空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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もう一つの故郷編

ep400 助けてくれたの!? 将軍艦隊右舷将!

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「そのまま静かにこちらへついてきてください。あの者達もこの抜け道のことは知りません」
「あ、ありがとう。まさか、ラルカさんに助けてもらえるとはね……」
「あなたもご自身の身分はすでにクジャク様からお聞きなのでしょう? 自分も将軍艦隊ジェネラルフリート五艦将として、あの場面を見過ごすことはできません。もっとも、勝手に出歩く真似を控えていただければ一番だったのですが」
「それはその……ごめん」

 アタシが天鐘の護衛二人に捕まろう矢先、抜け道を使って助け出してくれたのはラルカさんだった。
 偶然あの場に居合わせたのか、うまくバレないようにアタシを先導してくれる。
 かなり慣れた動きで抜け道を使ってるし、この辺りはラルカさんの完全ホームということか。もしかすると、この辺りに住んでるのかな?

「一報入れてくだされば、自分も護衛などの人員を用意してミス空鳥の外出を許可しましたよ?」
「いやまあ、アタシとしては将軍艦隊ジェネラルフリートとかの目がない状態で、もっとウォリアールのことを見てみたかったんだよね。勝手なことをしたのは悪かったと思うけど、どうしても……ね」
「……あなたが思い悩んでいることは、自分も承知しております。そう考えるのも仕方ないのかもしれませんね。とりあえず、この先に休める場所もありますので、まずはそこで一息入れましょうか」

 今回の件でラルカさんには苦言を呈されるも、アタシの身を案じて先のことまで考えてくれる。
 なんだか不思議な気分だ。この人のことは嫌いじゃないけど、ずっと敵同士の関係が続いてたのよね。
 それなのにこうして今回はアタシを助けてくれるあたり、それだけアタシの存在が特別ってことでもあるのだろう。
 とはいえ、こういう関係も悪くはない。アタシだって敵は増やしたくないし、仲良くできるならそうしたい。



「……着きましたか。ここならばミスター天鐘が押し入ることもありません」
「ここって……孤児院?」



 そんなこんなとしているうちに連れてこられたのは、かなり静かで奥まった場所にある孤児院。ウォリアールでは珍しいちょっとした林があり、古びた建造物は歴史を感じさせる。
 ウォリアールのファンタジー的な建築様式ともマッチしてるんだけど、これまでアタシが見てきた街並みとは違う印象を受ける。
 なんだか手入れが行き届いてないって感じなのよね。さっきの電光掲示板みたいにハイテクな設備も見当たらないし、ここだけ忘れられた空間のようにも思えてしまう。

「院長先生、ご無沙汰しております。少々お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「……あら? まあまあ! ラルカさんじゃないの!? 遠慮なんかしないで上がって頂戴!」

 そんな古びた孤児院の中にも、ラルカさんはどこか慣れた様子で入っていく。出迎えてくれた院長先生らしき年配の女性にも軽く頭を下げると、相手もラルカさんのことを笑顔で出迎えている。
 見た感じ、知り合い同士の会話っぽい。ここまで慣れた様子でやって来たラルカさんだけど、どういう関係なんだろう?

「ねえねえ、ラルカさん。この孤児院ってどういう場所なの?」
「自分が育った故郷です。ここには身寄りのない戦災孤児が引き取られ、ウォリアール国民として生活しています」
「えっ!? てことは、ラルカさんも元々は戦災孤児だったってこと!?」
「昔の話です。将軍艦隊ジェネラルフリート右舷将に就任してから、あまり立ち寄る機会もありませんでしたけどね」

 気になって尋ねてみると、どうやらラルカさんはここで育てられたようだ。
 そういやアタシ、この人の過去とか何も知らなかったや。最初に会った時は星皇社長の優秀な秘書で、慣れない異国でも頑張ってる人なんだと思ってるだけだった。
 でも、その裏には辛い生まれ育ちと苦労があったわけか。失礼かもしれないけど同情しちゃう。

「別に同情の必要はありません。自分はなるべくして今の立場に収まっただけです。……それよりも院長先生。彼女のことをしばらくの間、こちらで匿いたいのですが、よろしいでしょうか?」
「それは構いませんよ。ラルカさんも久しぶりに帰ってきたんだし、ちょっとはくつろいでいったらどうかしら?」
「では、少し失礼いたします。自分も少々武器の整備などもしたいので」

 なんだかアタシの心を見透かしながらも、ラルカさんは院長先生と話を取り次ぎ、しばらくアタシが身を隠せるように話をつけてくれる。
 アタシが王族の血を引いていることは語らず、院長先生も余計なことは尋ねようとしてこない。
 さっきまで天鐘とそういう話をしていただけに、こうやってくつろげるのはありがたい。アタシって、ああいう陰湿な陰謀みたいなのは苦手でね。
 ラルカさんの方も近くにあった椅子に腰かけ、コートの中から取り出した拳銃の整備を始めている。

 ――それはそれで物騒で苦手なんだけどね。
 でもまあ、ここはラルカさんにとって故郷なわけだ。院長先生も特に口出しせずに席を外してるし、アタシも部外者としてこの場に合わせるとしよう。

「それにしても、自分があの場に居合わせたのは幸いでした。ミスター天鐘も勝手な真似をしてくれます」
「あっ、今回ラルカさんがいたのは偶然なんだ。確かにアタシもあんな超人護衛を二人も相手にするとなると骨が折れるからね。本当にありがとう。……てかさ、ウォリアールにはあの護衛達みたいな超人が他にもいるわけ?」
「あの二人は特別です。実力もさることながら経歴もあるので、ミスター天鐘の護衛を務めております。厄介な人達ですので、ミス空鳥もご注意ください」
「実力はともかく、経歴ってのは……何が?」

 こっちもラルカさんの正面に椅子を持ってきて腰かける。丁度いい機会だし、ラルカさんとも少しお喋りしてみよう。
 拳銃の整備をしながらラルカさんが語るのは、さっきアタシを追いかけまわしてきた天鐘とその護衛の話。流石にウォリアール国民全員が同じような超人ってわけではなく、追って来た二人が特別なんだとか。
 でもそうなってくると、あの二人も将軍艦隊ジェネラルフリートの人間だとか? でも将軍艦隊ジェネラルフリート内部にしたって、超人クラスの能力を持ってるのなんて五艦将に限られてるよね? ラルカさんにいたっては肉体に関しては普通の人間のままだし。
 何かそういう力を手にれられる特別な経歴があるらしいけど、それって一体何だろうか?



「あの白人と黒人のコンビですが、将軍艦隊ジェネラルフリートの初代右舷将と初代左舷将になります。自分とミスター牙島の先代になりますね」
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