記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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最終章 それが俺達の絆

第465話 最終決戦・【零限の不死鳥】①

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「オォオオオ!!」
「ハァアアア!!」

 ゼロラとラルフル。
 双方が駆けながら右手を握りしめ、その拳を相手へと突き出す。



 ドゴォオオン!!



「んぐぅう……!」
「んぎぃい……!」

 お互いの拳が、お互いの左頬へと突き刺さる。
 その衝撃は形となった闘志であるオーラの効果によって、舞台となったルクガイア城の屋上に一時的な真空空間を作り出した。

 そしてその威力は――



「ぐうぅ!?」
「うぐぅ!?」



 ――完全に互角。

 ゼロラとラルフルは衝撃に弾かれ、足を地面に擦らせながら距離をとった。

「流石だな……ラルフル! ここまで強くなったとはなぁあ!!」
「ゼロラさんこそ……流石ですね! これでこそ、挑み甲斐がありますよぉお!!」

 ゼロラもラルフルも、互いに笑いながらその実力を称え合う。

 ゼロラにとっては、ラルフルが自らのレベルに到達してくれたことが嬉しかった。
 ラルフルにとっては、ゼロラのレベルに自らが到達したことが嬉しかった。

 レイキースによって用意された苦々しい戦いの機会だったが、それでも二人は喜び合っていた。
 この決戦に求められるのは、ただ純粋な力のぶつかり合いのみ。
 意図せずしてその舞台となったルクガイア城の屋上は、古来より決闘場として使われてきた大舞台――



 ――"魔力ゼロ"の二人が行う戦いは、初手より魔法どころか人の領域を超えようとしていた。



「ラルフルゥウウ!!」
「ゼロラァアア!!」

 一度は衝撃で離れた二人だったが、再び駆け込み合って、今度はお互いの攻撃をぶつけ合う。


 ドガァアア! バギャァアア!


 ゼロラが纏う<灰色のオーラ>と、ラルフルが纏う<緑色のオーラ>。
 双方の力がぶつかり合うたび、大気を震わせ、轟音が鳴り響く。

「テヤァアアア!!」
「くっ!? 技の質か!? 俺を押しているだと!?」

 始まったラッシュ勝負は、意外にもラルフルの優勢となっていた。
 ゼロラの力も、速さも、技も――その全てを模範した上で、ラルフルは"スタイルの質"を更なるレベルへと昇華させていた。

 そうして行きついたラルフルのスタイル――<マーシャルアーツ>。
 ゼロラと同じく様々なスタイルを織り込み、あらゆる質を極限まで高めたそのスタイルは、一種の"武の境地"とも言えるものとなっていた。
 ゼロラも経験を重ねて力をつけていたが、ラルフルの成長はそれ以上――
 ラルフル自身でも気づかぬうちに、その力は人が編み出した技術の最高峰に位置していた。

「とんでもない成長だな! 最初に戦った時から感じてはいたが、完全に俺の想像以上だ!」

 ラルフルに押されてはいたが、それでもゼロラは嬉しかった。
 自らがその才能を感じていた少年は、自らの想像を上回る成長を見せてくれた。
 最初は手玉に取られるだけだった少年が、今はこうして自身を圧倒してくる。



 ――それに感動を覚えつつも、ゼロラとて負けるつもりはなかった。



「ウオォラァアア!!」
「うぐぅ!? ち、力が……強い……!?」

 技の質で上回るラルフルだったが、ゼロラとの間には圧倒的な体格差があった。
 ゼロラと比較すると圧倒的に小柄なラルフルでは、ゼロラの力には敵わなかった。

「くうぅ……ハァアアア!!」

 それでもラルフルは押し負けない。
 体格差を埋め合わせるように、今度は自らの体を回転させながら、その小柄な体格を活かした戦い方に切り替える。
 大柄な体格のゼロラの隙を突き、反撃へと打って出る。


 ドガァ! バギィ! ボゴォ!


 体格の大きさを活かすゼロラ。体格の小ささを活かすラルフル。
 総じて二人の力は拮抗状態。
 拳も、蹴りも、組技も―― 全ての攻撃が放たれると同時に広まる、オーラの輝き。
 大気を震わせ、時に大気そのものを弾き飛ばし、二人の決戦はかつてないほどにヒートアップしていた。



「互角……ですか。このままでは、埒があきませんね……!」

 ゼロラとの攻防を繰り返す中で、ラルフルは次の一手を考えていた。
 このまま拮抗状態を続けても、ただ勝負が長引くだけ。
 自らに勝気を呼び込むためにもさらなる技が必要と考え、一つの可能性を見出した。



 それは自身の体に刻み込まれた、ユメとの戦いで得た技術――
 記憶にはなかったその技術を、ラルフルは直感的に試みた――



「ハァアアア!!」


 ――バシュンッ!!


「なっ!? <鎌風>!?」

 ラルフルがゼロラから距離を置くように行った、後ろへと反り返りながら両手を地面についてのバク転。
 そのバク転の際に両足から放たれた<鎌風>。

 <緑色のオーラ>を"飛ぶ斬撃"へと変化させたその刃は、ゼロラへと猛威を振るった――
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