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第38話 課題
しおりを挟むもう残りわずかになった夏休み。俺は自宅のテーブルに突っ伏し頭を悩ましていた。
美麗は家の仕事の手伝いでいないので、沙耶と二人っきりだ。
「沙耶ぁ…。課題が思い浮かばないよぉ…。」
「しょうがないなぁ~。」
「!!! さすが沙耶様!なにかいいのある!?」
「慌てないように早めに決めようねって言ったよね~?」
「うっ…」
「私ちょくちょく確認してたよね?」
「はい…すいません。」
「それじゃ出掛けるよ~。着替えて準備して。」
「了解!どこ行くんだ?」
「学校!」
そうしてやってきました桜庭高校!
夏休みでも部活動は盛んに行われてるな。あちこちで声が聞こえる。暑い中みんな頑張ってるなあ。
「暑い…。朝倉先生に会うのはわかるけど、わざわざ来なくても電話で良かったんじゃないか?」
「私たちで話して決めてもこの間みたいに駄目だった時に困るでしょ?」
「あー、まあせっかくこれがやりたい!ってなって駄目だったら嫌だな。」
「でしょ?だから、先生も交えて話せば早いかなって!さっき連絡もしておいたから」
「さすが沙耶!ありがとう!先生にも感謝だな。忙しいだろうに。」
「え?あ、うん…。」
「急に遠い目するじゃん。どした?」
「な、なんでもないよっ!」
「そうか?まあ、いくか。職員室だよね?」
「うん!」
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沙耶の反応が気になりつつも、職員室に向かいノックをして入室するとすぐに後ろ姿の朝倉先生を発見した。
なるほどね。沙耶が遠い目をしてた理由がわかったよ。
朝倉先生のデスクは職員室のドアを視認できない向きだ。一見すると仕事をしているように見えるが、PC画面に映し出されているのは、お笑い番組のようだ。片手でせんべいを食べつつ、時折吹き出すかのように笑いを堪えている。
イヤホンまで用意しており俺達の入室にすら気付いてないようだ。
…こいつやってんな?後ろから近付いていき肩を叩く。
朝倉先生はビクッと反応し、素早く席を立ち言葉を並べる。
「すいませんっ!ちょっと休憩をしてただけです~」
「謝り慣れてるな?」
「あっ、なんだ~達也さんと沙耶さんでしたか~」
間延びした声が印象的だったんだが、謝罪だけめっちゃ洗練されてやがったな…。
俺が黙ってジト目で見てたら、朝倉先生は俺を見ないようにしつつ沙耶に助けを求め始めた。
「はぁ…先生。こんにちわ」
「はい~こんにちわ~」
優しいな沙耶。さすが俺の嫁!
---------------------------------------------------------------------------------
場所を進路相談室に移して先生と向かい合うように席に着く。
当然沙耶は俺の隣だ。
「課題でしたよね~。達也さんはなにか興味があることはないんですか~?」
「終業式の時に教えてくれたものだと配信活動にちょっと興味がありましたね」
「配信ですか~。もう夏休みが終わっちゃうので課題にするには間に合わないと思います~。」
「あ~…色々根回しというか準備があるんでしたっけ」
「そうです~。もっと早く言ってくれれば良かったんですが~…。」
「ぐっ…」
朝倉先生に言われるのはすげー癪《しゃく》というか…思った以上にダメージ食らうな…。
「先生、男性に来てほしい企業のパンフレットとか一覧は無いんですか?」
「ありますよ~」
ダメージを食らってる間に沙耶が助け舟を出してくれていた。
え、あるの?
「え、なんで先に見せない…?」
「生徒の自主性を重んじてです~」
もっともらしい返事が返ってきてびっくりした。めちゃくちゃ抜けてる人だけど、一応学校の先生だったなこの人。すっかり忘れてたわ。
「見せていただいていいですか?」
「は~い、ちょっと待っててくださいね~」
朝倉先生はそう言い資料を取りに行くために相談室を出て行った。
ちょっと疑問があったので、今のうちに沙耶に聞いてみる。
「よくパンフレットとかの情報知ってたね。どこもそういう感じなの?」
「ん~他はわかんないかなぁ。ただ昨日桜さんが連絡くれて知っただけだよ?」
桜さん?って一瞬なっちゃったけど、一樹の婚約者でクラスメイトの子だ。
話すとしても名字呼びだったからな…。でも、今後は一樹と一緒で名字が谷になる訳だからちゃんと覚えておかないといけないな。
「ああ、そういうこと。それじゃあ一樹の行く場所とかって聞いた?」
「堺先生のところだってー。なかなか決まんなくて昨日朝倉先生に相談に来て決まったって桜さんが言ってたね!」
「え、まじでか。カウンセリングとかってある程度人生経験無いと無理じゃないか…?」
「何するかはわかんないなぁ。でも、だいたいの一年生は堺先生のとこみたいだよ?佐久間君もそうみたいだし。」
課外活動の強化版的なニュアンスで受け取ってたけど、これ職場見学じゃなくてただの進路相談だったのか…?
二年次はそんな甘くはなさそうだけど、一年次は一回しっかり考えるターン的な?そんな気がしてきた。この世界とことん甘いもんな男に。
「おまたせしました~こちらです~」
律儀にもドアをノックしてから入ってきた朝倉先生の両手には大量の資料があり、そのまま机にドサッと置いてから、その束をスライドして渡してくれた。
「たくさん、それに色々ありますね。」
「どこも来てほしいですからね~。男性が来てくれるだけで活気づきますよ~」
結構な量なので、流し見気味になってしまうが桜庭高校に出してくる求人?招待状?だからか、変なものは混じってなさそうだ。
どれどれ…水族館の飼育員か、う~ん、いいね!ちょっと興味があるな。動物園もあったけど、動物のが大変そうに感じるのは俺だけか?
そのまま目は資料から外さずに軽く話していた時に、気になるものがあったので手を止める。
「それ先生もオススメです~」
「う~ん…達也がやりたいなら…?」
どうやら手元を見られていたらしい。
俺もみんなと一緒でイケオジ堺先生のとこでもいいちゃいいんだが、どうせなら色々経験したいしな。これにするか!
「じゃ、これで!」
その後は、朝倉先生がすぐに連絡を入れてくれて、とんとん拍子でファッションモデルの撮影見学が決まった。
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