質な物を選んで、身につけている。
ディアナさんは、王家に最も近い、公爵家の令嬢だ。代々、宰相をされている家系で、政治的にとても力のあるおうちだ。
「これだけあると迷ってしまうわね」
「なるべくシンプルで、着やすいものが良いのだけど……」
「皆さん、どれでも気に入った物を選んで下さいね。ご自分で、手を入れられるなら、好きにして下さったら良いですし、もし、ご自分でなさるのが難しければ、メイドのアンナが、裁縫が得意ですので、相談なさって下さいね」
平民の子達の殆どが、衣装を用意するのに苦労していたので、ディアナさんの気遣いを、皆感謝していた。
そして、肝心の仮装用の衣装は、……ギリシャ風のオフホワイトのシンプルなドレスを選んだ。自分でも着られそうで、比較的扱いやすそうだったから……という理由。
ディアナさんの方が背が高いので、丈を詰めないといけないけれど、それくらいなら出来るかな。難しそうなら、アンナさんに相談させてもらおう。
ディアナさんに衣装を貸してもらった後、図書館へ向かっていると、コーンウォリスさんに声をかけられる。
「……あなたにお話したい事があって。少しお時間良いかしら?」
「私に、ですか?」
「ええ」
ここではなんだから、と、人気の少ない、中庭のベンチに案内される。
「突然、ごめんなさいね。……あなたに、お願いしたい事があって。……その……、私には、一つ下の弟がいるんだけれど、小さい頃から身体が弱くて……、それで、このままだと、跡取りになるのが難しいかもしれないと言われているの」
「……そうなんですね」
「それでね。弟は、その、「交わる」のも無理なくらい、体力が落ちてしまっていて……、今は、薬で抑えているけれど、薬も身体に負担になってしまうから、日に日に弱っていっていて……、こんな事、あなたに頼むなんて、図々し過ぎる、って分かってるんだけれど、……ルカが、あなたのおかげで、薬を飲む必要が無くなったでしょう? 本当に感謝しているわ」
優しい知的イケメンの人、だ。
コーンウォリスさんの弟さんが、最後の攻略対象だったんだ。
「……いえ、それは、私ができる事をしただけですし、自分のためでもあるので」
「……そうなのね。仲が良いものね。あなたとルカ」
コーンウォリスさんが、黙ってしまう。
「……その、私に出来る事なら、させて下さい」
「っ、でも、」
「弟さんはもちろん、コーンウォリスさんも、ご家族の皆さんも、ずっと辛い思いをされてるんですよね。私が出来る事で、お力になれるなら嬉しいです」
「……本当に? 良いの?」
コーンウォリスさんが、泣きそうな顔をする。
「はい」
「……ルカに、相談しなくて、良いの?」
「ルカ君は、……友達ですし、どうするか決めるのは、私自身なので」
私の為に、恋人のフリをしてもらっているけれど、ちゃんと成長したルカ君には、婚約者がすぐに出来るだろう。
「……そう、なのね」
「あの、……あまり時間を置かない方がいいことですよね」
「そうね。……あなたさえ良ければ、この週末は、どうかしら……?」
「分かりました」
「じゃあ、馬車を迎えに来させるから。私も一緒に行くわね。……お願い、します」
「はい」
「…………本当に、ありがとう」
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