記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第20章 獅子は吠え、虎は猛る

第270話 獅子凶行逆襲戦③

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「準備ができたのです! これで<転移魔法陣>が使えるのです!」

 図書室に入ると早速ガルペラが<転移魔法陣>を準備してくれた。
 これでこの屋敷からも脱出できるが――

「しかしギャングレオ盗賊団が敵の術中にはまってしまったか……。これでは王国騎士団と戦う以前の話になってしまったな……」
「そうですわね……。たとえここから逃げ出せても、今後に大きな支障が――」

 ロギウスとローゼスが苦悶の表情を浮かばせている。
 脱出を優先させるべき状況だが、たとえ脱出に成功しても今後の戦いは圧倒的に不利なままだ。



 ――仕方ない。俺が動こう。

「ロギウス、ガルペラ、ローゼス。お前ら三人だけで脱出してくれ。俺はここに残る」
「な、何を言ってるのですか!? ゼロラさん! ゼロラさんを置いて脱出なんてできないのです!」
「俺はシシバと話をつけてくる。頭領であるシシバさえ説得できれば、ギャングレオ盗賊団の暴走も抑えられるかもしれない」

 俺の身を案じるガルペラだったが、この状況を放っておくわけにはいかない。
 このままギャングレオ盗賊団を暴走させるわけにもいかないし、今回の件にはあの<ナイトメアハザード>も関わっている。
 リョウを苦しめた力の元凶。悲しい少女の声が呼び起こした悪夢。

 俺にはこれらを野放しにはできなかった。

「……信じて大丈夫だね? ゼロラ殿」
「ああ。ギャングレオ盗賊団の暴走は俺が必ず食い止める。そっちのことは任せたぞ、ロギウス」

 表情からまだ不安も伺えるロギウスだったが、俺の言葉を信じて後を託してくれた。
 ガルペラとローゼスのことはロギウスに任せよう。
 屋敷から離れられれば大丈夫だと思うが、もしかしたらこの騒動を引き起こした黒幕が外で待ち構えているかもしれない。

 ガルペラ、ローゼス、ロギウスの三人は<転移魔法陣>の中へと入っていった――

「ゼロラさん! 必ず無事でいるのです! 信じてるのです――」

 魔法陣の光に包まれながら、ガルペラの激励の言葉と共に三人の姿は消えていった――
 後は無事を祈るだけだ。

「……よし。俺も向かうとするか」

 俺は地下の図書室を出て、再び屋敷の廊下を進んで行った――





「ドオラァア!!」
「うぎぃ!? く、くそ……!」

 俺は来た道を再度戻る。
 道中のギャングレオ盗賊団をなぎ倒しながら階段を上がっていく。
 ギャングレオ盗賊団はガルペラを探して進撃を続けているが、どうやら最上階にあるガルペラの執務室を目指しているらしい。
 この集団の先頭を走っているのはおそらく――

「ガルペラァアア!! どこ行きおったぁあ!? 出てこんかいぃい!!」

 ――やはりいた! シシバだ!
 部下を三人ほど引き連れて先陣を切っている!
 どんどんと階段を上がって先へと進んで行くが、とにかくあいつを止めて――



 ガガガガッ!

「ッ!? 後ろから!? 銃撃か!?」

 シシバを止めようとした矢先、俺の背後から多数の銃弾が襲い掛かってきた。
 幸い当たることはなかったが、後続から邪魔を入れられてはあのシシバの相手をするのは難しい。

 俺は後ろを振り向いて銃を撃ってきた相手の姿を確認した――





「ゼロラの旦那もいやしたとはね……! ガルペラの居所を吐いてもらいやしょうか……!」
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