何でも殺(や)の裏事情

ピッチャン

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外伝と言う名の世間話

獣族な人間と恋する少年

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アド「…」
何でも屋の従業員になってから早1週間…
ここの仕事は、盗賊団にいた頃よりずっとキツイ…まあ当たり前だろう、前は襲撃と潜伏の繰り返しだからな。
アド「ふう…」
今回はとある婆さんの買い物の使いとして、店から依頼人の家に向かっていた。
アド「…よっと」
台車の上には、パン、米、肉、魚…etc
食料類が豊富だった…後は花が少しある。
俺は荷物を運び終える為に、台車を再度押し始めた。










アド「持って来ましたよー!」
スルート「あらあら、ありがとうね…」
玄関を開け荷物を入れてると、奥の部屋からヨタヨタと迎えてくれた。
この人が件の婆さん、名前はスルートさんだ。
アド「これは…備蓄ですか?」
手にしたのは、塩が予め振られてた肉と魚だ。
スルート「あら、よく分かったわね」
アド「となると、これは何処に入れれば?」
スルート「地下室があるのよ…まあ、物置なんだけどね」
キッチンに入る、そこには椅子と机が真ん中に設置してあり、その机の下、つまりその真下の床に小さな穴が開いていた。
スルート「よい…しょと…ほら、ここよ」
机を退かしたスルートは、そのまま地面の穴に指をかけ、パカリと開けた。
アド「入れますね」
見ると、中は人が1人入れるかどうか怪しいほどの狭さの空間があった。
そこに肉を入れると手が冷えた、なるほど、隙間風と地面との近さを利用してるのか。
スルート「ありがとうねぇ…終わったら居間に来て頂戴?そこで払うから…」
そう言って、スルートはヨタヨタと歩いて行った。








全て入れ、居間に向かうとスルートがちょこんと座っていた。
アド「終わりましたよ」
スルート「ありがとうねぇ」
アド「大丈夫ですよ、これぐらい」
そう言って、座ってるスルートに近づいて報酬を貰おうとするが
スルート「お茶を入れたの、お飲みになって?」
アド「え…いや、その」
スルート「良いから良いから、ほんのお礼よ」
アドは、さっさと帰るつもりだったのだが…ご好意には断る訳にもいかなかった。
アド「じゃあ…お言葉に甘えて」
俺は座り、お茶を飲む。
すると、
ドタドタドタ!と、走る音が聞こえたと思うと玄関が勢いよく開けられた、その足音は廊下を通り居間まで来た。
アド「ッ…?」
反射的に見ると、そこには少年が立っていた。ヒロよりも、少し歳下だろうか?少年はアドを見て困惑してるようだ。
スルート「あら、どうしたの?」
スルートは知ってるようで声をかけるも、少年はアドが立とうとしたところ、怯えて、また、ドタドタドタ!と駆け出して行く。
アド「あ…おい!」
廊下に出るも、少年は玄関を開け、そのまま飛び出して行ってしまった。
アド「なんだったんだ…?」
スルート「私の孫よ、最近遊びに来てくれるんだけど…」
スルートも廊下に出て来てくれた。
アド「…そうですか」
スルート「気にしないでくださいね?それと、はいこれ」
報酬を払ってくれた、
スルート「また頼むから、その時もよろしくね?」
アド「はい、ありがとうございます」
アドは、さっさと出ることにした。










アド「…ん?」
帰り道、とある店の前に先程の少年がいたのが見えた。少年は店内をドアのガラス越しにチラチラと見てるようだった。
アド「…(何してんだ?)」
まさかと思うが、盗みや犯罪をしてるんじゃないか…先程逃げ出したのは後ろめたさがあったのではないか?と考えてしまう。
アド「…何してるんだ?」
少年「へぇ!!?」
そう不安に駆られたアドは、声をかけることにした。
背後から急に声をかけられた少年は素っ頓狂な声を出し、振り返る。
少年「えっと、あの、その」
凄く視線が泳ぎながら、もじもじする。なんだ?やっぱり何か隠してるのか?
と、その時、店のドアが開いた。
中から出てきたのは、少年と同じくらいの歳の女の子だった。
女の子「あ!やっぱりいたんだね!」
少年「え、あ、」
突然の展開に追いつけないと顔に出ている少年、だが女の子はそんなのお構い無しと言わんばかりにポケットから飴玉を出して、少年に渡す
女の子「はいこれ!前に貰ったお礼!」
少年「あ、ありがとう…」
女の子「また来てね!」
用件が言い終わった女の子は再び店内に戻り、俺と少年だけ残された。
少年「…」
少年の顔は真っ赤だった、
アド「…好きなのか?」
少年「ふぇぇ!!?べ、別に僕は…!」
図星のようだ、
アド「分かった、場所を変えようぜ。そっちの方がいいだろ?」
アドは店内をチラ見して、少年に言った
少年「…」
少年は無言のまま、コクリと頷いた。





アド「…そうか、生まれた時から仲良しだったんだな」
少年「うん…」
2人はさっきの店の近くの小さな公園にいた。ベンチに2人並んで座っている。
アド「んで、意識し始めたと…」
アドは少年を見る、少年は見ないでくれと言わんばかりに顔を背けた。
アド「…(13ぐらいか?まあ、意識し始める歳だよな)」
少年「けど…」
アド「ん?」
少年「ぼ、僕、弱虫だから…みんなみたいに特技も持ってないし…」
アド「かっこいい所を見せられないって言いたいのか?」
少年「…それに、告白したって…」
自信が無いのか…
アド「…そうだなぁ…」
俺は、そこで思い出した。
自分が子供の頃、本当に幼い頃だ。
君たちの世界で言えば、幼稚園児ぐらいの歳だろうか?



……
………
アレは、家にいた時だろうか、森林の中に建てられた、木造の家…親父は、獣族のネコだった。
アド『おとーさん!おとーさんは何でおかーさんが好きなの!?』
親父は背が高く、なかなかゴツい体つきだった。
親父『ブハァ!!?あ、アド!?何でそんなこと聞く!?』
確か、親父は飲んでた飲み物を吹き出してたな笑。
アド『何でなのー!!』
親父『待て待て、アド…落ち着け!』
吹き出した飲み物を拭き、俺を椅子に座らせた。
アド『何で何で?』
親父『あー…そうだな…お前にはまだ難しいと思うが…』
親父は真剣に考えてた、地面に膝をつき、俺と同じ視線の高さに調節してくれてた。
親父『簡単に言っちまえば…そう…お父さんはお母さんに惚れたんだ。俺が好きになった、だから…その…うむ…』

……
…………
………………


時は今に戻る
アド「確かに、特技が無いと振り向かせるのは難しいと思う」
あの時を思い出し、真似をする
アド「ただ…よいしょと」
俺もベンチから降り、地面に膝をつけて少年の顔をしっかりと見た
少年もまた、見返してくれる
アド「良いか?もし自分が本当に好きで堪らないなら、その思いをぶつけにいっちまった方が良い。恋ってのは、特技もカッコよさもいらない。いるのは想いだけだ、それをぶつけて砕けた方がよっぽど良い」

…だったよな、親父。
親父『だから、俺も母さんに告白した。種族なんて関係ないってな』
アド『そーなんだ!』
親父『本当に分かってんのか?ったく笑』

少年「…」
アド「けど、それを伝えるのは君が決めることだ。どうするかは君が決めれば良い」
少年「…分かりました」
アド「君の力になれないが、これは君の為でもあるからな。頑張れよ」







あの後、少年とは別れて帰路についてた。告白するのだろうか?もしそうなら成功しただろうか?
…まあ、そんな野暮なことは知らなくて良い。俺は伝えるだけ伝えたからな。
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