空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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魔女と家族の新たな日常編

ep239 ヒーローの法案が作られた!?

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 なんとなく目についた大型モニターから流れてきたニュース。そして、新たに施行される『ヒーロー制定法』なる法律。
 よく分かんないけど、これってアタシも大いに関係してるのかな? 映像でもその辺りの説明を総理大臣が始めてくれる。

【ヒーロー制定法により、国にヒーローとして認められた人物にも逮捕権が付与されます。そのヒーローについては、国の厳正な機関で審査を行った上で選定いたします】
「はえ~……! なんだか、思い切った法案を作ったもんだ……!」

 総理大臣の説明を聞く限り、これはアタシにも関係がありそうな話だ。
 国がヒーローを認めて、そのヒーローに逮捕権まで与えられるなんて、結構思い切った法案を通したもんだ。

「ヒーロー制定法とは中々にぶっ飛んでるが、あの固厳こげん首相ならやりかねないか」
「あれ? タケゾーはあの総理大臣のことを知ってるの?」
「いや、知ってるも何も、普通に総理大臣ってだけで有名人だからな? まあそれ以外にも、角界出身だとかで話題にもなってたし」
「この人、元お相撲さんなの? 確かにいいガタイはしてるけど、中々異例な総理大臣なもんだ」

 法案もそうだけど、この話をしている総理大臣も思わず気になってしまう。
 現内閣総理大臣――固厳こげん ごう。アタシもなんとなくでしか知らなかったけど、タケゾーの話を聞く限り大した人物のよう。
 角界から政界入りして、今やその頂点である内閣総理大臣。それだけでも大した経歴だ。
 ヒーロー制定法以前にも革新的な法案を打ち出し、まさに剛腕とも言うべきその手腕は歴代の総理大臣からも異端と見られているが、同時に一定の成果もあげているためか支持率は上々とのこと。

 ――てか、アタシも政治については少しぐらい勉強しておいた方がいいかもね。
 こうやって唐突に自分が関わりそうな法案も出てくるわけだし、無知はいけないよね。

【固厳首相。そのヒーロー制定法に関する審査機関ですが、選定基準はいかようにお考えで?】
【この法案もまだ試験運用段階であり、今後の動向次第で基準を明確化する予定です。ただ、その試作モデル的なヒーローについては、政府でもすでに選定しております】

 本当はちょっと目についただけのニュースだったけど、思わずアタシ達も足を止めて見入ってしまう。
 これはどうしても気になっちゃうよね。だって、アタシも一応は世間様からヒーローと呼ばれてるわけだしさ。
 映像内では固厳首相が取材陣からの質問に答え、さらなる展開について語っているが――



【こちらの三名が、現段階で政府が認定したヒーローになります。すでに現段階で試験的な出動は行っており、彼らのような人材が増えることが、この国の未来を形作ることでしょう】

「……え!? あ、あの三人ってまさか……!?」



 ――その最中、政府がすでに公認しているヒーローが三人、映像へと映し出された。
 仮面で顔を隠した、まるでファンタジーRPGの勇者御一行のようなルックス。勇者男に戦士男に僧侶女。
 間違いない。あの三人こそがついさっきまでアタシ達も話題に出していた、謎のニューヒーロー三人組だ。

【固厳首相。彼らの見た目も気になりますが、実力についてもいかがなものでしょうか?】
【そこについては保証します。少なくとも、一般的な人間よりは遥かに優秀でしょう】
【そんな人材を作り出す技術についても、すでに確立しているということで?】
【詳細はまだ説明できませんが、そこについても星皇カンパニーと技術提携を行い、能力開発の分野を開拓中です。そこもまた、近い将来的に公開できるでしょう】

「せ、星皇カンパニーまで関与してるの……!?」

 そんな三人組のヒーローについても、固厳首相と報道陣の話から少しだけ正体が見えてくる。
 星皇社長がいなくなったとはいえ、星皇カンパニーにはこれまであの人が作り上げた技術が保管されている。
 その中にはジェットアーマーやプレジデントスパイダに使った技術もあるだろうし、超人を作り出すことも夢物語なんかじゃない。

 ――星皇社長が残した力が新たなヒーローのために使われるのなら嬉しいけど、アタシとしてはこの三人組がすでにどう動いていたかを知ってるから微妙な気持ちだ。
 政府としてはさらに開拓を進めていくつもりらしいけど、危うさも見え隠れしてしまう。

【もう一つよろしいでしょうか? 固厳首相はこのヒーロー制定法の先に、どのような未来予想図を描いておいででしょうか?】
【大凍亜連合という巨大な反社組織が崩壊したことは皆様もご存じの通りでしょうが、そのバックには空色の魔女というヒーローの姿がありました。そんな彼女のように夢と希望のある存在を、未来ある若者に託したいのです。いずれは段階を踏み、一般人でもヒーローになれる社会を目指しています】

 ただ、固厳首相の考え自体は立派だと思う。アタシだって、人々の日常とその先の未来を守るためにヒーローをしてるようなものだ。
 もしもそのヒーローになることが夢となるならば、それは大いに結構な話だ。アタシの負担だって減るし。

「……でも、やっぱりなーんか引っかかる感じだよねぇ。本当にこんなヒーローのバーゲンセールなんかして、うまくいくもんなのかな?」
「隼にしたって、ヒーローになったのは偶然の巡り合わせみたいなものだからな。俺も心意気は買うが、話に聞いてた乱暴っぷりも考えるとな……」
「でも、あの三人は政府公認のヒーローになったってこと。それだと、隼さんの立場はどうなるの?」

 そんな期待の裏でアタシが抱く不安について、タケゾーやショーちゃんも同じように考えてくれている。
 アタシから見れば、ヒーロー制定法のために誕生したあの三人の存在は、ちょっとした悩みのタネだ。
 『行き過ぎた正義』とでも言うのだろうか。ともかく、いい予感はしない。むしろ悪寒まで走っちゃう。

 ヒーロー制定法についても、アタシの立場はどうなるのだろうか?
 これまでは警察ともグレーゾーンな関係を続けていたけど、それもこうやって法案として制定されてしまえばできなくなる。
 この法案はいわば『ヒーローの免許制度』という特性もあるように見える。そうなれば、アタシはモグリのヒーローってことだ。



 ――アタシはこれから、これまで通りのヒーローでいられるのかな?
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