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第一章 「番」と「想い」
14.誰にも渡さん!
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「.................ん.................」
「.................サラ.................起きたか?」
「.................アウィン?あ、あれ?暗い!見えない?え?え?」
「落ち着け。今は真夜中だ。今、明かりを着けるから」
暗闇にヒュッと音がしてサイドテーブルのランプに灯りが着く。辺りがボンヤリ明るくなった。
「あ.................あれ?私.................いつの間に寝て.................」
「サラ.................覚えてるか?昼間の事」
「....................あ...............................あ。ああ。いや...........」
「.................うん。怖かったな。すまん、お前と離れなければ良かった」
「あ、あ。ああ。ううううぅぅ~~ヤダー。アウィン~~ああ。来ないでぇ。あーーぁぁぁっ!」
サラは記憶が戻り混乱して取り乱す。俺はサラを安心させる為に優しく胸の中に抱き寄せた。きっと強い力で抱くのは逆効果だ。握られた腕のアザが消えるまでは思い出すだろう。
「ハアハアハアハアッハッハッはぁ........あ、あ」
「サラ.........」
「ああ。アウィン。なんで?あの人何?躊躇いもなく女の子達を殴り飛ばして向かって来たの。私に向かって。男の人は壁にぶつけられたりしてた。ああ!私服を破られて.................あ、やだ........どうなったの?私どうなったの?まさか!」
「大丈夫。何かされる前に俺がお前を助けたよ。屋敷の者も無事だ。不審者が入り込んだんだ。本当....済まなかった。サラ..........怖い思いをさせた。サラ...サラ......ごめんな」
「アウィン........ううん。アウィン大丈夫。貴方が助けてくれたならそれで良いの。私.................妻じゃ.................いられ無くなったのかもと思って.....良かった」
サラは泣きながらホウッと息をついて俺の胸に顔を埋める。
「言っただろ?「一生の伴侶」だって。離さないよ。何か有れば俺の責任だ。勿論そうならないようにするけど」
俺はサラの頭に顔を埋める。サラは俺の妻でいたいと言ってくれたのだ。護らなければ。
「私.................どうしよう。お爺様や皆さんにご挨拶して無い。許してくれる?大丈夫?」
「馬鹿。当たり前だろ?襲われたんだぞ?それに風の当主は俺だ。文句言う奴なんていやしない。少し怪我もしている。明日はゆっくり休め。その後でうちの奴らには顔合わせしよう。側にいるから。心配すんな」
「...うん、アウィン。アウィンの胸は暖かい。良い.................匂いが........する。果物か.........花.................の...........」
果物?花?それって.................
「サ..........」
サラは再び眠りについた。今度は穏やかな顔をしている。俺は暫くその顔を見つめた後、ランプの灯りを小さくし、もう一度目を閉じる。
サラ。それはな。番の匂いだ。お前は人間なのに何で判るんだよ。特別な魂だからか?判らない事だらけだ。だが、一つだけ変えられない事実がある。
それは
「お前は俺の唯一無二の「番」だよ。..........誰にも渡さん」
**********
次の日は極力ベッドの上で過ごさせた。暇だと言うサラに侍女を5人くらい付け、商会の商品の見本市みたいな事をさせたり、ドレスの生地を選ばせたり、ゲームをさせたり、まあ、思いつく事をやらせた。女子トークは弾んでいたので良しとする。
警備はヤンを筆頭に厳重に配置した。今回顔見せで眷族をほぼ全員呼び付けていたので力の強い奴が多かったのも頼もしい。まあ、神族に抵抗出来る域にはなかなか行かないが、時間は稼げる。昨日のような事にはならないだろう。
風の眷族は基本空を飛べる。飛べない奴でも浮遊は出来る。それは俺の力がある為だ。俺と眷族の契りを交わす事によって風を纏わす事が出来る。代替りをした後、こいつらは再度俺と契約しなければいずれ風を纏う事は出来なくなるのだ。お陰で5年前はほぼ毎日契約に眷族達が押し掛けて来ていてうんざりしたものだった。大体80~90人くらいか。
少しサラから離れる事を言い残し、屋敷の地下に行く。俺の目の前には昨日細切れにした神族と思われる男の頭部が置かれていた。見た目は悪くない。神族は美形が多い。金の髪に焼けた肌。堀の深い男らしい顔だ。だが、土の神族に有りがちで一回り大きい。
「風を飛ばして居なくなった神族が居ないか捜索させたよ。やっぱり土だった。コモロッコの島に居た子みたいね。この界隈で商船との取引の為に赴いていたらしい。」
「..........つまり港か海で出会ったのか。何隻かは近くを通っていたな。いや、港でも商船は多数停まってた。しかし、俺は気付かなかった。大分離れていたんじゃ無いのか?」
「土は鼻が良いからね。ずっと離れて追って来てたのかも。私の屋敷は見てくれは厳ついけど神族相手では通用しない。所詮人間用だからね。強い結界が無いと簡単に入り込める」
「ふう。なるほどな。土は地面を移動する。俺達と速度も変わらん。空に居れば捕まらないが、まあ、サラには無理だな。まさか神族を相手にしないと行けないとはな」
海も気を付けないと。水の奴に気付かれるかも知れん。取り敢えず5日間は大人しくさせとこう。
「.................サラ.................起きたか?」
「.................アウィン?あ、あれ?暗い!見えない?え?え?」
「落ち着け。今は真夜中だ。今、明かりを着けるから」
暗闇にヒュッと音がしてサイドテーブルのランプに灯りが着く。辺りがボンヤリ明るくなった。
「あ.................あれ?私.................いつの間に寝て.................」
「サラ.................覚えてるか?昼間の事」
「....................あ...............................あ。ああ。いや...........」
「.................うん。怖かったな。すまん、お前と離れなければ良かった」
「あ、あ。ああ。ううううぅぅ~~ヤダー。アウィン~~ああ。来ないでぇ。あーーぁぁぁっ!」
サラは記憶が戻り混乱して取り乱す。俺はサラを安心させる為に優しく胸の中に抱き寄せた。きっと強い力で抱くのは逆効果だ。握られた腕のアザが消えるまでは思い出すだろう。
「ハアハアハアハアッハッハッはぁ........あ、あ」
「サラ.........」
「ああ。アウィン。なんで?あの人何?躊躇いもなく女の子達を殴り飛ばして向かって来たの。私に向かって。男の人は壁にぶつけられたりしてた。ああ!私服を破られて.................あ、やだ........どうなったの?私どうなったの?まさか!」
「大丈夫。何かされる前に俺がお前を助けたよ。屋敷の者も無事だ。不審者が入り込んだんだ。本当....済まなかった。サラ..........怖い思いをさせた。サラ...サラ......ごめんな」
「アウィン........ううん。アウィン大丈夫。貴方が助けてくれたならそれで良いの。私.................妻じゃ.................いられ無くなったのかもと思って.....良かった」
サラは泣きながらホウッと息をついて俺の胸に顔を埋める。
「言っただろ?「一生の伴侶」だって。離さないよ。何か有れば俺の責任だ。勿論そうならないようにするけど」
俺はサラの頭に顔を埋める。サラは俺の妻でいたいと言ってくれたのだ。護らなければ。
「私.................どうしよう。お爺様や皆さんにご挨拶して無い。許してくれる?大丈夫?」
「馬鹿。当たり前だろ?襲われたんだぞ?それに風の当主は俺だ。文句言う奴なんていやしない。少し怪我もしている。明日はゆっくり休め。その後でうちの奴らには顔合わせしよう。側にいるから。心配すんな」
「...うん、アウィン。アウィンの胸は暖かい。良い.................匂いが........する。果物か.........花.................の...........」
果物?花?それって.................
「サ..........」
サラは再び眠りについた。今度は穏やかな顔をしている。俺は暫くその顔を見つめた後、ランプの灯りを小さくし、もう一度目を閉じる。
サラ。それはな。番の匂いだ。お前は人間なのに何で判るんだよ。特別な魂だからか?判らない事だらけだ。だが、一つだけ変えられない事実がある。
それは
「お前は俺の唯一無二の「番」だよ。..........誰にも渡さん」
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次の日は極力ベッドの上で過ごさせた。暇だと言うサラに侍女を5人くらい付け、商会の商品の見本市みたいな事をさせたり、ドレスの生地を選ばせたり、ゲームをさせたり、まあ、思いつく事をやらせた。女子トークは弾んでいたので良しとする。
警備はヤンを筆頭に厳重に配置した。今回顔見せで眷族をほぼ全員呼び付けていたので力の強い奴が多かったのも頼もしい。まあ、神族に抵抗出来る域にはなかなか行かないが、時間は稼げる。昨日のような事にはならないだろう。
風の眷族は基本空を飛べる。飛べない奴でも浮遊は出来る。それは俺の力がある為だ。俺と眷族の契りを交わす事によって風を纏わす事が出来る。代替りをした後、こいつらは再度俺と契約しなければいずれ風を纏う事は出来なくなるのだ。お陰で5年前はほぼ毎日契約に眷族達が押し掛けて来ていてうんざりしたものだった。大体80~90人くらいか。
少しサラから離れる事を言い残し、屋敷の地下に行く。俺の目の前には昨日細切れにした神族と思われる男の頭部が置かれていた。見た目は悪くない。神族は美形が多い。金の髪に焼けた肌。堀の深い男らしい顔だ。だが、土の神族に有りがちで一回り大きい。
「風を飛ばして居なくなった神族が居ないか捜索させたよ。やっぱり土だった。コモロッコの島に居た子みたいね。この界隈で商船との取引の為に赴いていたらしい。」
「..........つまり港か海で出会ったのか。何隻かは近くを通っていたな。いや、港でも商船は多数停まってた。しかし、俺は気付かなかった。大分離れていたんじゃ無いのか?」
「土は鼻が良いからね。ずっと離れて追って来てたのかも。私の屋敷は見てくれは厳ついけど神族相手では通用しない。所詮人間用だからね。強い結界が無いと簡単に入り込める」
「ふう。なるほどな。土は地面を移動する。俺達と速度も変わらん。空に居れば捕まらないが、まあ、サラには無理だな。まさか神族を相手にしないと行けないとはな」
海も気を付けないと。水の奴に気付かれるかも知れん。取り敢えず5日間は大人しくさせとこう。
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