記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第23章 追憶の番人『ドク』

第334話 対決・元ルクガイア王国騎士団二番隊隊士『アサルト』④

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 あまりに常軌を逸したフレイムの戦闘力――
 それに悩んでいた俺とシシバの前に、サイバラが躍り出た。

「あの攻撃って、ようするに"電気エネルギー"なんスよね? だったら、オレが<電撃肉体強化魔法>のエネルギーに変換することもできるはずッス」
「サイバラ……」

 俺とシシバに背を向けながら、サイバラが提案する。
 その半裸の背中から伺える覚悟は、どこか頼もしく見える。

 こいつ、常時半裸だけど。

「……やってくれるか? サイバラ?」
「シシバのカシラのご命令とあらば。曲がりなりにもカシラに――ギャングレオ盗賊団に無礼を働いたこのオレに、できることならなんなりと……!」

 シシバの要望に返したサイバラの言葉から、その覚悟が本物であることは分かった。

 俺もサイバラの覚悟に答える必要があるな……!

「よし……あの<プラズマ弾>は任せたぞ、サイバラ!」
「ッシャア! 任せてくだせぇ!!」

 俺達三人、全員が覚悟を決めたと同時に、フレイムも動き始める――

「フオオオオ!!」

 ビュォオオ!!

 左腕を回転させたまま、フレイムは背中から炎を吹き出して再び高速移動を始める!
 先程の落下で飛行機能は失ったのか、空を飛んでは来ない!
 だが……そのスピードはこれまで以上だ!

「さあ、来ぉい! 【王国最強】がぁあ! この【虎殺しの暴虎】サイバラ様に……さっきの攻撃を撃ってきやがれぇええ!!」

 そんなフレイムをサイバラは挑発し、<プラズマ弾>を誘い込む!
 フレイムは高速移動しながら、サイバラへと照準を合わせる!
 俺とシシバはサイバラから離れ、チャンスを伺う!

 狙うは……フレイムが<プラズマ弾>を放った後だ!

「フオオオ!!!」

 フレイムはサイバラへと左腕を向ける!
 サイバラも両手を広げて攻撃を耐え抜く構えをとる!



 ズギャァアアン!!



 そして放たれた、フレイムの<プラズマ弾>!
 それは一気にサイバラへと向かって行き――



「シャウラァアアアア!!!」

 バチバチバチィイ!!

 ――サイバラの両手で食い止められた!

「ドゥアアア……!? さ、流石に全部吸収するのは無理そうッスね……!」

 後逸しながらも<プラズマ弾>を押さえ込むサイバラ。
 流石にサイバラへの負担は大きく、<プラズマ弾>を吸収しきるのは難しいようだ――



「だったら……お返しだぁああ!!」

 サイバラは両腕で支えていた<プラズマ弾>を、フレイムへと押し戻した!
 全ては吸収しきれずとも、一部の吸収には成功したのだろう。
 サイズが小さくなった<プラズマ弾>が、今度はフレイムへと襲い掛かる!

「フオオオオン!!」

 それを迎撃するために、フレイムも左腕を回転させて薙ぎ払う態勢をとる――



 ――ザシュン!!

「フオオッ!? オオッ!?」
「悪いな! 【王国最強】! 俺の部下の決死の覚悟や! 不意打ち上等で邪魔さしてもらうで!」

 フレイムが左腕を掲げたその時、装甲が剥がれて隙だらけとなったその腹部に斬撃が走る。

 ――シシバが投げたブーメラン。
 生身の体に食らったフレイムは体勢を崩す。

 そして――



 ズギャァアアン!!



「フオオオ!?」

 サイバラによって跳ね返された<プラズマ弾>が、フレイムに直撃した。
 フレイムの体は消滅こそしていないが、膝をついてうずくまっている。

「……フオオオ!!」

 それでもまだ負けまいと、フレイムは壊れかけた左腕を再び回転させる――



 ――だが、もう遅い!

「ウオォオオオ!!」
「フ、フオオッ!?」

 サイバラとシシバが作ってくれた隙――
 その間に俺はフレイムの懐へと潜り込む!

「オラァアアア!!!」
「フゴォオオ!!??」

 ボガンッッッ!!

 むき出しとなったフレイムの腹へと決まる、俺の正拳突き。
 それも含めた度重なるダメージが、ついに【王国最強】たるフレイムの動きを完全に止めた。

「フレイム、お前だって兄のフロストに無暗な真似はさせたくないだろ? 大人しくここで待ってるんだ」

 これまで兄フロストの命令を忠実に守ってきたフレイム。
 だが弟であるこいつも、決してその行動が完全なる本心ではないはずだ。





「ニ……ニイチャン……ゴメン……。ヤッパリ……トマッテ――」

 フレイムが初めて俺達の前で口にした"人の言葉"。
 その途中でフレイムは気を失ったようだが、その言葉には兄の身を案じる弟の気持ちを感じ取れた。



「なんとか……止まったか」
「ようやくやな……。ホンマ、とんでもない男やで」
「まったくッスね……。後はこいつの兄であるフロストだけッスが……」

 フレイムを倒すことはできた俺達。
 だが最大の課題であるフロストの方は分からない。

「フロストのことはマカロンとラルフルに任せるんだ。俺達にできるのは……ここまでだ」

 離れて指示を出してくれていたバクトが、俺達三人に歩み寄る。

 バクトの言う通り、後はあの二人に任せるしかない。

 マカロンとラルフル――
 フロストにとって、"我が子同然"とも言えるあの二人に――
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