記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第20章 獅子は吠え、虎は猛る

第273話 暗躍者と内通者

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「ど、どうなってるんですか!? これは!?」
「ギャングレオ盗賊団が……ガルペラ侯爵邸を襲っている!?」

 自分とミリアさんはセンビレッジでの騒動が起きているのを離れた位置から確認しました。
 少し近づいて様子を見てみると、ギャングレオ盗賊団がガルペラ侯爵のお屋敷を襲っているようです……!

「な、なんでこんなことに――」



 自分達が困惑していると、物陰から声が聞こえてきました――

「――どういうことですか? こんな事態になるとは聞いていませんでしたよ?」
「馬鹿者が! どのような結果になろうが貴様には関係ないじゃろう! 大人しくわしらの命令に――」

 一人は静かに――ですが怒りのこもった声で話しています。
 そしてもう一人の声――この声は良く聞き覚えがあります――

 自分とミリアさんはゆっくりと声の先を覗き込みました――





「わしに逆らうのか? 【虎殺しの暴虎】よ?」
「……いえ、ジャコウ様――」

 そこにいたのは王国騎士団軍師のジャコウ様と、以前リョウ大神官に貸してもらったものと同じ漆黒のローブを身に纏った人――

「ジャコウ様! これはどういうことですか!?」

 自分は思わず二人の前に飛び出してしまいました。
 このギャングレオ盗賊団の暴走がジャコウ様の画策ならば――それを確かめる必要があります!

「ラルフル!? な、なぜ貴様がここに!?」
「王国騎士団軍師、ジャコウ様ですね? こんなところで何をなさっているのですか?」
「せ、聖女ミリア様まで!?」
「…………」

 自分とミリアさんはジャコウ様と黒ローブの人の前に躍り出ました。
 うろたえるジャコウ様に対し、黒ローブの人は黙り込んだままこちらを見てきます。

 ――不気味な人です。
 ですが、この人からは只者ではない気配がします……!

「このギャングレオ盗賊団が起こした騒動……。もしかしてジャコウ様の仕業ですか?」
「き、貴様らには関係ないわ!」
「その狼狽え方……。やっぱりアンタが関わってるの!? まさかリョウ大神官を襲った<ナイトメアハザード>とかいう力を使って――」

 自分の問い詰めにジャコウ様は狼狽えます。
 ミリアさんもリョウ大神官を暴走させた元凶相手に、聖女としての態度も忘れてさらに詰め寄ります。

「だ、黙らぬか! 聖女と呼ばれていようと、わしの画策の邪魔などさせぬわ!!」

 詰め寄ってくるミリアさんを突き放すように、ジャコウ様はその手から氷魔法を放ってきました!



 そんなこと――自分が許しません!
 自分はすぐさまミリアさんの前に出ます――





 パリィイン!

「な、何じゃと!? ラルフルのような小童如きが、わしの魔法を弾いたじゃと!?」

 ――自分でも驚きました。
 自分はジャコウ様がミリアさんに放った氷魔法を"自然に"弾き飛ばすことができました。

 ――ですが、今はそんなことができた驚きよりも、自分の内にこみ上げてくる感情があります……!
 ジャコウ様がミリアさんを攻撃したこと――
 そのことが自分の内にこれまでにないほどの"怒り"を呼び起こします……!





「ジャ――ジャコォォオオウ!!」

 普段の自分からは信じられないような怒号。
 自分は怒りに身を任せてジャコウへと殴り掛かりました!

「ヒ、ヒィイ!?」
「…………チッ」

 ガシィイ!!

「!? う、受け止められた……!?」

 自分が全力で振りぬいた拳は一緒にいた黒ローブの人に簡単に受け止められてしまいました……!
 この人……やっぱりとんでもなく強いです!

「お、おい! 【虎殺しの暴虎】! この場は貴様に任せる! よいな!?」
「…………」

 ジャコウは【虎殺しの暴虎】と呼ばれる黒ローブの人にこの場を任せて、逃げてしまいました。

「くうぅ!!」
「…………」

 自分はなんとか掴まれた拳を振りほどいて構えなおします。
 【虎殺しの暴虎】といえば、ジフウさんが以前言っていたルクガイア暗部の人でしたね……。

「ミリアさん、下がっていてください……!」
「ラ、ラルフル……ダメよ! この人……とてもアンタが勝てる相手じゃないわ……!」

 確かにミリアさんの言う通りでしょう。
 ですが――この人がギャングレオ盗賊団を暴走させた元凶ならば、見逃すわけにはいきません。

 それに――ミリアさんを傷つけようとしたことが何よりも許せません!!
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