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第9章 激突・ギャングレオ盗賊団
第108話 第一試験
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コゴーダと名乗る男は落ち着いた物腰で語り掛けてきた。
見た目といい、態度といい、とても盗賊団の人間には見えなかった。
「俺が来るのはお見通しって訳か」
「待ち伏せをするような真似をして申し訳ございません。我々ギャングレオ盗賊団もあなたにお会いしたかったところなのですよ」
いかにもな営業スマイルを浮かばせながらコゴーダは話を続ける。
「黒蛇部隊のジフウ隊長や、その他のご婦人方まで揃うのは少々予定外でしたが」
「嘘つけ。俺がいることは見て見ぬふりしてただろが」
「ご婦人方と言いますが、自分は男です」
皮肉を込めて返すジフウ。とにかく性別の訂正をしたいラルフル。……とりあえずラルフルは下がっててくれ。
「そっちも俺に用があるんだよな? 俺も丁度あんたらの頭領に用があるところだ」
「それは都合がよろしかったですね。早速で申し訳ありませんが、この店の地下室までゼロラ様お一人でついてきてはくれませぬか?」
コゴーダは俺一人と話をしたいようだ。
「店員さん、かまいませんかね? もし何か損害がありましても"ギャングレオ盗賊団参謀長コゴーダ"の名前で請求書を出していただければ、こちらで弁償いたします」
「コゴーダさんの頼みなら断れませんよ」
どうやら"ただ話をする"だけでは終わらなさそうだ。それにしても『コゴーダさんの頼みなら』って、サイバラはそんなに信用ねえのかよ。
「だ、大丈夫ですよね、ゼロラさん?」
「もし何かあったらすぐに駆け付けるから……ラルフルが」
「ミリアさん!? あ、いえ。このメンバーだとそうしたほうがいいですよね」
マカロン達も心配しているが、さすがにいきなり殺されるってことはないだろう。向こうも俺に話があるみたいだし。
「では、どうぞこちらへ」
コゴーダに案内されるまま、俺は店の地下室へと入っていった。
■
「久しぶりでヤンスね~、ゼロラ」
「この前の借りは返させてもらうでゴンス」
「リターンマッチでアリンス!」
「またお前らか……」
地下室で待っていたのは以前のサイバラの取り巻き三人。実力は印象に残ってないが、変な語尾のことだけは覚えてる。
「これはどういうことだ、コゴーダ?」
「見てのとおりですよ。まずは私の方であなたを試させていただきます」
そういうとコゴーダは右手を挙げて合図を送る。三人が戦闘の構えをとる。
「サイバラ君を倒したとは聞いていますが、私は直接あなたの実力を見たことがありません。ですので、まずはあなたが本当に我らの頭領にお会いするにふさわしい人間か、この三人を使って見極めます」
「この三人を倒せばお前らの頭領に会えるのか?」
「いえいえ、まさか。これはほんの"第一試験"にすぎませんよ」
ギャングレオ盗賊団は変な事業展開ばかりしているとは聞いていたが、根っこの部分はやはり武闘派集団のようだ。
「では、ホクチ君、ナンコ君、トーカイ君。ゼロラ様の相手をしてください」
「ヤンスゥ!」
「ゴンスゥ!」
「アリンスゥ!」
三人が一斉に俺に襲い掛かってきた。
■
「また負けたでヤンス……」
「知ってたでゴンス……」
「お約束でアリンス……」
そして数秒で勝負がついた。
「いやはや、お見事。とりあえず我々のアジトに来る資格はありそうですね」
「戦っただけで分かるもんなのか?」
「頭領シシバは『弱い奴に興味はない』とお考えです。ギャングレオ盗賊団とどのような関係を結ぶにしても、まずは強くないと話になりません」
どうやらギャングレオ盗賊団と協定を結ぶにはこんな事を繰り返さなきゃいけないみたいだ。上等、むしろこういう時こそ俺の出番だ。
「それではゼロラ様には明日の朝、お一人でこちらまで来ていただきましょう」
そう言いながらコゴーダは俺に一枚の紙を手渡した。書かれていたのは一ヶ所に印の入った地図だった。
「そこに我々のアジト……ギャングレオ盗賊団の本部があります。もちろん頭領もそこでお待ちです」
「こんなところにアジトが?」
地図に記された場所は俺の知る限り建物も何もない林があるだけのはずだが……。
「行けば分かる、ってことでいいんだな?」
「左様でございます。来るときは相応の準備と覚悟をしておいてください。"ギャングレオ流"で手荒く歓迎いたしますので」
手荒い歓迎ね……。ここまで来るといっそ分かりやすくて清々しい。
「アジトではサイバラ君もお待ちしております。あなたとの再戦を心待ちにしているようですよ」
「あいつも出てくるのか。そういうあんたは出ないのか?」
「私はあくまでギャングレオの頭脳担当です。ですが、必要ならばお相手いたしましょう」
紳士的に見えるコゴーダも盗賊団の参謀長である以上、戦いの心得はあるようだ。
「ではまた明日。アジトでお会いする時を楽しみにしております」
コゴーダが俺に一礼するのを確認して、俺は地下室を出ていった。
ギャングレオ盗賊団……一筋縄ではいかない相手のようだ……!
見た目といい、態度といい、とても盗賊団の人間には見えなかった。
「俺が来るのはお見通しって訳か」
「待ち伏せをするような真似をして申し訳ございません。我々ギャングレオ盗賊団もあなたにお会いしたかったところなのですよ」
いかにもな営業スマイルを浮かばせながらコゴーダは話を続ける。
「黒蛇部隊のジフウ隊長や、その他のご婦人方まで揃うのは少々予定外でしたが」
「嘘つけ。俺がいることは見て見ぬふりしてただろが」
「ご婦人方と言いますが、自分は男です」
皮肉を込めて返すジフウ。とにかく性別の訂正をしたいラルフル。……とりあえずラルフルは下がっててくれ。
「そっちも俺に用があるんだよな? 俺も丁度あんたらの頭領に用があるところだ」
「それは都合がよろしかったですね。早速で申し訳ありませんが、この店の地下室までゼロラ様お一人でついてきてはくれませぬか?」
コゴーダは俺一人と話をしたいようだ。
「店員さん、かまいませんかね? もし何か損害がありましても"ギャングレオ盗賊団参謀長コゴーダ"の名前で請求書を出していただければ、こちらで弁償いたします」
「コゴーダさんの頼みなら断れませんよ」
どうやら"ただ話をする"だけでは終わらなさそうだ。それにしても『コゴーダさんの頼みなら』って、サイバラはそんなに信用ねえのかよ。
「だ、大丈夫ですよね、ゼロラさん?」
「もし何かあったらすぐに駆け付けるから……ラルフルが」
「ミリアさん!? あ、いえ。このメンバーだとそうしたほうがいいですよね」
マカロン達も心配しているが、さすがにいきなり殺されるってことはないだろう。向こうも俺に話があるみたいだし。
「では、どうぞこちらへ」
コゴーダに案内されるまま、俺は店の地下室へと入っていった。
■
「久しぶりでヤンスね~、ゼロラ」
「この前の借りは返させてもらうでゴンス」
「リターンマッチでアリンス!」
「またお前らか……」
地下室で待っていたのは以前のサイバラの取り巻き三人。実力は印象に残ってないが、変な語尾のことだけは覚えてる。
「これはどういうことだ、コゴーダ?」
「見てのとおりですよ。まずは私の方であなたを試させていただきます」
そういうとコゴーダは右手を挙げて合図を送る。三人が戦闘の構えをとる。
「サイバラ君を倒したとは聞いていますが、私は直接あなたの実力を見たことがありません。ですので、まずはあなたが本当に我らの頭領にお会いするにふさわしい人間か、この三人を使って見極めます」
「この三人を倒せばお前らの頭領に会えるのか?」
「いえいえ、まさか。これはほんの"第一試験"にすぎませんよ」
ギャングレオ盗賊団は変な事業展開ばかりしているとは聞いていたが、根っこの部分はやはり武闘派集団のようだ。
「では、ホクチ君、ナンコ君、トーカイ君。ゼロラ様の相手をしてください」
「ヤンスゥ!」
「ゴンスゥ!」
「アリンスゥ!」
三人が一斉に俺に襲い掛かってきた。
■
「また負けたでヤンス……」
「知ってたでゴンス……」
「お約束でアリンス……」
そして数秒で勝負がついた。
「いやはや、お見事。とりあえず我々のアジトに来る資格はありそうですね」
「戦っただけで分かるもんなのか?」
「頭領シシバは『弱い奴に興味はない』とお考えです。ギャングレオ盗賊団とどのような関係を結ぶにしても、まずは強くないと話になりません」
どうやらギャングレオ盗賊団と協定を結ぶにはこんな事を繰り返さなきゃいけないみたいだ。上等、むしろこういう時こそ俺の出番だ。
「それではゼロラ様には明日の朝、お一人でこちらまで来ていただきましょう」
そう言いながらコゴーダは俺に一枚の紙を手渡した。書かれていたのは一ヶ所に印の入った地図だった。
「そこに我々のアジト……ギャングレオ盗賊団の本部があります。もちろん頭領もそこでお待ちです」
「こんなところにアジトが?」
地図に記された場所は俺の知る限り建物も何もない林があるだけのはずだが……。
「行けば分かる、ってことでいいんだな?」
「左様でございます。来るときは相応の準備と覚悟をしておいてください。"ギャングレオ流"で手荒く歓迎いたしますので」
手荒い歓迎ね……。ここまで来るといっそ分かりやすくて清々しい。
「アジトではサイバラ君もお待ちしております。あなたとの再戦を心待ちにしているようですよ」
「あいつも出てくるのか。そういうあんたは出ないのか?」
「私はあくまでギャングレオの頭脳担当です。ですが、必要ならばお相手いたしましょう」
紳士的に見えるコゴーダも盗賊団の参謀長である以上、戦いの心得はあるようだ。
「ではまた明日。アジトでお会いする時を楽しみにしております」
コゴーダが俺に一礼するのを確認して、俺は地下室を出ていった。
ギャングレオ盗賊団……一筋縄ではいかない相手のようだ……!
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