4 / 50
第3話 1年C組
しおりを挟む東京都と千葉県の県境ぐらいにある桜庭高校。
広大な土地の校庭には野球グラウンド、サッカーコート、テニスコート、陸上コート。
果てには、山の間に向かって開けている敷地にはゴルフコートすらある。体育館や道場、室内プール等、挙げればキリがなさそうなのでこの辺で。
日本一の進学校でありながら、スポーツ推薦もあり環境も整えられている。
そんな桜庭高校の一年生がまとめて入って勉学に励むA棟の一階東側三番目の教室前に俺達は来ていた。
まず初めにここまで引率してくれていた先生が、教室のドアをノックし中の恐らく俺たちの担任になる先生を呼び出した。
茶髪のセミロングで、おっとりした雰囲気の優しそうな先生だ。
「は~い。みなさんの担任になる朝倉美月です~。1年間よろしくね~」
イメージと違わずのんびりとした口調だ。かわいい。
まあ、教職員は既婚者しかなれないので、指輪もしてるのが残念だ。
昔は未婚の教職員がいたんだが、教職員が生徒に手を出したりとかいろいろあったらしく、既婚者のみになったそうだ。
それに婚活2周目みたいなノリでやってた人も居たみたいだし、そりゃそうなるわ。
俺ら男子3人も朝倉先生に軽く挨拶を返し、教室に入るよう促されたので入っていった。
座席は指定されており、そこに向かうまでに着席していた女子達のアツい眼差し?というか興味深そうに注目され、少しだけ気圧された。
黄色い歓声が上がるわけでもなく、じっと見られてたからな。
男の子だぁって漏れ聞こえた声もあったが。しみじみしてた。
指定された席は、予想に反して教室のど真ん中だった。
この世界だと男は気を遣われることが多いので、たぶん一番後ろで男連中まとめられるんだろうなあと思っていたんだが全然ちがったわ。
ちゃんとバラバラに配置されている。前後でいうと真ん中でみんな一緒なのだが、窓際と廊下側とど真ん中だ。俺も出来れば横に寄りたかった…。
席につき、左右に座る子達に軽く会釈するだけで、左右の子達が頬を染める。
ちょ、ちょろい…。
教室に入った時にも思ったんだが、みんながみんな容姿が良い。
それは別に、この学校で容姿で線引きしているわけではなく、この世界は男性に選ばれやすいようにか、女性はみんな容姿がいい。
可愛い系とか美人系とかちゃんと個性はあるけど、みな目鼻立ちが整っている。
なぜか男はその限りではないようだが…遺伝子仕事しろ。
なんてなことを思っていると、朝倉先生が全員着席したのを確認し、改めて簡単に自身の自己紹介をして学校生活のルールやらの説明をした。
簡単に言っちゃうと朝のHRの時間に間に合うように登校してくださいねとか、そういったやつだ。
説明すること数分。そろそろ終わるだろうって頃には教室内がどことなくそわそわと浮足立っているのを感じる。
わかるよ。そろそろ自己紹介だもんな。ここでシクって第一印象最悪とか嫌だもんな。そりゃ緊張もするってもんだ。
ふと思う。じゅ、順番はどうなんだ。と。
まさか男連中が先…?と戦々恐々としていたが、ちょうどよく説明を終えた朝倉先生が笑顔で
「では、自己紹介をしましょう!男性が先じゃ集中できない子が出るかもしれないので、男性は最後に回して----え~っと、それじゃあ窓際からいこうかしら。浅田さんからお願いします!」
------------------------------------------------------------------------------------------------
う~ん…。みんな可愛いし綺麗だし、自己PRもいい感じで好感が持てる。
正直みんないいな~なんて呑気に少しボーっとしてたタイミングにそれは突然やってきた。
「龍宮寺美麗ですの。みなさんよろしくおねがいしますわ。」
で、ですの口調!?漫画とかアニメでしか見たことないコッテコテのお嬢様キャラにバッと凝視し、また驚く。
先程までぼんやりしていたせいもあり、ご立派な2個のクロワッサン。
否、金髪縦ロールも見逃してしまっていた。ついつい姿勢を正し清聴してしまう。
「部活動は入りたかったのですが、家の用事があるので入れませんわ。趣味は中学までやっていたテニスですの。高校卒業までにお相手が見つからないと、親の決めた相手と結婚しなければならないので、在学中に自分で探して結ばれたいですわ。」
こ、こいつ!さりげなくでもなく露骨に流し目で俺にアピってきやがった…!
おうおうやってやんよ。そっちがその気ならなぁ!?
「はい!はい!ハニーに質問があります!!!」
これまでは進行の邪魔にならない程度で、女子同士でかるーく茶々入れみたいなガヤなら少しはあったが、ここまでがっつり質問なんてものはなかった。
それに、男が立ち上がってまでするもんだから周りはびっくりしていた。
「どうぞダーリン。なんでも質問してくださって結構ですの」
嬉しそうなニコニコ笑顔の龍宮寺が答える。
え?朝倉先生?びっくりして口パクパクしてたら間に合わなかったみたいだな。
それにハニー呼びにすぐさまダーリン呼びで答える龍宮寺。
若干の釣り目で性格もキツめかな?って思ってたらニコニコ笑顔のギャップよ。
波長が合う!こいつできるぞ!と嬉しくなってしまった。
「家、あ、えっと。し、身長は何センチですか?」
「167,3cmですわ。」
いやーあぁー恥ずかしい。今すぐに相談室に駆け込みたい!!!
いや、ほんとは家の事情ってなんだ?とか聞こうと思ったんだけど、もしかしたら言いづらいことかもしれねえ!って舵取り直したらミスった。
みんなの前で聞くことじゃねえなって気付いてさ。
だから、こんな質問になってしまっても俺は悪くない。うん。帰っていい?
「ありがとうございます。」
俺は赤面しつつ、スッと着席しようとした。
「先程、家と聞こえましたが、家の事情のことかしら?高校からは親のグループ会社で経営を学びますの。答えになってたら幸いですわ。」
漏れ出た単語一個で予想して返答です…か。恐ろしい学校ですわ。
しかも、ちゃんと聞きたかったことが返ってくるっていうね。
「うん。ありがとう。すいませんみなさん、止めちゃいまして。」
今後こそペコペコしながら着席する。
恥ずかしい。
141
あなたにおすすめの小説
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
昔好きだったお姉さんが不倫されたので落としに行ったら後輩からも好かれていた
九戸政景
恋愛
高校三年生の柴代大和は、小学校一年生の頃からの付き合いである秋田泰希の姉である夕希に恋心を抱いていたが、夕希の結婚をきっかけに恋心を諦めていた。
そして小学生の頃の夢を見た日、泰希から大和は夕希の離婚を伝えられ、それと同時にある頼みをされる。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる