記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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最終章 それが俺達の絆

第464話 決着の時『鳥』

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 ■ ◇ ■ ◇ ■


 バサァ―― バサァ――


 ゼロラとラルフル。
 二人が同時に上着を脱ぎ捨てたことで、その内側に隠れていた"闘志そのもの"と言えるオーラがハッキリと現れた。

 ゼロラの体から湧き上がる、<灰色のオーラ>。
 ラルフルの体から湧き上がる、<緑色のオーラ>

 人として、心技体が高度で同レベルに到達した二人の体には、それぞれの色のオーラが纏われていた。

「お前が俺と同じレベルにたどり着いたことを、俺は嬉しく思うぜ……!」
「自分もあなたにそう言ってもらえることを、誇りに思います……!」

 ゼロラもラルフルも、その固い決心を顔に滲ませる。
 もうこの二人の実力に、絶対的な差はない。
 魔力を失い、魔法使いとしての道を閉ざされたラルフルだったが、武闘家として、その実力は完全にゼロラに追いついていた。

「魔力を失い、"限り"ある"零"の状態から、純粋な人間としての鍛錬と強化でここまでたどり着く力……。一度は地に落ちながらも、まるで"不死鳥"の如く、這い上がって磨き上げた肉体と精神――」

 そんなラルフルのことを、ゼロラは敬意をもって例えた――



「――【零限れいげんの不死鳥】……。今のお前には、そんな二つ名が相応しいな……!」



 ――【零限の不死鳥】。
 ゼロラがラルフルに与えた二つ名には、深い敬意と強敵への賛辞の意味が込められていた。

「【零限の不死鳥】……ですか。【零の修羅】からそんな二つ名を与えていただけるなんて、光栄の極みですね……!」

 ラルフルもそんなゼロラの言葉は聞き、喜びに身を震わせていた。

 自らの努力は決して無駄ではなかった。
 自らが追ってきた背中は、追うに値するものだった。

 自らが望んだ"絆"は、確かなものだった。

 そんな確信を改めて胸に抱き、ラルフルは構えをとる。

「後悔はなしだぜ? ラルフル……!」
「後悔なんてしませんよ。ずっと望み続けていたことなのですから。……ゼロラさん!」

 ゼロラも構えをとり、二人の間に張り詰めた空気が立ち込める。



 記憶を失い、魔力を失い、それでも我が子のために人間として蘇った、かつての【伝説の魔王】ジョウイン――
 現在、人間として名乗る二つ名を――【零の修羅】、ゼロラ。

 勇者レイキースと【伝説の魔王】討伐の旅に出て、策略によって魔力を失った、かつては有能な魔法使いだった少年――
 現在、武闘家として名乗る二つ名を――【零限の不死鳥】、ラルフル。



 互いの出会いが、互いの運命を動かした。
 互いの運命が、互いに目指していた終点へと導いた。



 互いの絆が、この決戦を求めた。



 双方互いに構えをとり、そして睨み合う。
 もうこの戦いに必要な意味は一つしかない――



 ――ただ純粋なる"勝利"。
 お互いの意地を賭けた、純粋なる"決戦"。



 ――ダッ!



 ゼロラとラルフルはそれぞれ地面を踏み込み、一斉に相手目がけて走り出した。

「行くぞぉおお!! ラルフルゥウウ!!」
「行くぞぉおお!! ゼロラァアア!!」

 もはやこの二人に上下関係など存在しない。
 持ちうる力は同等。どちらにも勝機はある。
 ルクガイア城の屋上には、<灰色のオーラ>と<緑色のオーラ>だけが強く輝く。



 二人だけの最終決戦が、ついに幕を上げた――
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