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第20章 獅子は吠え、虎は猛る
第278話 だからおかしな話だった
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「へえぇ……。あんまり驚かないんスねぇ……?」
ローブを脱ぎ捨て、俺に【虎殺しの暴虎】としての正体を明かしたサイバラは、付けているサングラスを押さえながら尋ねてきた。
「……おおよその見当はついていた。お前の行動は色々おかしかったからな……」
「ほぉう……? オレの正体に勘づいてたんスかぁ……」
普段の"ギャングレオ盗賊団特攻隊長"とは違う。
"ルクガイア暗部構成員"としてか、あるいはサイバラ自身の本性なのか。
どこか重くのしかかるような言葉でサイバラは俺との話を続けてきた。
「どこからオレのことが、"おかしい"と思ってたんスかねぇ?」
「今にして思えば……"最初から"だ」
「『最初から』?」
「ああ。センビレッジの酒場で最初にお前と戦った時。思い返せばあの時からおかしな気はしてたんだ――」
あの時サイバラは<電撃肉体強化魔法>を使って一気に畳みかけてきたが、サイバラ本人には"まだそこまでしなくても戦える余裕"があった。
そしてその後にギャングレオ城で戦った時も最後の一戦を除き、あまりにも稚拙な撤退を俺の前で繰り返していた。
そう、サイバラはこれまでずっと――
「本当の実力を隠してきてたんだろ? うまく理由をつけて敗走しながら、俺を完全に仕留めることなく、お前の正体がバレないように……」
「…………」
俺の話を聞いてサイバラは黙る。
サングラスで目元を隠してはいるが、その表情からは図星を突かれた様子を感じ取れる。
「……仮にオレが実力を隠していたとして、どうしてそれで【虎殺しの暴虎】がオレだっていう根拠になるんスか?」
黙っていたサイバラだったが、さらなる疑問を俺にぶつけてきた。
「色々とタイミングが合い過ぎてるんだよ」
「『タイミング』?」
「ああ。俺とロギウスが魔幻塔からダウンビーズに向かった時、お前も近くにいた。魔幻塔でリョウを助ける時だって、お前は先に魔幻塔へと入り込んでいた。そのどちらの件でも【虎殺しの暴虎】は俺の前に現れた……」
「……それだったら、コゴーダも当てはまりそうなもんスけどねぇ?」
確かにコゴーダにも同じことは言えるだろう――
――だが、"コゴーダではなくサイバラである"確証が俺にはあった。
「――実力だよ」
「実力……。あぁ、なるほど。あの漆黒のローブじゃ姿はごまかせても、"戦闘能力"まではごまかせないスからねぇ……」
実際にサイバラとコゴーダ。そして【虎殺しの暴虎】と拳を交えた俺だから分かる。
"圧倒的なパワー"と"常人離れしたタフネス"。
いくら本来の実力を隠そうとしてもそれらの身体能力はコゴーダには発揮できない。
そうなってくると――【虎殺しの暴虎】だと考えられたのは"サイバラだけ"だ。
そして――
「さらにもう一つお前が【虎殺しの暴虎】だと考えられた理由がある。……ギャングレオ盗賊団に"入った時期"だ」
「ダハハハ……! そこまで考えられてたんスか……!」
いつだったかヤカタやネモト達から聞いた話――
『サイバラはギャングレオ盗賊団に入ってからスピード出世した』
――それは"サイバラが他の幹部と違ってギャングレオ盗賊団に入ってからの日が浅い"ことを意味している。
だからこいつは他のギャングレオ盗賊団のように"元々の盗賊団の寄せ集め"だったりはしない。
サイバラは――
「お前は……"最初からジャコウの手先としてギャングレオ盗賊団に潜り込んでいた"んだろ?」
「本当に厄介な人ッスねぇ……ゼロラさんはぁ……!」
俺の言葉にただただ肯定を続けるサイバラ。
口元をニヤつかせながらも、その声にはどこか怒気が含まれている。
「あなたの言う通りッスよ。オレはそもそも最初から、"ルクガイア暗部構成員"としてジャコウからギャングレオ盗賊団への潜入を命じられてたんス。そしてその中で必要なだけの実力を発揮し、オレはずーっと機会を伺ってたんスよ」
もはや隠し通す意味などない。
そう思ったのかサイバラは自らの正体を呆気からんと暴露する。
やはり俺の思った通りだった。
サイバラはジャコウの手先として、貴族の間で黒蛇部隊隊長ジフウ――【龍殺しの狂龍】と並び称されるルクガイア暗部の【虎殺しの暴虎】として俺達の仲間の中に紛れ込んでいたのだ。
――だから、俺にはどうしても聞きたいことがあった。
これらの事実が分かった今、俺の中にある"最大の疑問"を――
「サイバラ。ここまでの話を踏まえてお前に一つ質問させてもらう」
「ええ、なんなりと。ここまでバレちまったら、俺に隠せることなんてなーんにもないスからね」
サイバラの言葉を聞いて、俺は一番気になっていたことを質問する――
「サイバラ。お前は……"本当にギャングレオ盗賊団を裏切った"のか?」
ローブを脱ぎ捨て、俺に【虎殺しの暴虎】としての正体を明かしたサイバラは、付けているサングラスを押さえながら尋ねてきた。
「……おおよその見当はついていた。お前の行動は色々おかしかったからな……」
「ほぉう……? オレの正体に勘づいてたんスかぁ……」
普段の"ギャングレオ盗賊団特攻隊長"とは違う。
"ルクガイア暗部構成員"としてか、あるいはサイバラ自身の本性なのか。
どこか重くのしかかるような言葉でサイバラは俺との話を続けてきた。
「どこからオレのことが、"おかしい"と思ってたんスかねぇ?」
「今にして思えば……"最初から"だ」
「『最初から』?」
「ああ。センビレッジの酒場で最初にお前と戦った時。思い返せばあの時からおかしな気はしてたんだ――」
あの時サイバラは<電撃肉体強化魔法>を使って一気に畳みかけてきたが、サイバラ本人には"まだそこまでしなくても戦える余裕"があった。
そしてその後にギャングレオ城で戦った時も最後の一戦を除き、あまりにも稚拙な撤退を俺の前で繰り返していた。
そう、サイバラはこれまでずっと――
「本当の実力を隠してきてたんだろ? うまく理由をつけて敗走しながら、俺を完全に仕留めることなく、お前の正体がバレないように……」
「…………」
俺の話を聞いてサイバラは黙る。
サングラスで目元を隠してはいるが、その表情からは図星を突かれた様子を感じ取れる。
「……仮にオレが実力を隠していたとして、どうしてそれで【虎殺しの暴虎】がオレだっていう根拠になるんスか?」
黙っていたサイバラだったが、さらなる疑問を俺にぶつけてきた。
「色々とタイミングが合い過ぎてるんだよ」
「『タイミング』?」
「ああ。俺とロギウスが魔幻塔からダウンビーズに向かった時、お前も近くにいた。魔幻塔でリョウを助ける時だって、お前は先に魔幻塔へと入り込んでいた。そのどちらの件でも【虎殺しの暴虎】は俺の前に現れた……」
「……それだったら、コゴーダも当てはまりそうなもんスけどねぇ?」
確かにコゴーダにも同じことは言えるだろう――
――だが、"コゴーダではなくサイバラである"確証が俺にはあった。
「――実力だよ」
「実力……。あぁ、なるほど。あの漆黒のローブじゃ姿はごまかせても、"戦闘能力"まではごまかせないスからねぇ……」
実際にサイバラとコゴーダ。そして【虎殺しの暴虎】と拳を交えた俺だから分かる。
"圧倒的なパワー"と"常人離れしたタフネス"。
いくら本来の実力を隠そうとしてもそれらの身体能力はコゴーダには発揮できない。
そうなってくると――【虎殺しの暴虎】だと考えられたのは"サイバラだけ"だ。
そして――
「さらにもう一つお前が【虎殺しの暴虎】だと考えられた理由がある。……ギャングレオ盗賊団に"入った時期"だ」
「ダハハハ……! そこまで考えられてたんスか……!」
いつだったかヤカタやネモト達から聞いた話――
『サイバラはギャングレオ盗賊団に入ってからスピード出世した』
――それは"サイバラが他の幹部と違ってギャングレオ盗賊団に入ってからの日が浅い"ことを意味している。
だからこいつは他のギャングレオ盗賊団のように"元々の盗賊団の寄せ集め"だったりはしない。
サイバラは――
「お前は……"最初からジャコウの手先としてギャングレオ盗賊団に潜り込んでいた"んだろ?」
「本当に厄介な人ッスねぇ……ゼロラさんはぁ……!」
俺の言葉にただただ肯定を続けるサイバラ。
口元をニヤつかせながらも、その声にはどこか怒気が含まれている。
「あなたの言う通りッスよ。オレはそもそも最初から、"ルクガイア暗部構成員"としてジャコウからギャングレオ盗賊団への潜入を命じられてたんス。そしてその中で必要なだけの実力を発揮し、オレはずーっと機会を伺ってたんスよ」
もはや隠し通す意味などない。
そう思ったのかサイバラは自らの正体を呆気からんと暴露する。
やはり俺の思った通りだった。
サイバラはジャコウの手先として、貴族の間で黒蛇部隊隊長ジフウ――【龍殺しの狂龍】と並び称されるルクガイア暗部の【虎殺しの暴虎】として俺達の仲間の中に紛れ込んでいたのだ。
――だから、俺にはどうしても聞きたいことがあった。
これらの事実が分かった今、俺の中にある"最大の疑問"を――
「サイバラ。ここまでの話を踏まえてお前に一つ質問させてもらう」
「ええ、なんなりと。ここまでバレちまったら、俺に隠せることなんてなーんにもないスからね」
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