舞台装置は闇の中

羽上帆樽

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第8章

第75話 ルールの発生とその適用

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「皆さんは、普段色々に生きているわけですが、そこには必ず他者が存在します。もし自分だけしか存在しないのであれば、ここで、こうして、私が授業をすることもないわけです。そこには誰もいないのですからね。ええ、つまり、何が言いたいのかと言いますと、言語というものは、他者あってのものだということです。言語は他者に何かを伝えるために発達してきました。メッセージのやり取りです。メッセージを伝えるのは他者が存在するからであり、それは、すなわち、他者が存在するとルールが生じるということを意味します。言語はルールに従って展開するからです。このルールですが、原初の頃はおそらくとても簡易なものだったと考えられます。主語、述語の順に言葉を並べよう、というのがそれです。どうです? とても簡単なものでしょう? しかしながら、このルールを少しでも逸脱すると、齟齬が生じることになる。たとえば、述語、主語の順に言葉を並べたりすると、伝えたい情報が伝わりにくく、あるいは伝えられなくなるのです。……さて、これは言語の話ですが、ルールが適用される場面はほかにも沢山あります。たとえば、昔の人類は狩りをしたり、木の実を取ったりして生活していたわけですから、そういう面での例をお話ししますと、ある空間に男性が一人、女性が一人いたとしましょう。それで、男性は狩りをする役割を担い、女性は木の実を取る役割を担っていたとします。えー、現代では、こういうことを言うと、男女差別だ、女性にも働く自由がある、といったような罵声を浴びることになりますが、木の実を取るというのも彼らの生活を支えるうえで立派な仕事ですし、生物学的な観点から見れば、男女でそのように役割分担することは当然です。ですから、ここではそういうことにしておきます。さて、普段は、男性が狩ってきた動物、つまり肉と、女性が取ってきた木の実を、それぞれ同じ量だけ交換することになっていました。しかし、その日はたまたま男性が少しも肉を確保することができませんでした。この場合、同じ量で交換するというルールが適用できません。さて、皆さん、こういうとき、どうしたら良いでしょうか? どうするのが得策だと思いますか? 簡単な問いですが、まあ、一つ肩慣らしのつもりで考えてみましょう。近くの人と話し合って構いませんから、ノートに自分の答えを書いてみて下さい」
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