BLゲームの脇役に転生したはずなのに

れい

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慌ただしい朝

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翌朝。
いつもなら「起きろ」とラスが声をかけてくれるはずなのに――今日は静かだった。

(ん……あと五分……)
布団に顔を埋めていた俺は、ふと時計を見て飛び起きた。

「……うわっ! 遅刻するやん!!」

一気に眠気が吹き飛ぶ。隣のベッドはすでに空っぽだった。

(あれ、ラス……? なんで起こしてくれへんかったんやろ。……もしかして、シリウスに早よ会いたかったんか?)
そんな想像が頭をよぎるが、考えている余裕はなかった。

顔もろくに洗わず、シャツを羽織ってネクタイを結ぶ……つもりが、うまく結べない。焦ってカバンをつかみ、寮の廊下を駆け抜けた。



教室の扉を開けた瞬間、チャイムが鳴り響く。
ギリギリ、間に合った。

「はぁ、はぁ……っ」

走ってきたせいで頬は赤く、息は荒い。
胸元のボタンは外れたまま、シャツの裾も片方だけ乱れている。
慌ただしく髪をかき上げた仕草で、教室の空気が一瞬止まった。

シリウスがわずかに目を見開く。
ラスは既に席に座っていて、唇を噛んだあと静かに目を伏せた。
スコーピオは窓際に寄りかかりながら、ちらりと見てすぐに顔を背けた――けれど耳の先が赤い。
そして教壇のジェミニ先生。手にしたチョークがわずかに止まり、咳払いで取り繕う。

「アリエス……っ、遅刻寸前だぞ!」

叱責の声も、どこか上ずっている。
俺は慌てて「す、すんません……!」と頭を下げ、席に飛び込んだ。

(……あれ? なんや、この空気)

顔を上げれば、まだ数人の視線がこちらに残っている。
何も考えずに走ってきただけやのに、やけに注目を浴びてしまったらしい。



それからの授業。
ページをめくる音やペンの走る音の隙間から、何度も視線を感じた。

ラスは無言のままノートを取り続け、表情は硬い。だけど、ペン先がわずかに揺れるたび、隣からの視線を意識しているのが伝わる。
スコーピオは机に肘をつき、横目でじっとこちらを追っていた。その眼差しは鋭いのに、どこか揺らぎがあった。
ジェミニ先生でさえ、黒板に字を書きながら時折こちらを見やり、すぐに目を逸らす。

(……主人公が来て、まだ二日目やぞ。なのに皆んなもうシリウスが気になってるとか、展開早すぎひん?)

かくいうシリウスは、俺の隣でちらちら視線を送っては、すぐに逸らしていた。
理由なんて考えもせず、俺は「脇役の役目、順調やな」と内心ガッツポーズしながらノートを取り続けた。
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