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第20章 獅子は吠え、虎は猛る
第267話 内通者探し
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リョウを助け出した数日後、俺はガルペラの屋敷で魔幻塔であったことについて話をしていた。
「そんなことがあったのですね……。リョウ大神官が可哀想なのです……」
「<ナイトメアハザード>……。"悪夢の力"とでも呼べばいいのかしら? そんな危険なものが……」
俺の話を聞いたガルペラとローゼスは神妙な面持ちをしている。
リョウのことを心配してくれているようだ。
「<ナイトメアハザード>のことも気にはなる。だけど、その調査にすでに勇者パーティーが動いているのなら、これは僕達にとっては好機にもなりうる」
それに対して一緒に居合わせていたロギウスは冷たくも現状を考察する。
「今の王国サイドには勇者パーティーがいない。改革のための戦いを仕掛けるならば、今しかないだろう」
「……確かにそうかもな」
リョウのことを無碍にされたようで気に食わないが、ロギウスの言うことにも一理ある。
今の王国サイドには騎士団長バルカウスを始めとした主戦力がいない。
『国王の元へと攻め込み、改革を実現する』という目的の実現のためなら今が攻め時だろう。
「だけど一つ気になることがある。先程のゼロラ殿の話でボクが一番気になった存在――【虎殺しの暴虎】。あの者が動いたのは、おそらく――」
「ロギウスも以前話してた、"内通者"か?」
俺が話した言葉にロギウスも無言でうなずく。
やはりロギウスも気になっていたようだ。以前ダウンビーズで俺とロギウスを襲った、六人の追跡者の一人。
圧倒的な戦闘力を持ち、俺達の動きを読んでいた人物――おそらくはこちら側の裏切り者、内通者。
「内通者? 何のことです?」
「……あまり言いたくない話だが、俺達の仲間の中に裏切り者がいるみたいだ」
「そ、そんな……!?」
俺の話を聞いてガルペラもローゼスも驚愕していた。
内通者が誰なのかはまだ確定していない。だが、少なくともここにいる四人ではないだろう。
なぜなら――
「ゼロラ殿。あなたはもう内通者の正体に目星がついているみたいだね?」
考えている俺の耳にロギウスの質問が入ってくる。
おそらくロギウスも今の俺の話を聞いて、ある程度の目星がついたのだろう。
「ああ。確証はないが、一つだけ言えることがある――」
俺は言いづらかったがロギウスの質問に答えた。
「――内通者は……"ギャングレオ盗賊団の中"にいる」
俺の言葉にその場が静まり返った。
ダウンビーズでの一件、そして今回の魔幻塔での一件――
これらの状況を"知ることができた"のは、その時近くにいたギャングレオ盗賊団の人間だ。
「やはりそうなるか……」
「そ……そんな……。信じたくないのです……」
俺の話を聞いてロギウスは納得するが、ガルペラは激しく動揺している。
ガルペラは俺達改革派のリーダーとも言える存在だが、その中身はまだまだ少女だ。
為政者としていくら優秀でも、嘘や裏切りと言ったものには疎くなってしまうのだろう。
「じゃあ、ゼロラ殿……。そのギャングレオ盗賊団の中にいる内通者についても検討はついているのかな?」
「ああ……。これは本当に"おそらく"の話だがな――」
ロギウスに再度尋ねられ、俺は内通者と思われる人物の名を口にしようとした――
「内通者の正体はおそらく――」
バタァアン!!
――俺が内通者の名を口にしようとした矢先、何者かが部屋の扉を勢い良く開けて飛び込んできた。
「ハァ、ハァ! み、皆さん! は、早くお逃げください!!」
「コゴーダ!? お前、なんでここに――」
入ってきたのはギャングレオ盗賊団参謀長であるコゴーダだった。
血相を変えて俺達に逃げることを勧めてきた。
「説明している時間はありません! 頭領シシバを始めとするギャングレオ盗賊団が暴走を始めました! すでに、このガルペラ侯爵邸を包囲しています!」
「シシバが!? ギャングレオ盗賊団が!? 何が起こってるんだ!?」
コゴーダの話を聞いた俺達は、慌てて窓から外の様子を確認する。
「出てくるでヤンスゥウ! ガルペラァア!!」
「よくもギャングレオ城を壊してくれたでゴンスねぇえ!!」
「サイバラの兄貴の仇をとるでアリンスゥウ!!」
コゴーダが言う通り、すでに屋敷は大量のギャングレオ盗賊団によって包囲されていた。
そしてその全員が正気を失った様子でガルペラへの敵意をむき出しにしている……!
「ど、どういうことなのですか!? 私には身に覚えがないのです!」
「突然ギャングレオ城が爆発し、<ナイトメアハザード>と似た闇に覆われて全員おかしくなったんです! 私は偶然その場に居合わせていなかったので、難を逃れたのですが――」
どうやらギャングレオ盗賊団が暴走したことには、<ナイトメアハザード>も関わっているようだ。
「ガルペラァアア!! 出てこんかいぃいい!! この落とし前はキッチリつけさしてもらうでぇええ!!」
集団の先頭にはシシバの姿もあった。
シシバも操られてしまったのか……!?
そして大量のギャングレオ盗賊団構成員が屋敷の守衛を押し倒して、中へと流れ込んでくる――
「ゼロラ殿! やはり内通者はギャングレオ盗賊団の中にいると見て間違いないようだね!?」
「どうやらそうらしいな……!」
ロギウスも言う通り、これで確定と言えるだろう。
ギャングレオ城を襲い、ギャングレオ盗賊団を暴走させることができる人間なんて――ギャングレオ盗賊団の中にしかいない!
「とにかく逃げるぞ! ガルペラ! ローゼス! 脱出路はあるか!?」
「そ、それなら地下の図書室に向かってほしいのです!」
「あそこにある<転移魔法陣>を使えば、この包囲も抜けられるわ!」
ガルペラとローゼスは以前俺も立ち寄らせてもらった地下の図書室へ向かうことを進言してくれた。
そこにある<転移魔法陣>を使って、今はなんとかして脱出しないと……!
「分かった。早速向かうぞ! ロギウスも頼む!」
「承知した! ここでギャングレオ盗賊団に倒されるわけにはいかないからね!」
ロギウスは腰の刀を抜いて、いつでも戦える準備を整える。
「私はこのことを旦那様――バクト公爵に伝えてきます! 私は操られていませんが、私だけなら彼らの目を掻い潜ることはできます!」
コゴーダは単身でこの事態をバクトへ報告するため、先に脱出に向かって行った。
俺とロギウス、ガルペラとローゼス。
四人での狂ったギャングレオ盗賊団からの脱出作戦が始まる……!
「そんなことがあったのですね……。リョウ大神官が可哀想なのです……」
「<ナイトメアハザード>……。"悪夢の力"とでも呼べばいいのかしら? そんな危険なものが……」
俺の話を聞いたガルペラとローゼスは神妙な面持ちをしている。
リョウのことを心配してくれているようだ。
「<ナイトメアハザード>のことも気にはなる。だけど、その調査にすでに勇者パーティーが動いているのなら、これは僕達にとっては好機にもなりうる」
それに対して一緒に居合わせていたロギウスは冷たくも現状を考察する。
「今の王国サイドには勇者パーティーがいない。改革のための戦いを仕掛けるならば、今しかないだろう」
「……確かにそうかもな」
リョウのことを無碍にされたようで気に食わないが、ロギウスの言うことにも一理ある。
今の王国サイドには騎士団長バルカウスを始めとした主戦力がいない。
『国王の元へと攻め込み、改革を実現する』という目的の実現のためなら今が攻め時だろう。
「だけど一つ気になることがある。先程のゼロラ殿の話でボクが一番気になった存在――【虎殺しの暴虎】。あの者が動いたのは、おそらく――」
「ロギウスも以前話してた、"内通者"か?」
俺が話した言葉にロギウスも無言でうなずく。
やはりロギウスも気になっていたようだ。以前ダウンビーズで俺とロギウスを襲った、六人の追跡者の一人。
圧倒的な戦闘力を持ち、俺達の動きを読んでいた人物――おそらくはこちら側の裏切り者、内通者。
「内通者? 何のことです?」
「……あまり言いたくない話だが、俺達の仲間の中に裏切り者がいるみたいだ」
「そ、そんな……!?」
俺の話を聞いてガルペラもローゼスも驚愕していた。
内通者が誰なのかはまだ確定していない。だが、少なくともここにいる四人ではないだろう。
なぜなら――
「ゼロラ殿。あなたはもう内通者の正体に目星がついているみたいだね?」
考えている俺の耳にロギウスの質問が入ってくる。
おそらくロギウスも今の俺の話を聞いて、ある程度の目星がついたのだろう。
「ああ。確証はないが、一つだけ言えることがある――」
俺は言いづらかったがロギウスの質問に答えた。
「――内通者は……"ギャングレオ盗賊団の中"にいる」
俺の言葉にその場が静まり返った。
ダウンビーズでの一件、そして今回の魔幻塔での一件――
これらの状況を"知ることができた"のは、その時近くにいたギャングレオ盗賊団の人間だ。
「やはりそうなるか……」
「そ……そんな……。信じたくないのです……」
俺の話を聞いてロギウスは納得するが、ガルペラは激しく動揺している。
ガルペラは俺達改革派のリーダーとも言える存在だが、その中身はまだまだ少女だ。
為政者としていくら優秀でも、嘘や裏切りと言ったものには疎くなってしまうのだろう。
「じゃあ、ゼロラ殿……。そのギャングレオ盗賊団の中にいる内通者についても検討はついているのかな?」
「ああ……。これは本当に"おそらく"の話だがな――」
ロギウスに再度尋ねられ、俺は内通者と思われる人物の名を口にしようとした――
「内通者の正体はおそらく――」
バタァアン!!
――俺が内通者の名を口にしようとした矢先、何者かが部屋の扉を勢い良く開けて飛び込んできた。
「ハァ、ハァ! み、皆さん! は、早くお逃げください!!」
「コゴーダ!? お前、なんでここに――」
入ってきたのはギャングレオ盗賊団参謀長であるコゴーダだった。
血相を変えて俺達に逃げることを勧めてきた。
「説明している時間はありません! 頭領シシバを始めとするギャングレオ盗賊団が暴走を始めました! すでに、このガルペラ侯爵邸を包囲しています!」
「シシバが!? ギャングレオ盗賊団が!? 何が起こってるんだ!?」
コゴーダの話を聞いた俺達は、慌てて窓から外の様子を確認する。
「出てくるでヤンスゥウ! ガルペラァア!!」
「よくもギャングレオ城を壊してくれたでゴンスねぇえ!!」
「サイバラの兄貴の仇をとるでアリンスゥウ!!」
コゴーダが言う通り、すでに屋敷は大量のギャングレオ盗賊団によって包囲されていた。
そしてその全員が正気を失った様子でガルペラへの敵意をむき出しにしている……!
「ど、どういうことなのですか!? 私には身に覚えがないのです!」
「突然ギャングレオ城が爆発し、<ナイトメアハザード>と似た闇に覆われて全員おかしくなったんです! 私は偶然その場に居合わせていなかったので、難を逃れたのですが――」
どうやらギャングレオ盗賊団が暴走したことには、<ナイトメアハザード>も関わっているようだ。
「ガルペラァアア!! 出てこんかいぃいい!! この落とし前はキッチリつけさしてもらうでぇええ!!」
集団の先頭にはシシバの姿もあった。
シシバも操られてしまったのか……!?
そして大量のギャングレオ盗賊団構成員が屋敷の守衛を押し倒して、中へと流れ込んでくる――
「ゼロラ殿! やはり内通者はギャングレオ盗賊団の中にいると見て間違いないようだね!?」
「どうやらそうらしいな……!」
ロギウスも言う通り、これで確定と言えるだろう。
ギャングレオ城を襲い、ギャングレオ盗賊団を暴走させることができる人間なんて――ギャングレオ盗賊団の中にしかいない!
「とにかく逃げるぞ! ガルペラ! ローゼス! 脱出路はあるか!?」
「そ、それなら地下の図書室に向かってほしいのです!」
「あそこにある<転移魔法陣>を使えば、この包囲も抜けられるわ!」
ガルペラとローゼスは以前俺も立ち寄らせてもらった地下の図書室へ向かうことを進言してくれた。
そこにある<転移魔法陣>を使って、今はなんとかして脱出しないと……!
「分かった。早速向かうぞ! ロギウスも頼む!」
「承知した! ここでギャングレオ盗賊団に倒されるわけにはいかないからね!」
ロギウスは腰の刀を抜いて、いつでも戦える準備を整える。
「私はこのことを旦那様――バクト公爵に伝えてきます! 私は操られていませんが、私だけなら彼らの目を掻い潜ることはできます!」
コゴーダは単身でこの事態をバクトへ報告するため、先に脱出に向かって行った。
俺とロギウス、ガルペラとローゼス。
四人での狂ったギャングレオ盗賊団からの脱出作戦が始まる……!
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