BLゲームの脇役に転生したはずなのに

れい

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現実逃避

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夜が明けても、胸の奥に残る熱は消えなかった。
布団に潜り込み、天井を睨みながら必死に言い聞かせる。

(……なかった。昨日のはなかった。絶対バグや。俺は脇役。脇役やってば!)

花火の下で、キャンサーに突然キスされて。
「本当に好きなのはアリエスさんです」なんて真顔で言われて。
ラスとスコーピオとシリウスまで、「俺もだ」って宣戦布告してきて。

……あんなの、主人公のイベントやん。
俺が経験していいもんじゃない。

「夢や。昨日は疲れてたから変な夢見ただけや」
布団に潜り込み、必死に現実を否定する。



だが、ふと思い出してしまう。

花火の下、シリウスとキャンサーが向かい合っていた姿。
言葉までは聞こえなかった。けれど、真剣な眼差しと、迷いのない横顔だけは焼き付いて離れない。

(……いやいや、ないない。俺なんかに、そんな……!)

枕を抱え込んで丸まりながら、頬がじんじん熱くなる。
「あのとき、シリウスは誰を見ていたんやろ」――そう考えるだけで、胸の奥がざわついた。

「……っ、だから違うって! これは、ただのバグなんや!」

否定すればするほど、頬の赤みは深まっていく。



夏休みの日々は、そんな現実逃避の繰り返しだった。

ラスに「昨日のキャンサー、男らしかったな。抜け駆けは許さないけど」と茶化されれば、
(いや、冗談やろ! ノリや! 本気じゃない!)と心の中で絶叫し、

スコーピオに「不用心すぎんだよ」と睨まれれば、
(友情や! 友情イベントや! 恋愛要素ゼロ!)と変換して逃げる。

キャンサーに「また課題、一緒にやりましょう」と誘われても、
(ただの真面目キャラや! 補習フラグや!)と自分を納得させる。

そしてシリウスに肩を支えられ、静かな声で「大丈夫か?」と囁かれた瞬間――

「……っ!」
顔が一気に熱くなり、視線を逸らす。

(ちがう! これもバグや! 俺がドキドキしてどうすんねん!)



気づけば、夏休みは終盤に差しかかっていた。
蝉の声はより一層騒がしく、夕暮れの風すら湿り気を含んでいる。

(……俺は脇役や。中心に立つなんて似合わん。萌えもない)

何度もそう繰り返す。
それでも、花火の下で見たシリウスの真っ直ぐな瞳だけは――
どうしても、胸の奥から消えてくれなかった。



(頼むから……バグであってくれ)

現実逃避を抱えたまま、俺は夏の終わりへと足を進めていた。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

ふわりんしず。

初めまして。
昨日から読まさせて頂いて、更新分まで追いつく事ができました!!!引き込まれる内容で、読みやすく…控えめに言って

すっっっごく好きです!!!!

これからも1ファンとして応援しております

解除

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