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第五章 「勝者」と「陰謀」
86.人の嫁貶してんじゃねーぞ!
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口からヒュッと風を出し脚を拘束するがやはりあのレイピアに斬られる。そのまま攻撃を交わしながら奴を観察してみる。
ふーん。やっぱり攻撃するしか無いかな.........いや、もうちょい粘るか?拘束か閉じ込めが出来ないかな。何なんだよあれ?ミル様のより切れ味良さそうだな.........だが何かの術を使って来る訳でも無い。剣技もありきたりだし。ヤマアラシが凄い訳じゃ無いな。じゃあ.....やっぱりあのレイピアさえ奪えば良い訳だ。
俺は右手人差し指を突き出して奴の後方から風を作り左腕を拘束。ヤマアラシのレイピアを持つ手をグイッと上に挙げた。右手は既に潰してるので持ち替える事は出来ない。
「さあ、どうする?次はあるか?」
「っ!舐めるなよ!!」
そう言った瞬間、ヤマアラシのマダラ模様の髪の毛がザッと逆立ち、ギュルギュルと数本の束に集まると生きているかの様に動き始め自分の飛車げた右腕にブスッと刺さっていく。
「?」 何だ?何してんだ、どう言う事だ?
すると別の髪の束が皮膚を突き破りグングンと中に入って行った。潰れた右腕がウゴウゴと蠢き始める。
次第に元の腕の形に.........いや、あれは.........クローだ。右腕が内側と外側から硬質した髪に覆われ、指の代わりにクローの様な長い鉤爪が生えて来た。こいつは髪の毛を自在に操れるらしい。
観客からは「おーーーーー!」と声が上がる。
「ふーん。面白いな。変化とはまた違うんだ。.........で?やっぱり切れ味は抜群なのか?」
「.........」
「良いぞ?かかって来て。多少やり合わないとなんか観客に申し訳無いし」
言い終えた瞬間、ヤマアラシが俺目掛けて右腕を振って来る。だが、左腕は拘束したままだ。先ずはそれを何とかしてからだな。などと思っていたらクローの爪がギュンッと伸びて俺の髪を掠める。
「.........うん、良いな」
どんどんと手数を増やし切り刻もうとする黒い爪先。
だが.........
俺の指先からピシュッと風が鳴り奴の右胸に穴を空ける。少しだけ血が噴き出た。サラに見えちゃうかな?
「が!あっ!」
「うーん。なんか足りないんだよな。お前単細胞だろ?攻撃してる時ガードが無くなるし、先を考えず腕振るだけじゃ、まぐれは有っても次当たらないぞ?折角良い技持ってるのに勿体。それともそう言う仕様か?」
「ぐううぅぅぅっ」
「ま、いっか。それで全部か?あ、そうだ。そのレイピア、俺に貸してくれないか?ちょっと確認したいんだけど。明日には返すからさ」
「こ、これは親父の形見だ!渡せるものか!」
「別に欲しくない。じゃあ、俺が勝ったら貸してくれよ。良いだろ?最悪明後日の朝には地上に帰るし。明日にはちゃんと返すよ」
「.........な、何なんだ!何言って.........」
「.......な?...........奪うのは好きじゃ無いんだ。なぁ?.........良いよな?」
俺はニッコリと笑ってやった。
「っ~~やれるものならやってみろ!!」
ヤマアラシはパッと左手を開きレイピアを離した。拘束していた風が落ちるレイピアの刃で切られ、切先が地面に突き刺さる寸前に再び柄を素早く持ち、俺に襲い掛かって来る。
「...ははっ......良い根性だ。最後まで頑張ろう」
「ぬかせ!!この剣に切れない技は無い!」
「そうか。だが、俺は風だ。お前の居るこの空間も全て.........俺のフィールドだ」
俺はパチンと指先を弾く。その瞬間ガチリと奴は動かなくなった。もう一度親指で小さな空気の玉を弾いて左手首に当てる。
グルンと外側に回された手から投げ出されたレイピアが地面にサクッと突き立ち白く鈍い光を放つ。
「.........悪いな」
「く.........そ.........」
俺はヤマアラシに近づいて手から落ちたレイピアの柄を掴み持ち上げた。
ああ、やっぱりソックリだ。
「じゃあ、借りてくな。あっと、タップ2回しないとな。それとも、意識無い方が良いかな?」
「くそ!離せ!この○○野郎!」
「誰が○○だ!俺のはで.........は、いかんいかん。サラが観てるんだった。スマートにカッコ良く勝たないと.........」
「はっ!お前の女か。どうせ豚だろ?神族は自分から言えないからな。寄って来る不細工をキープする奴か子の産めない精霊相手にするばかりだ。お前の女もーーー」
『ガツンッ』
俺は思いっきりヤマアラシの左頬を拳で殴る。
「.........俺の妻がなんだって?」
「ガ...ッ......ハ.........」
「てめぇ人の嫁貶してんじゃねーぞ!」
腹にもう一発ドカンと蹴りを入れてから踵で頭を蹴り落とし拘束を解いた。そのまま奴の周りを結界で囲み一気に空気を抜く。
「苦しめ。意識が無くならない程度でギリギリまで酸素抜いてやるよ」
「ハッ....く.....この.........っ」
ヤマアラシは右手のクローで結界を裂こうとするが俺の結界は柔らかい。液体を切る様なものだ。始めは暴言を吐いていたが、脳に酸素が行かない事で次第に意味が解らない言葉を話し始め、奴の動きは緩やかになり、地面に膝を着いた。
顔色は青く唇が紫になるチアノーゼが現れる。
俺は黙って腕を組みながらそれを眺めていた。
奴は.........浅い呼吸で無言のまま地面をチョンチョンと2回タップする。
「折角苦しまずに終わらせてやろうとしたのに。これに懲りたら余計な事言わず力で掛かって来い。後、俺の妻は最高に綺麗で可愛いくて料理上手だ!」
指先を動かし『ファンッ』と結界を解いてやる。奴は一気に肺に空気が入り込む事でショック状態に陥り意識を失った。
「地上の生き物である限り.....勝てないよ、俺にはな」
ふーん。やっぱり攻撃するしか無いかな.........いや、もうちょい粘るか?拘束か閉じ込めが出来ないかな。何なんだよあれ?ミル様のより切れ味良さそうだな.........だが何かの術を使って来る訳でも無い。剣技もありきたりだし。ヤマアラシが凄い訳じゃ無いな。じゃあ.....やっぱりあのレイピアさえ奪えば良い訳だ。
俺は右手人差し指を突き出して奴の後方から風を作り左腕を拘束。ヤマアラシのレイピアを持つ手をグイッと上に挙げた。右手は既に潰してるので持ち替える事は出来ない。
「さあ、どうする?次はあるか?」
「っ!舐めるなよ!!」
そう言った瞬間、ヤマアラシのマダラ模様の髪の毛がザッと逆立ち、ギュルギュルと数本の束に集まると生きているかの様に動き始め自分の飛車げた右腕にブスッと刺さっていく。
「?」 何だ?何してんだ、どう言う事だ?
すると別の髪の束が皮膚を突き破りグングンと中に入って行った。潰れた右腕がウゴウゴと蠢き始める。
次第に元の腕の形に.........いや、あれは.........クローだ。右腕が内側と外側から硬質した髪に覆われ、指の代わりにクローの様な長い鉤爪が生えて来た。こいつは髪の毛を自在に操れるらしい。
観客からは「おーーーーー!」と声が上がる。
「ふーん。面白いな。変化とはまた違うんだ。.........で?やっぱり切れ味は抜群なのか?」
「.........」
「良いぞ?かかって来て。多少やり合わないとなんか観客に申し訳無いし」
言い終えた瞬間、ヤマアラシが俺目掛けて右腕を振って来る。だが、左腕は拘束したままだ。先ずはそれを何とかしてからだな。などと思っていたらクローの爪がギュンッと伸びて俺の髪を掠める。
「.........うん、良いな」
どんどんと手数を増やし切り刻もうとする黒い爪先。
だが.........
俺の指先からピシュッと風が鳴り奴の右胸に穴を空ける。少しだけ血が噴き出た。サラに見えちゃうかな?
「が!あっ!」
「うーん。なんか足りないんだよな。お前単細胞だろ?攻撃してる時ガードが無くなるし、先を考えず腕振るだけじゃ、まぐれは有っても次当たらないぞ?折角良い技持ってるのに勿体。それともそう言う仕様か?」
「ぐううぅぅぅっ」
「ま、いっか。それで全部か?あ、そうだ。そのレイピア、俺に貸してくれないか?ちょっと確認したいんだけど。明日には返すからさ」
「こ、これは親父の形見だ!渡せるものか!」
「別に欲しくない。じゃあ、俺が勝ったら貸してくれよ。良いだろ?最悪明後日の朝には地上に帰るし。明日にはちゃんと返すよ」
「.........な、何なんだ!何言って.........」
「.......な?...........奪うのは好きじゃ無いんだ。なぁ?.........良いよな?」
俺はニッコリと笑ってやった。
「っ~~やれるものならやってみろ!!」
ヤマアラシはパッと左手を開きレイピアを離した。拘束していた風が落ちるレイピアの刃で切られ、切先が地面に突き刺さる寸前に再び柄を素早く持ち、俺に襲い掛かって来る。
「...ははっ......良い根性だ。最後まで頑張ろう」
「ぬかせ!!この剣に切れない技は無い!」
「そうか。だが、俺は風だ。お前の居るこの空間も全て.........俺のフィールドだ」
俺はパチンと指先を弾く。その瞬間ガチリと奴は動かなくなった。もう一度親指で小さな空気の玉を弾いて左手首に当てる。
グルンと外側に回された手から投げ出されたレイピアが地面にサクッと突き立ち白く鈍い光を放つ。
「.........悪いな」
「く.........そ.........」
俺はヤマアラシに近づいて手から落ちたレイピアの柄を掴み持ち上げた。
ああ、やっぱりソックリだ。
「じゃあ、借りてくな。あっと、タップ2回しないとな。それとも、意識無い方が良いかな?」
「くそ!離せ!この○○野郎!」
「誰が○○だ!俺のはで.........は、いかんいかん。サラが観てるんだった。スマートにカッコ良く勝たないと.........」
「はっ!お前の女か。どうせ豚だろ?神族は自分から言えないからな。寄って来る不細工をキープする奴か子の産めない精霊相手にするばかりだ。お前の女もーーー」
『ガツンッ』
俺は思いっきりヤマアラシの左頬を拳で殴る。
「.........俺の妻がなんだって?」
「ガ...ッ......ハ.........」
「てめぇ人の嫁貶してんじゃねーぞ!」
腹にもう一発ドカンと蹴りを入れてから踵で頭を蹴り落とし拘束を解いた。そのまま奴の周りを結界で囲み一気に空気を抜く。
「苦しめ。意識が無くならない程度でギリギリまで酸素抜いてやるよ」
「ハッ....く.....この.........っ」
ヤマアラシは右手のクローで結界を裂こうとするが俺の結界は柔らかい。液体を切る様なものだ。始めは暴言を吐いていたが、脳に酸素が行かない事で次第に意味が解らない言葉を話し始め、奴の動きは緩やかになり、地面に膝を着いた。
顔色は青く唇が紫になるチアノーゼが現れる。
俺は黙って腕を組みながらそれを眺めていた。
奴は.........浅い呼吸で無言のまま地面をチョンチョンと2回タップする。
「折角苦しまずに終わらせてやろうとしたのに。これに懲りたら余計な事言わず力で掛かって来い。後、俺の妻は最高に綺麗で可愛いくて料理上手だ!」
指先を動かし『ファンッ』と結界を解いてやる。奴は一気に肺に空気が入り込む事でショック状態に陥り意識を失った。
「地上の生き物である限り.....勝てないよ、俺にはな」
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