愛した人は青空の瞳〜御使いシラサギと3つの選択〜

平川

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◇本編

39.

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「ゴ.........ゴァア!」テオルド.........ヤダ凄い黒いよ!

 思わずチャッチャッと爪を鳴らしながら走り寄り翼を広げてテオルドの身体を包む。ヤダヤダ!黒い!ダメダメこんなの!

 テオルドの黒いモヤを払う様にパタパタ羽で払ってみた。するとその部分のモヤがふわっと消えて行く。消えた!払ったら消えるんだ!!

「.........リリア.........」テオルドが呟く。
「ゴアーッゴァ!」頭下げてテオルド!
「ああ.........」

 テオルドはスイッと頭を下げワタシの首の付け根に顔を埋める。ワタシは羽でテオルドの全身を更にパタパタ叩いてみた。黒いモヤはふわふわ消えていき、漸く身体全体から払い除ける。

「ゴア~........。ゴァ。ゴアー」良かった~.........取れたよ
 彼女の近くに居るとウツるのかな?

「.........ふふ。ふふふふ。ああ。やっぱりリリアは特別だな。悪気を払えるんだ」

『悪気』?この黒いモヤは『悪気』って言うのか。

「息が出来る。身体が軽くなった。ありがとうリリア」

 彼はそう言うとワタシを抱き上げギュッと抱き締め、更にクチバシにキスをする。

「ゴア!」
「だが、他の男に甘噛みするなど許されんな。後でお仕置きな」
「ゴ、ゴアー?」え、ええー?
「周りは囲われているだろうな」
「そうですね。繁みの中に動かなくなっている者もチラホラ居ました。暗くなれば一気に動き出しますよ」
 そう言いながらトーザさんはヘビの死骸をスッと脚でテーブルの下に隠した。

「だろうな。呼ばれた貴族子息は道連れにする腹だろう。ちゃんと考えられてるじゃないか」

 何?どう言う事?

 困惑しながらワタシはテオルドの顔を見る。

「あいつは生きてなくても良いみたいだし。」
 そんな事を言いながら彼は再びワタシのクチバシにキスをした。

「ゴア!」また!
「リリアってばキスは解るのにな」
「?」
「予定通り8の刻で行くぞ。リリアを頼む」
「賜りました」
「俺を巻き込んだ事、後悔させてやらねばな」
「ふふ。御使い様。私がずっと抱っこして差し上げますよ?ちゃんと抱っこ紐もご用意しております。私の胸の中で寝ていて下さいね?」
と、ニコニコトーザさん。

「ゴア?」なんで?

「..........................」

「...ちっ......やっぱり俺が「いけません。」を連れ......... 」


 すかさずシューマさんがダメ出ししていた。
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