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星皇カンパニー編・結
ep212 残された時間をアタシに託して欲しい!
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「……成程ね。アタシが眠っている間、そんなとんでもない事態になってたってことか」
「ああ。世間は今も混乱してる。本当は隼にこんな責任を押し付けたくはないんだが、今のこの状況を打破できるのは、隼しかいないんだ……」
ラルカさんと牙島が立ち去った後、アタシは玉杉さんの店のホールでその場にいるみんなから話を聞いた。
タケゾーやショーちゃんだけでなく、アタシを保護するために場所を提供してくれた玉杉さんに洗居さん。さらにはアタシの窮地を聞いて、お義母さんまで駆けつけてくれた。
これだけの人々に迷惑をかけたのは申し訳なく思いつつも、同時に嬉しさが胸にこみ上げてくる。
本当にアタシは周囲の人々に恵まれたものだ。
「星皇社長がデザイアガルダやターニングベヒモスを従えて、その目的のためにここまで暴動を起こすとはね……」
「その星皇社長の目的も、亡くなった息子さんを蘇らせることだったのか……。なんだか、俺もやるせない気持ちになって来るけど――」
「それでも、アタシは星皇社長を止めてみせるよ。たとえその裏側にどんな想いがあったとしても、こんな暴動は許されるものじゃないからね」
アタシの方でも知る限りの情報を話し、みんなと情報共有を行う。
タケゾーも含めたみんなが、我が子のためでもこんな暴動は働く星皇社長に複雑な思いを抱きつつも、その行いを決して良しとは思っていない。
アタシだって同じ気持ちだ。できることなら今すぐにでも星皇社長の元へ向かい、その暴挙を食い止めたい。
「だけどよ、隼ちゃん。敵は俺達みてえな一般人視点で見ても、あまりに強大すぎねえか?」
「これまで空鳥さんが戦ってきた強敵二人だけでなく、それを動かすトップまで怪物となってしまった以上、本当に空鳥さんでも立ち向かえるのかどうか……」
ただ、問題は今のアタシに星皇社長率いるヴィランチームを倒せるだけの力があるかどうかということ。
玉杉さんと洗居さんにも言われるが、アタシ一人であの三人を相手にするのは骨が折れるなんてレベルじゃない。率直に言って無謀な話だ。
デバイスロッドも星皇社長にやられた時に失ってしまったし、アタシ自身の戦力も半減していると見ていい。
「ボクも隼さんと一緒に戦う。そうすれば、相手が誰でも負けない」
「わ、私にもできることがあるなら、遠慮なく言ってよね~。隼ちゃんや孫にだけ、責任なんて押し付けられないから~……」
ショーちゃんとお義母さんもアタシのためを思った言葉を口にし、協力を申し出てくれる。
ショーちゃんを加えても戦力的には厳しいけど、こうやって手を差し伸べてくれる気持ちだけで心が温かくなる。
これが勇気というものか。勇気を与えるヒーローが、逆に勇気をもらえるだなんてね。
――いや、そんなものはアタシ独自の価値観でしかない。
アタシにとってはこの場にいるみんなこそ、アタシを支えてくれるヒーローだ。
「……隼。おふくろも言ってたが、本当に俺達にできることがあるなら、何でも言ってくれ。お前ひとりにこの戦いを任せたりはしない」
「……本当にありがとう、タケゾー。それにみんな。だったら早速なんだけど、アタシのためにみんなの時間を使わせてもらってもいいかな?」
「何か策があるんだな? だったら、俺達は喜んでその言葉に従うさ」
そんな仲間達の厚意を、アタシも素直に受け入れよう。
もう一人で背負う必要もない。もう一人で戦っている場合じゃない。
この場にいるみんなの力があれば、同じようにアタシにこの状況を打開する可能性を与えてくれた二人の力も利用できる。
――今のアタシに必要なのは時間だ。
時間さえ用意できれば、アタシはラルカさんから返してもらったものを使い、星皇社長に立ち向かう準備ができる。
「今からアタシの工場に向かう。そこでアタシは星皇社長を止められる力をすぐにでも作り出す。その間、悪いんだけどアタシの面倒を見て欲しい」
■
「なあ、隼。みんなで工場に戻って来たのはいいが、ここで何をするつもりだ?」
「パンドラの箱の技術を使い、アタシ自身を今以上に強化する。幸い、箱も鍵もラルカさんから事前に返してもらえたからね」
「パ、パンドラの箱を使うのか!? それって、危なくないか!?」
「確かに危ない話ではある。だけど、今はアタシのことを信じて欲しい。パンドラの箱には星皇社長の野望だけでなく、アタシにとって大切な力も眠ってるからね」
工場に戻ったアタシがまずとりかかったのは、パンドラの箱を再度解析することだ。
これまではその技術の凄まじさに恐れを抱き、敵に狙われるが故に守ることを優先していた。
だが、これは本来アタシの両親が『万が一の対抗策』として用意したもの。パンドラの箱の技術でその野望を叶えようとする星皇社長を止めるには、同じくパンドラの箱の技術を使うしかない。
「『毒を以て毒を制す』……って感じに聞こえるが、本当に大丈夫なのか~?」
「そこはアタシも気を付けるさ。アタシはこれからしばらく開発に没頭するから、みんなには食事や状況報告をお願いしたいんだけど、頼めるかな?」
「今は私達も空鳥さんを信用しましょう。どうか入り用があれば、いくらでも私達を頼ってください」
星皇社長達が今も動いてる最中、アタシも悠長に時間をかけてはいられない。かといって、パンドラの箱を使う以外の選択肢も思いつかない。
みんながアタシを信じてくれたように、アタシもみんなを信じる。
アタシの頭の中に即席で出来上がった設計図をすぐさま実現に移すためにも、その間の世話はみんなにお願いしよう。
――アタシ一人だけじゃダメだ。
みんなの力がないと、アタシは開発に没頭できない。
「隼ちゃん~! 少しぐらいはご飯も食べてね~!」
「うん。ありがとね、お義母さん」
「隼さん、この部品、どこに置けばいい?」
「それはショーちゃんが今いるところに置いといて。頼んでた他の部品についてもお願いするよ」
「……隼。今日ばっかりは好きなだけ飲め。お前にとっては最大のエネルギー源だからな」
「タケゾーも気前がいいね。そいじゃ、この家の酒を空にする勢いで飲ませてもらうよ」
その後、みんなはアタシが願い出た通りに、食事や部材の用意をしてくれた。
アタシにとって最大の燃料であるお酒も、タケゾーは奮発して用意してくれる。これは家計に大負担だが、その先の未来を掴むためにも、アタシは一心不乱に自らの新たな力を作り続ける。
「隼ちゃん。酒の用意なら、いくらでも俺を頼ってくれ。ツケだなんだなんてせこいことは言わねえ。店からも持ってきてやったから、好きなだけ燃料にしちまいな~」
「おっ。玉杉さんも奮発してくれたもんだ。……それで、今外はどんな感じ?」
「私も少し調べてみましたが、相変わらずといったところでしょうか。ただSNS上では『警察が劣勢にある』というコメントもあり、あまり芳しくもないかと……」
「……だろうね。洗居さんもありがとう。アタシももう少しすれば、作ってるものが形になりそうだ」
開発に没頭しながらも外の状況を口頭で確認し、アタシもより一層手元に力が入る。
焦るわけにはいかないけど、時間がないのは変わらない。目覚めてからずっと動きっぱなしだけど、みんなだってアタシを支えてくれている。
――もう弱音なんて吐かない。
アタシは両親から託されたパンドラの箱という希望を使い、星皇社長に対抗できる力を完成へと近づけていく。
「……隼。俺はお前に何て言えばいいのか分からない。こうして協力はできても、最終的に戦うのはお前になるわけだしな」
「……ダメだよ、タケゾー。今この場で弱音なんて、三文の得にもなりゃしないって」
そうやって作業を進める中で、アタシの隣で手伝ってくれていたタケゾーがふと言葉を漏らした。
タケゾーの心境もなんとなく分かる。ずっと一緒にいた幼馴染で、今は結婚までした旦那様だ。
アタシに最後の役目を託すことに、どこか引け目を感じているのだろう。
「だけど、今こうして隼のために動けてるってことは、俺としてもどこか嬉しい。うまくは言えないんだけど『隼の力になれてる』って実感があるって言うか……」
「……ニシシ~。そんなのは昔からの話でしょ? アタシはタケゾーがいたから、こうしてここまでやって来れたんだ。……そういう惚気話は全部終わった後、一緒に酒でも飲みながらやりたいもんだねぇ」
「……フフッ、そうだな。よーし! 俺ももっと頑張るか!」
「おうとも! 後もうちょいだから、踏ん張っておくんなよ!」
それでも、タケゾーの言葉にも表情にも、確かな決心が感じ取れる。
ちょっと気恥ずかしい感じもするけれど、こうやって支え合ってお互いを受け入れ合う気持ちって、本当に大事だと思う。
――もしかすると、星皇社長にはそういう人がいなかったのが、今回の事態の元凶かもしれない。
それならば尚更、アタシは星皇社長を救いたい。
――星皇社長と両親の願いが詰まったパンドラの箱を使い、アタシは再びあの人と相対してみせる。
「ああ。世間は今も混乱してる。本当は隼にこんな責任を押し付けたくはないんだが、今のこの状況を打破できるのは、隼しかいないんだ……」
ラルカさんと牙島が立ち去った後、アタシは玉杉さんの店のホールでその場にいるみんなから話を聞いた。
タケゾーやショーちゃんだけでなく、アタシを保護するために場所を提供してくれた玉杉さんに洗居さん。さらにはアタシの窮地を聞いて、お義母さんまで駆けつけてくれた。
これだけの人々に迷惑をかけたのは申し訳なく思いつつも、同時に嬉しさが胸にこみ上げてくる。
本当にアタシは周囲の人々に恵まれたものだ。
「星皇社長がデザイアガルダやターニングベヒモスを従えて、その目的のためにここまで暴動を起こすとはね……」
「その星皇社長の目的も、亡くなった息子さんを蘇らせることだったのか……。なんだか、俺もやるせない気持ちになって来るけど――」
「それでも、アタシは星皇社長を止めてみせるよ。たとえその裏側にどんな想いがあったとしても、こんな暴動は許されるものじゃないからね」
アタシの方でも知る限りの情報を話し、みんなと情報共有を行う。
タケゾーも含めたみんなが、我が子のためでもこんな暴動は働く星皇社長に複雑な思いを抱きつつも、その行いを決して良しとは思っていない。
アタシだって同じ気持ちだ。できることなら今すぐにでも星皇社長の元へ向かい、その暴挙を食い止めたい。
「だけどよ、隼ちゃん。敵は俺達みてえな一般人視点で見ても、あまりに強大すぎねえか?」
「これまで空鳥さんが戦ってきた強敵二人だけでなく、それを動かすトップまで怪物となってしまった以上、本当に空鳥さんでも立ち向かえるのかどうか……」
ただ、問題は今のアタシに星皇社長率いるヴィランチームを倒せるだけの力があるかどうかということ。
玉杉さんと洗居さんにも言われるが、アタシ一人であの三人を相手にするのは骨が折れるなんてレベルじゃない。率直に言って無謀な話だ。
デバイスロッドも星皇社長にやられた時に失ってしまったし、アタシ自身の戦力も半減していると見ていい。
「ボクも隼さんと一緒に戦う。そうすれば、相手が誰でも負けない」
「わ、私にもできることがあるなら、遠慮なく言ってよね~。隼ちゃんや孫にだけ、責任なんて押し付けられないから~……」
ショーちゃんとお義母さんもアタシのためを思った言葉を口にし、協力を申し出てくれる。
ショーちゃんを加えても戦力的には厳しいけど、こうやって手を差し伸べてくれる気持ちだけで心が温かくなる。
これが勇気というものか。勇気を与えるヒーローが、逆に勇気をもらえるだなんてね。
――いや、そんなものはアタシ独自の価値観でしかない。
アタシにとってはこの場にいるみんなこそ、アタシを支えてくれるヒーローだ。
「……隼。おふくろも言ってたが、本当に俺達にできることがあるなら、何でも言ってくれ。お前ひとりにこの戦いを任せたりはしない」
「……本当にありがとう、タケゾー。それにみんな。だったら早速なんだけど、アタシのためにみんなの時間を使わせてもらってもいいかな?」
「何か策があるんだな? だったら、俺達は喜んでその言葉に従うさ」
そんな仲間達の厚意を、アタシも素直に受け入れよう。
もう一人で背負う必要もない。もう一人で戦っている場合じゃない。
この場にいるみんなの力があれば、同じようにアタシにこの状況を打開する可能性を与えてくれた二人の力も利用できる。
――今のアタシに必要なのは時間だ。
時間さえ用意できれば、アタシはラルカさんから返してもらったものを使い、星皇社長に立ち向かう準備ができる。
「今からアタシの工場に向かう。そこでアタシは星皇社長を止められる力をすぐにでも作り出す。その間、悪いんだけどアタシの面倒を見て欲しい」
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「なあ、隼。みんなで工場に戻って来たのはいいが、ここで何をするつもりだ?」
「パンドラの箱の技術を使い、アタシ自身を今以上に強化する。幸い、箱も鍵もラルカさんから事前に返してもらえたからね」
「パ、パンドラの箱を使うのか!? それって、危なくないか!?」
「確かに危ない話ではある。だけど、今はアタシのことを信じて欲しい。パンドラの箱には星皇社長の野望だけでなく、アタシにとって大切な力も眠ってるからね」
工場に戻ったアタシがまずとりかかったのは、パンドラの箱を再度解析することだ。
これまではその技術の凄まじさに恐れを抱き、敵に狙われるが故に守ることを優先していた。
だが、これは本来アタシの両親が『万が一の対抗策』として用意したもの。パンドラの箱の技術でその野望を叶えようとする星皇社長を止めるには、同じくパンドラの箱の技術を使うしかない。
「『毒を以て毒を制す』……って感じに聞こえるが、本当に大丈夫なのか~?」
「そこはアタシも気を付けるさ。アタシはこれからしばらく開発に没頭するから、みんなには食事や状況報告をお願いしたいんだけど、頼めるかな?」
「今は私達も空鳥さんを信用しましょう。どうか入り用があれば、いくらでも私達を頼ってください」
星皇社長達が今も動いてる最中、アタシも悠長に時間をかけてはいられない。かといって、パンドラの箱を使う以外の選択肢も思いつかない。
みんながアタシを信じてくれたように、アタシもみんなを信じる。
アタシの頭の中に即席で出来上がった設計図をすぐさま実現に移すためにも、その間の世話はみんなにお願いしよう。
――アタシ一人だけじゃダメだ。
みんなの力がないと、アタシは開発に没頭できない。
「隼ちゃん~! 少しぐらいはご飯も食べてね~!」
「うん。ありがとね、お義母さん」
「隼さん、この部品、どこに置けばいい?」
「それはショーちゃんが今いるところに置いといて。頼んでた他の部品についてもお願いするよ」
「……隼。今日ばっかりは好きなだけ飲め。お前にとっては最大のエネルギー源だからな」
「タケゾーも気前がいいね。そいじゃ、この家の酒を空にする勢いで飲ませてもらうよ」
その後、みんなはアタシが願い出た通りに、食事や部材の用意をしてくれた。
アタシにとって最大の燃料であるお酒も、タケゾーは奮発して用意してくれる。これは家計に大負担だが、その先の未来を掴むためにも、アタシは一心不乱に自らの新たな力を作り続ける。
「隼ちゃん。酒の用意なら、いくらでも俺を頼ってくれ。ツケだなんだなんてせこいことは言わねえ。店からも持ってきてやったから、好きなだけ燃料にしちまいな~」
「おっ。玉杉さんも奮発してくれたもんだ。……それで、今外はどんな感じ?」
「私も少し調べてみましたが、相変わらずといったところでしょうか。ただSNS上では『警察が劣勢にある』というコメントもあり、あまり芳しくもないかと……」
「……だろうね。洗居さんもありがとう。アタシももう少しすれば、作ってるものが形になりそうだ」
開発に没頭しながらも外の状況を口頭で確認し、アタシもより一層手元に力が入る。
焦るわけにはいかないけど、時間がないのは変わらない。目覚めてからずっと動きっぱなしだけど、みんなだってアタシを支えてくれている。
――もう弱音なんて吐かない。
アタシは両親から託されたパンドラの箱という希望を使い、星皇社長に対抗できる力を完成へと近づけていく。
「……隼。俺はお前に何て言えばいいのか分からない。こうして協力はできても、最終的に戦うのはお前になるわけだしな」
「……ダメだよ、タケゾー。今この場で弱音なんて、三文の得にもなりゃしないって」
そうやって作業を進める中で、アタシの隣で手伝ってくれていたタケゾーがふと言葉を漏らした。
タケゾーの心境もなんとなく分かる。ずっと一緒にいた幼馴染で、今は結婚までした旦那様だ。
アタシに最後の役目を託すことに、どこか引け目を感じているのだろう。
「だけど、今こうして隼のために動けてるってことは、俺としてもどこか嬉しい。うまくは言えないんだけど『隼の力になれてる』って実感があるって言うか……」
「……ニシシ~。そんなのは昔からの話でしょ? アタシはタケゾーがいたから、こうしてここまでやって来れたんだ。……そういう惚気話は全部終わった後、一緒に酒でも飲みながらやりたいもんだねぇ」
「……フフッ、そうだな。よーし! 俺ももっと頑張るか!」
「おうとも! 後もうちょいだから、踏ん張っておくんなよ!」
それでも、タケゾーの言葉にも表情にも、確かな決心が感じ取れる。
ちょっと気恥ずかしい感じもするけれど、こうやって支え合ってお互いを受け入れ合う気持ちって、本当に大事だと思う。
――もしかすると、星皇社長にはそういう人がいなかったのが、今回の事態の元凶かもしれない。
それならば尚更、アタシは星皇社長を救いたい。
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