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第二部 非正規探偵の憂鬱 第一章 魔法の種
第5話
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その日の夕方。
ドンドンドン!
部屋のドアを強く叩く音。
「かおる! 出てこい。さっさと出てこい!」
ミホの声だ。
僕がドアを開けると、腕組みして仁王立ちの女の子。
「あんた、何やってんのよ。また本当に人が死んじゃったじゃない!」
僕が呆然として黙り込んでいると、ミホはまくしたてる。
「もう一回言うわよ。これはね。ゲームなの! なんで本当に殺人事件が起きちゃうのよ!」
僕が殺した訳じゃないのに⋯⋯。
「事件はゲームの中で起きている。ゲームの中で起きているんだからゲームの中で解決すればいいだけだね」
ミホはそう言うとポータブルゲーム機を取り出す。
「今度こそ事件を解決してこい。それとメガネな。なくすなよ」
僕はメガネを受け取る。
「スイッチオン! 行って来い。名探偵かおる!」
うわっ!
目の前のミホが消えた。
「さっさと行くよ。かおるは本当グズなんだから」
僕はN大学キャンパスに直行する。途中、ミホが守衛さんに捕まったが僕は無視して1号館102教室に向かう。教室に入ると、警官がいない。警官がいない代わりにあのメガバンクでずっと座っていたオジサンがいる。他の4人は前回同様だ。当然、頭から赤いペンキをかぶったオジサンもいない。
さあ、推理開始だ。
教室の中には前回同様3人いる。
あれ!
佐伯さんがいない。
警官を除くと3人だったはず。なんで4人と思ったのか?
『数』
そうだ。
僕が認識した学生の数が実際と違っていた?
多分、それで間違いない。
じゃあ、あと1人は……。
まさかね。
冗談はやめようよ。
実際に現実世界で殺された女を認識していたなんて。
もういいや。僕は聞き込みを開始する。まずは机に両肘をつき呆然として椅子に座っている女学生。
「佐伯さんは魔法の種を盗んだ」
マジ?
念のためもう一度。
「佐伯さんは魔法の種を盗んだ」
次に窓際の席で文庫本を読んでいる男。
「オートマチック」
念のためもう一度。
「オートマチック」
次は一番前の席で寝ている男。
「……」
念のためもう一度。
「……」
やっぱり寝ているだけだ。
このメガネさあ。
サイズが合ってないからすぐずれる。
僕はメガネを引き上げる。
ポチッ!
この教室での会話が走馬灯のように駆けていく。
教授を殺した犯人はわかった。
わかったけど、それだけ。
それにこれでは現実世界の殺人事件は解決できない。
人の配置は?
教室の前方で知らないオジサンが警官2人に挟まれて立っている。
学生3人はそのままの配置。
僕は聞き込みを再開する。まずは机に両肘をつき呆然として椅子に座っている女学生。
「教授を殺したオジサンのプレイヤーは藤堂沙織」
プレイヤー?
藤堂沙織って、教授の親族か?
念のためもう一度。
「教授を殺したオジサンのプレイヤーは藤堂沙織」
窓際で文庫本を読んでいる男に話掛ける。
「魔法の種の名前」
何が?
念のためもう一度。
「魔法の種の名前」
次は一番前の席で寝ている男。
「オートマチックは藤堂沙織が持っている」
起きた!
念のためもう一度。
「オートマチックは藤堂沙織が持っている」
意味がわからん。
最後に研究室の前の方にいる3人。
藤堂沙織のパートナーらしいオジサンに話掛ける。
「クソッ! なんでわかったんだ」
念のためもう一度。
「クソッ! なんでわかったんだ」
警官Bに声を掛ける。
「警部、まずいですよ。証拠もないのに逮捕なんて」
マジ。
またですか?
どうせ民間人頼りだろ。
念のためもう一度。
「警部、まずいですよ。証拠もないのに逮捕なんて」
警官Aに話掛ける。
「さあ、名探偵。君の推理を聞こうじゃないか」
ほらね。
僕はメガネの真ん中辺りを押す。
ポチッ!
人の配置は?
藤堂沙織のパートナーらしいオジサンが警官2人に挟まれてしゃがみ込んでいる。
学生3人はそのままの配置。
僕は聞き込みを再開する。
窓際で本を読んでいる男に話掛ける。
「オートマチックはRPGの世界に人を閉じ込める魔法の種」
マジ?
念のためもう一度。
「オートマチックはRPGの世界に人を閉じ込める魔法の種」
次は一番前の席で寝ている男。
「オートマチックはプレイヤーが盗んだ」
プレイヤーって、藤堂沙織?
念のためもう一度。
「オートマチックはプレイヤーが盗んだ」
最後に教室の前の方にいる3人。
あのオジサンに話掛ける。
「へへへ、オレはやってねえぞ」
念のためもう一度。
「へへへ、オレはやってねえぞ」
警官Bに声を掛ける。
「警部、証拠なんかないですよ」
念のためもう一度。
「警部、証拠なんかないですよ」
警官Aに話掛ける。
「そうか。プレイヤーの共犯者が実行犯か。じゃあ、こいつにプレイヤーの居所を吐かせればいいんだね。名探偵!」
ぼ、ぼ、僕は何も言ってないぞ。
そういう結論だけど。
ドンドンドン!
部屋のドアを強く叩く音。
「かおる! 出てこい。さっさと出てこい!」
ミホの声だ。
僕がドアを開けると、腕組みして仁王立ちの女の子。
「あんた、何やってんのよ。また本当に人が死んじゃったじゃない!」
僕が呆然として黙り込んでいると、ミホはまくしたてる。
「もう一回言うわよ。これはね。ゲームなの! なんで本当に殺人事件が起きちゃうのよ!」
僕が殺した訳じゃないのに⋯⋯。
「事件はゲームの中で起きている。ゲームの中で起きているんだからゲームの中で解決すればいいだけだね」
ミホはそう言うとポータブルゲーム機を取り出す。
「今度こそ事件を解決してこい。それとメガネな。なくすなよ」
僕はメガネを受け取る。
「スイッチオン! 行って来い。名探偵かおる!」
うわっ!
目の前のミホが消えた。
「さっさと行くよ。かおるは本当グズなんだから」
僕はN大学キャンパスに直行する。途中、ミホが守衛さんに捕まったが僕は無視して1号館102教室に向かう。教室に入ると、警官がいない。警官がいない代わりにあのメガバンクでずっと座っていたオジサンがいる。他の4人は前回同様だ。当然、頭から赤いペンキをかぶったオジサンもいない。
さあ、推理開始だ。
教室の中には前回同様3人いる。
あれ!
佐伯さんがいない。
警官を除くと3人だったはず。なんで4人と思ったのか?
『数』
そうだ。
僕が認識した学生の数が実際と違っていた?
多分、それで間違いない。
じゃあ、あと1人は……。
まさかね。
冗談はやめようよ。
実際に現実世界で殺された女を認識していたなんて。
もういいや。僕は聞き込みを開始する。まずは机に両肘をつき呆然として椅子に座っている女学生。
「佐伯さんは魔法の種を盗んだ」
マジ?
念のためもう一度。
「佐伯さんは魔法の種を盗んだ」
次に窓際の席で文庫本を読んでいる男。
「オートマチック」
念のためもう一度。
「オートマチック」
次は一番前の席で寝ている男。
「……」
念のためもう一度。
「……」
やっぱり寝ているだけだ。
このメガネさあ。
サイズが合ってないからすぐずれる。
僕はメガネを引き上げる。
ポチッ!
この教室での会話が走馬灯のように駆けていく。
教授を殺した犯人はわかった。
わかったけど、それだけ。
それにこれでは現実世界の殺人事件は解決できない。
人の配置は?
教室の前方で知らないオジサンが警官2人に挟まれて立っている。
学生3人はそのままの配置。
僕は聞き込みを再開する。まずは机に両肘をつき呆然として椅子に座っている女学生。
「教授を殺したオジサンのプレイヤーは藤堂沙織」
プレイヤー?
藤堂沙織って、教授の親族か?
念のためもう一度。
「教授を殺したオジサンのプレイヤーは藤堂沙織」
窓際で文庫本を読んでいる男に話掛ける。
「魔法の種の名前」
何が?
念のためもう一度。
「魔法の種の名前」
次は一番前の席で寝ている男。
「オートマチックは藤堂沙織が持っている」
起きた!
念のためもう一度。
「オートマチックは藤堂沙織が持っている」
意味がわからん。
最後に研究室の前の方にいる3人。
藤堂沙織のパートナーらしいオジサンに話掛ける。
「クソッ! なんでわかったんだ」
念のためもう一度。
「クソッ! なんでわかったんだ」
警官Bに声を掛ける。
「警部、まずいですよ。証拠もないのに逮捕なんて」
マジ。
またですか?
どうせ民間人頼りだろ。
念のためもう一度。
「警部、まずいですよ。証拠もないのに逮捕なんて」
警官Aに話掛ける。
「さあ、名探偵。君の推理を聞こうじゃないか」
ほらね。
僕はメガネの真ん中辺りを押す。
ポチッ!
人の配置は?
藤堂沙織のパートナーらしいオジサンが警官2人に挟まれてしゃがみ込んでいる。
学生3人はそのままの配置。
僕は聞き込みを再開する。
窓際で本を読んでいる男に話掛ける。
「オートマチックはRPGの世界に人を閉じ込める魔法の種」
マジ?
念のためもう一度。
「オートマチックはRPGの世界に人を閉じ込める魔法の種」
次は一番前の席で寝ている男。
「オートマチックはプレイヤーが盗んだ」
プレイヤーって、藤堂沙織?
念のためもう一度。
「オートマチックはプレイヤーが盗んだ」
最後に教室の前の方にいる3人。
あのオジサンに話掛ける。
「へへへ、オレはやってねえぞ」
念のためもう一度。
「へへへ、オレはやってねえぞ」
警官Bに声を掛ける。
「警部、証拠なんかないですよ」
念のためもう一度。
「警部、証拠なんかないですよ」
警官Aに話掛ける。
「そうか。プレイヤーの共犯者が実行犯か。じゃあ、こいつにプレイヤーの居所を吐かせればいいんだね。名探偵!」
ぼ、ぼ、僕は何も言ってないぞ。
そういう結論だけど。
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