善悪を超えて行く者

べんぞう

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その正体の奥の奥

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しつこいようだが、自分の正体はコミュニケーション依存である。コミュニケーションに依存しなければ我が身の安泰が図れないからである。
安全欲は1次方程式の労力演算のことだが、これは生物的な本能なので外すことは無理である。(推測だが、地球上に生命が誕生したとき、安全欲を持たない種もあったかもしれない。そしておそらくすぐに滅んだ。)
1次労力演算は新生児にもあるが、コミュニケーション依存は無い。従ってこれは後天的なものだと分かる。自分には何の力も知識もなく、生きていくためには他人の助けが不可欠であると認識する前に、依存は始まる。依存は強力に作用するから、生存と成長には非常に役に立つ。
つまりこの時点で、依存はしたくてしていることになる。
成長して、依存の毒性に気づき、それを捨てたいと思っても、自分の主格が依存であり、且つやりたくてやっているという事実が分かるだけだ。
周りとコミュニケーションを取りたい。
一見無欲な要望だが、自分を分かって欲しいから、という理由が主であるなら、やはりそれは欲なのである。
これが純粋に相手のためであるとか、我も彼もなく皆で楽しんでいる状態であれば、間違いなく愛である。ここで問題にしているのは、自分の事を認識・理解して欲しいという乳児期の要求が、自分の土台であるということなのだ。
これは恐ろしい事実である。
全く自覚はないのに、実は依存をしたがっている。
ということは、捨てたいという気持ちと矛盾している。
そんなバカなと疑いたいところだが、そうでなければ、この依存を剥がす確実な方法が、とうの昔に体系化されているはずである。

マイナスの証明は難しいと言ったが、ここでようやく、マインドが納得できる上質の情報が提示できる。
成長の過程で、どうしてもコミュニケーション依存には陥ってしまう。依存ではなくてコミュニケーション認識くらいに留まれば良いのだが、そのためには充分な体験と記憶が必要になる。というか、それはコミュニケーションに失敗して初めて学べる。
順序的に、依存が先にならざるを得ない。
だからわれわれは、コミュニケーション依存を選ぶしかなくなる。コミュニケーションを断っては、空腹や寒さをしのげない。他者の助けが必要であり、それをがっちりと掴んでおかないといけないのだ。それは時折訪れるトラブル(急な保護者の不在など)によって、強力に意識に植え付けられる。

自覚がない方が、依存は強力になる。自覚がないと依存に対する疑問も浮かばないからだ。恵まれた環境に生まれて何の苦労もなく育てられた子供は、周りがすべてやってくれるのが当たり前だと認識している。自分でやるなどという、労力のかかることは容易に回避できたからだ。

われわれに残された方法は、依存の一つ一つに気づいていくやり方しかない。依存に伴う労力を自覚するやり方しかない。そして同時に、時には他者の力を借り、意固地にならないように気を配る必要がある。自分の力だけですべてをやろうとするのは、理想の自分像に対してのコミュニケーション依存になるからだ。

しかしそれを、目まぐるしい社会の中で行うのは大変である。依存による行動は反射的で、とにかく速いし、そこそこうまく行く。手放す理由が、余り無いのだ。
しかし、コミュニケーション依存は恐怖を元に発生しているから、狭いコミュニティの中でしか効果が実感できない。人類が国家や部族で固まりを作り、他のグループと反目するのはこれが要因になっている。隔絶や戦争は、コミュニケーション依存が引き起こしているのだ。
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