27 / 54
27.ハサルの花
しおりを挟む
「う、う、う、い、や、だ、よ、う........」
「やれ!やらねば王太子の命は無いぞ!」
「う、あ、あ、あ、ディー、しゃ、ま.........」
巨大な妖精の姿が一瞬ブワッとブレる。小さな掌大の何色もの淡い光がふわふわと揺れ、またくっ付いた。
悲しげに震えながらもふるふると手を握り込み力を蓄える巨大妖精。
(ああ、あれはハリシュダで見た妖精の光。つまり、あのデカさは妖精の寄り集まった姿なのか。どんだけ居るんだ.........1万か.........もっとかな?)
レジンは少し考え、胸元に着けた加工された一輪の花を見る。
大地の娘の象徴であり、浄化作用のある赤い花。最近では形が星の形をしたこの花をブリザードフラワーにした加工が人気だ。色も明るく、大きいので存在感が有る。簡単な固定の魔術で4.5日なら崩れずそのままの形を保てるのでこの収穫祭の間は民衆達にも着けられる安価な飾りとして親しまれている。バドワージウ国の国花に指定された。いや、レジンがした。
(俺の考えが正解かどうかは分からない。だが今は.........これしか無い)
巨大な妖精の口からパチパチ弾ける音やゴォォォォォォォッと音が鳴る。
妖精の属性は様々だ。風、火、水、土、雷全ての属性の妖精が合わさり、一つの衝撃波を作り出す。これが王都に発せられれば、恐らく建物や人は一瞬で消えて失くなるかも知れない。【リクルソナの星】とはこの集合体の属性を集めた破壊を目的とした攻撃魔法の事だった。
レジンは巨大な妖精に向かって走り出す。
「風で妖精の口まで上げてくれ!!」
そう魔術師に叫ぶ。
「は、はい!」
魔術師は詠唱をし、レジンの足に向かって風を投げる。地面を滑りながら風はレジンを受け止め、空中に道を作った。
「何をするつもりですか?魔剣も持たない人如きがどうにか出来る力などではありませんよ?ほほほほほっ!」
レジンは風の道を踏み走りながら胸の飾りを引っ張り外す。
「ごめんな、妖精さん。ちょっと我慢してくれ」
明るい光が集まり熱を持った口の中衝撃波が発せられる一間前、レジンは右手で妖精の口の中にポイッと赤い花の飾りを放り込んだ。
『ハサルの花』
これはシーラの魔力が作り出した大地の娘から溢れた結晶。カサナロの地のみに咲く赤い大地の力の塊。改竄された刻間の後でもその性質は変わらなかった。
「ぬ"っ!ぐっ、う、う、う、ばぁ、ぁぁ、ぁぁー!」
苦しげな声を発しながら巨大な妖精はもがく。羽をバタつかせ風を起こす。体の大きさに見合わない短い手足をブンブンと振り回した。
「ぅぐぅーーーーー!」
レジンは風に巻き込まれて宙をグルグル回る。
「レジン様!」
『「レジン王ー!」』
魔術師が咄嗟に詠唱し、レジンの体を風を巻き付け受け止めて崖上に手繰り寄せた。アシュケと護衛の男達が上を見上げながらワタワタ走り寄り落ちて来るレジンをガシリと受け止める。
「ーーレジン様!危ないので我々に指示して下さいよ!貴方は王なんですよ!全くもお!」
「やあ、自分でやった方が早いかなって......成功するか解らなかったし。ごめん」
はははと笑う。
アシュケと護衛達は呆れ顔だ。
「でも、正解だったかな?」
巨大な妖精はブルブル震え次の瞬間
ブワワワワワワワワワワワワワワワーーーーーーーーーーッ
無数の光に分裂して、衝撃波は霧散した。
「やれ!やらねば王太子の命は無いぞ!」
「う、あ、あ、あ、ディー、しゃ、ま.........」
巨大な妖精の姿が一瞬ブワッとブレる。小さな掌大の何色もの淡い光がふわふわと揺れ、またくっ付いた。
悲しげに震えながらもふるふると手を握り込み力を蓄える巨大妖精。
(ああ、あれはハリシュダで見た妖精の光。つまり、あのデカさは妖精の寄り集まった姿なのか。どんだけ居るんだ.........1万か.........もっとかな?)
レジンは少し考え、胸元に着けた加工された一輪の花を見る。
大地の娘の象徴であり、浄化作用のある赤い花。最近では形が星の形をしたこの花をブリザードフラワーにした加工が人気だ。色も明るく、大きいので存在感が有る。簡単な固定の魔術で4.5日なら崩れずそのままの形を保てるのでこの収穫祭の間は民衆達にも着けられる安価な飾りとして親しまれている。バドワージウ国の国花に指定された。いや、レジンがした。
(俺の考えが正解かどうかは分からない。だが今は.........これしか無い)
巨大な妖精の口からパチパチ弾ける音やゴォォォォォォォッと音が鳴る。
妖精の属性は様々だ。風、火、水、土、雷全ての属性の妖精が合わさり、一つの衝撃波を作り出す。これが王都に発せられれば、恐らく建物や人は一瞬で消えて失くなるかも知れない。【リクルソナの星】とはこの集合体の属性を集めた破壊を目的とした攻撃魔法の事だった。
レジンは巨大な妖精に向かって走り出す。
「風で妖精の口まで上げてくれ!!」
そう魔術師に叫ぶ。
「は、はい!」
魔術師は詠唱をし、レジンの足に向かって風を投げる。地面を滑りながら風はレジンを受け止め、空中に道を作った。
「何をするつもりですか?魔剣も持たない人如きがどうにか出来る力などではありませんよ?ほほほほほっ!」
レジンは風の道を踏み走りながら胸の飾りを引っ張り外す。
「ごめんな、妖精さん。ちょっと我慢してくれ」
明るい光が集まり熱を持った口の中衝撃波が発せられる一間前、レジンは右手で妖精の口の中にポイッと赤い花の飾りを放り込んだ。
『ハサルの花』
これはシーラの魔力が作り出した大地の娘から溢れた結晶。カサナロの地のみに咲く赤い大地の力の塊。改竄された刻間の後でもその性質は変わらなかった。
「ぬ"っ!ぐっ、う、う、う、ばぁ、ぁぁ、ぁぁー!」
苦しげな声を発しながら巨大な妖精はもがく。羽をバタつかせ風を起こす。体の大きさに見合わない短い手足をブンブンと振り回した。
「ぅぐぅーーーーー!」
レジンは風に巻き込まれて宙をグルグル回る。
「レジン様!」
『「レジン王ー!」』
魔術師が咄嗟に詠唱し、レジンの体を風を巻き付け受け止めて崖上に手繰り寄せた。アシュケと護衛の男達が上を見上げながらワタワタ走り寄り落ちて来るレジンをガシリと受け止める。
「ーーレジン様!危ないので我々に指示して下さいよ!貴方は王なんですよ!全くもお!」
「やあ、自分でやった方が早いかなって......成功するか解らなかったし。ごめん」
はははと笑う。
アシュケと護衛達は呆れ顔だ。
「でも、正解だったかな?」
巨大な妖精はブルブル震え次の瞬間
ブワワワワワワワワワワワワワワワーーーーーーーーーーッ
無数の光に分裂して、衝撃波は霧散した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
68
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる