15 / 114
第一章 「番」と「想い」
15.ぶっ飛ばす!
しおりを挟む
「さて、彼どうしようかな。身体は無いけど神族であるが故に一応生きてるしね。頭残したのはワザとだろう?」
「場所が判れば俺が持って行こう。土なら身体は作り直せるだろうし。但し、親族に血判状を書かせる。サラに近づかないようにな。破ればこいつの代わりに業火に焼かれる」
「まあ、妥当だね。今から行くのかい?」
俺はその頭部のみになった土の神族を風で浮かせると布で包んだ。
「1時間で戻る。サラを頼んだよ爺さん。結界は張って行くから」
「ああ。分かった。行っておいで」
俺は屋敷全体に俺の名の下に強固な結界を張る。時間稼ぎくらいにはなるし、何かあれば俺に解るようにしてある。
こいつの故郷コモロッコへ風に姿を変え向かった。
**********
1時間後
「ただいま」
「お帰り~~。きっちり1時間だね。穏便に出来た?」
「それがさ。あいつ.................嫁が8人居たんだよ。一夫多妻の島らしくてな」
「8人.................」
「番は1人も居なくて、でも子供は13人居た」
「おおう.................」
「大黒柱が首だけになって戻って来たから大分パニックになってたけど、生きてるって知ると皆んなして血判状に押してくれたよ。見てくれ、21人分」
ピラリと出した紙。そこには大小様々な大きさの指の跡が所狭しと付いていた。
「引退した祖父を呼びに行かせてちゃんと説明しといた。次俺の妻に手を出したら21人一瞬で焼かれるってな」
「それは.................怖いね」
「怖いだろ。後はあいつ次第だな」
俺は血判状を胸のポケットに入れる。
出来ればこんな事やりたくは無いが、サラの安全の為だ。21人の妻と子を引き換えにするなど考えたく無いが。
「番」は魅力的だ。未知の快楽が有る。俺はサラと繋がって本当に驚いた。まあ、今回人生初めて女の中に吐精した訳だから詳しい訳じゃ無いが、それでも身体中が快楽に溺れる。愛しさで高揚する。欲しくて我慢出来ない。慣れたら一日中でも交わりたいくらいだ。何故「番」なんてのが有るのか.................未だに判らないが。
子を残す為かと思ったが、人間には判らなくて..........何故神族にだけ判るのか。そうかと思えば土の奴みたいに番以外でも普通に子が残せたりする。よく判らん。
.................そう言えば.................サラは匂いが判ってた?俺が番だと判った?サラは........人間だよな?益々判らん!
俺は頭をクシャクシャと摩り上げ、ふうっと息を吐いて椅子から立ち上がった。
「サラは?」
「今お茶の時間だから。部屋からは出てないよ」
「そうか。明日は改めて顔見せする。眷族には朝10時にホールに集まるよう伝言しといてくれ。サラのとこ行って来る」
「判った。ヤンにやらせるよ」
「ああ。じゃあ、また夕食で」
俺はサラの部屋の前まで風で移動する。警備の者に挨拶をしてヤンに爺さんの所に行くよう伝えてから部屋に入った。どうやらテラスでお茶をしているようだ。声が聞こえる。ふっと何を話しているのか気になり見えない場所から風に声を運ばせる。
「アウィン様はお優しいですか?サラ様?」
侍女の声だ。
「優しい?うん。優しいよ。口調は意地悪だけど」
「何処に惹かれたんですか?やっぱりお顔ですか?」
「.................うーん.................違う」
「えー!じゃあ、何ですか?何処ですか?気になります~!」
「えへへっえっとねぇ.................」
俺は壁に張り付いて手で顔を隠しながら悶える。ダメだ、これ聞いたらダメなやつだ!でも..........サラが俺を好きになったきっかけ.........恥ずいが聞きたい!大体俺達恋人の期間が無いんだよな。実はあんまり知らない事の方が多い。バタバタして色々すっ飛ばして来たしな。23にもなって思春期みたいに心臓バクバクしてめちゃくちゃ恥ずいけど............................聞いておこう。
「パイをね、食べてくれたから」
「え?パイですか?」
「うん。小さい頃に初めてパイを作ったの。レモンパイ。でもね凄く酸っぱくて焼き過ぎてカチカチになっちゃって。失敗したから捨てようとしたら姉様がアウィンに食べさせてやろうって言い出して.........」
.................あのアマ.................碌な性格してねえな!
「私は嫌だったんだけど、結局押し切られて。アウィンに出しちゃったの。ハラハラしながら見てたんだけど、一口食べたアウィンがね、凄い顔して.................それでも黙って一切れ食べ切ったの。紅茶を一気に飲んだ後に「不味くて食べられない。」て言って帰っちゃって.................。ふふ。食べた後にね」
.................。くそっ!恥ずい!子供の時の思い出話はキツい!
「優しいよね。不味いなら一口で止めれば良いのに。あの時から私アウィンに絶対美味しいパイを作ろうって決めたの。暫く部屋に篭って母の料理の本を漁って読んでたわ。ふふ。懐かしい」
........サラは泣いてたんじゃなかったのか?あの女ぶっ飛ばす!大嘘じゃねえか!
「上手に出来る様になって彼に持って行ったの。そしたらね、凄くビックリしてた。一緒に切り取ったパイを食べたの。あの時は.................アップルパイ!躊躇わずに一口食べたアウィンがね、凄く.......優しい顔をしてくれて。「旨い」って。その時何だかキューンってなったの。やだ、恥ずかしい!」
..................................そこなんだ。別にカッコいいからとかじゃ無いんだな。まあ、サラらしいか。と、言う事は初めから惹かれてた訳じゃ無いんだ。俺みたいに。
「それにアウィンは凄く良い匂いがするのよ?何の香水なのかな?甘くて美味しそうな。でも花のような。男の子には珍しく甘い香り。ふふ、昔からオシャレだったのね」
............え"!気づいてた?やっぱり!て、言うか
サラーーーーーーーー!それ!香水じゃなぁい!!!
「場所が判れば俺が持って行こう。土なら身体は作り直せるだろうし。但し、親族に血判状を書かせる。サラに近づかないようにな。破ればこいつの代わりに業火に焼かれる」
「まあ、妥当だね。今から行くのかい?」
俺はその頭部のみになった土の神族を風で浮かせると布で包んだ。
「1時間で戻る。サラを頼んだよ爺さん。結界は張って行くから」
「ああ。分かった。行っておいで」
俺は屋敷全体に俺の名の下に強固な結界を張る。時間稼ぎくらいにはなるし、何かあれば俺に解るようにしてある。
こいつの故郷コモロッコへ風に姿を変え向かった。
**********
1時間後
「ただいま」
「お帰り~~。きっちり1時間だね。穏便に出来た?」
「それがさ。あいつ.................嫁が8人居たんだよ。一夫多妻の島らしくてな」
「8人.................」
「番は1人も居なくて、でも子供は13人居た」
「おおう.................」
「大黒柱が首だけになって戻って来たから大分パニックになってたけど、生きてるって知ると皆んなして血判状に押してくれたよ。見てくれ、21人分」
ピラリと出した紙。そこには大小様々な大きさの指の跡が所狭しと付いていた。
「引退した祖父を呼びに行かせてちゃんと説明しといた。次俺の妻に手を出したら21人一瞬で焼かれるってな」
「それは.................怖いね」
「怖いだろ。後はあいつ次第だな」
俺は血判状を胸のポケットに入れる。
出来ればこんな事やりたくは無いが、サラの安全の為だ。21人の妻と子を引き換えにするなど考えたく無いが。
「番」は魅力的だ。未知の快楽が有る。俺はサラと繋がって本当に驚いた。まあ、今回人生初めて女の中に吐精した訳だから詳しい訳じゃ無いが、それでも身体中が快楽に溺れる。愛しさで高揚する。欲しくて我慢出来ない。慣れたら一日中でも交わりたいくらいだ。何故「番」なんてのが有るのか.................未だに判らないが。
子を残す為かと思ったが、人間には判らなくて..........何故神族にだけ判るのか。そうかと思えば土の奴みたいに番以外でも普通に子が残せたりする。よく判らん。
.................そう言えば.................サラは匂いが判ってた?俺が番だと判った?サラは........人間だよな?益々判らん!
俺は頭をクシャクシャと摩り上げ、ふうっと息を吐いて椅子から立ち上がった。
「サラは?」
「今お茶の時間だから。部屋からは出てないよ」
「そうか。明日は改めて顔見せする。眷族には朝10時にホールに集まるよう伝言しといてくれ。サラのとこ行って来る」
「判った。ヤンにやらせるよ」
「ああ。じゃあ、また夕食で」
俺はサラの部屋の前まで風で移動する。警備の者に挨拶をしてヤンに爺さんの所に行くよう伝えてから部屋に入った。どうやらテラスでお茶をしているようだ。声が聞こえる。ふっと何を話しているのか気になり見えない場所から風に声を運ばせる。
「アウィン様はお優しいですか?サラ様?」
侍女の声だ。
「優しい?うん。優しいよ。口調は意地悪だけど」
「何処に惹かれたんですか?やっぱりお顔ですか?」
「.................うーん.................違う」
「えー!じゃあ、何ですか?何処ですか?気になります~!」
「えへへっえっとねぇ.................」
俺は壁に張り付いて手で顔を隠しながら悶える。ダメだ、これ聞いたらダメなやつだ!でも..........サラが俺を好きになったきっかけ.........恥ずいが聞きたい!大体俺達恋人の期間が無いんだよな。実はあんまり知らない事の方が多い。バタバタして色々すっ飛ばして来たしな。23にもなって思春期みたいに心臓バクバクしてめちゃくちゃ恥ずいけど............................聞いておこう。
「パイをね、食べてくれたから」
「え?パイですか?」
「うん。小さい頃に初めてパイを作ったの。レモンパイ。でもね凄く酸っぱくて焼き過ぎてカチカチになっちゃって。失敗したから捨てようとしたら姉様がアウィンに食べさせてやろうって言い出して.........」
.................あのアマ.................碌な性格してねえな!
「私は嫌だったんだけど、結局押し切られて。アウィンに出しちゃったの。ハラハラしながら見てたんだけど、一口食べたアウィンがね、凄い顔して.................それでも黙って一切れ食べ切ったの。紅茶を一気に飲んだ後に「不味くて食べられない。」て言って帰っちゃって.................。ふふ。食べた後にね」
.................。くそっ!恥ずい!子供の時の思い出話はキツい!
「優しいよね。不味いなら一口で止めれば良いのに。あの時から私アウィンに絶対美味しいパイを作ろうって決めたの。暫く部屋に篭って母の料理の本を漁って読んでたわ。ふふ。懐かしい」
........サラは泣いてたんじゃなかったのか?あの女ぶっ飛ばす!大嘘じゃねえか!
「上手に出来る様になって彼に持って行ったの。そしたらね、凄くビックリしてた。一緒に切り取ったパイを食べたの。あの時は.................アップルパイ!躊躇わずに一口食べたアウィンがね、凄く.......優しい顔をしてくれて。「旨い」って。その時何だかキューンってなったの。やだ、恥ずかしい!」
..................................そこなんだ。別にカッコいいからとかじゃ無いんだな。まあ、サラらしいか。と、言う事は初めから惹かれてた訳じゃ無いんだ。俺みたいに。
「それにアウィンは凄く良い匂いがするのよ?何の香水なのかな?甘くて美味しそうな。でも花のような。男の子には珍しく甘い香り。ふふ、昔からオシャレだったのね」
............え"!気づいてた?やっぱり!て、言うか
サラーーーーーーーー!それ!香水じゃなぁい!!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる