付く枝と見つ

羽上帆樽

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第28部 to

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 突然頭痛に襲われて、シロップはその場に蹲る。

「どうしたんですかい?」と、運転手が附抜けた声で尋ねてきた。エビフライのエビを箸で摘まんだまま、彼はカウンターから身を乗り出す。

「黙ってて」シロップは言った。「静かにして」

 彼女がそう言うと、それまでコンビニの店内に流れていた音楽が止んだ。訪れる静寂。一帯を囲む冷蔵スペースの稼働音だけが辺りを包む。

 カウンターの出入り口を抜けて、運転手がこちら側にやって来る。彼はシロップの傍にしゃがむと、彼女の背中をさすった。

「具合が悪いんですかい?」

「黙っててって言ってるでしょ」下を向いたまま、シロップは言った。「聞こえない」

 棚に陳列されている菓子パンのいくつかが、牡丹の花のように床に落下した。床の上で、それらは微妙に滑る。そこだけ摩擦が生じていないようだ。ビニール袋の中からパンが一人でに外へ出て、材料が分離した。メロンパンの表面からチョコチップが剥がれ、焼き蕎麦パンの間から焼き蕎麦が零れる。その焼き蕎麦からソースが霧散し、再び液体に戻って地面に散らばった。

「私を迎えに来ているみたい」シロップは言った。

「迎えにって、誰がですかい?」

「貴方じゃない、誰か」

 コンビニの天井に設置されていた監視カメラのレンズに、音を立ててひびが入る。煙を上らせて、それは機能を停止した。自分の頭もそうなるかもしれないとシロップは考える。頭の中を巡る刺激は、間違いなく、その外へ出ようと試みていた。

 口から血液が滴り始める。苦しくなって瞬時に口もとに両手を添えたが、血液は次から次へと指の隙間から零れ出た。

 運転手が何か言っていたが、何も聞こえない。

 目から涙が零れた。

 そう、涙。

 ルンルンにも流させられた、涙。

 間もなく、口の中から棒状の金属片が姿を現した。喉を無理矢理通過して、それは体内から体外へ排出される。

 喉もとを押さえて、シロップは何度か咳き込んだ。

 地面に転がった金属片は、持ち手の部分は太く、半分程度のところで太さを変えて、先端部は細くなっていた。震える手でそれを拾い上げる。片、と表現できるほど複雑な形状ではなく、人工的で洗練されたフォルムをしていた。

 ドライバーのようだ。

 先端は棒状。

 つまり、負。

 店内からタオルを取ってきて、運転手がシロップの口もとにそれを添えた。

「大丈夫ですかい?」落ち着いた声で彼がまた言う。

「大丈夫なわけないでしょ」涙が滲んだ目で彼を睨みつけて、彼女は言った。
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