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夏祭りの夜 後編
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夜空に花火が弾け、境内を赤と金に染める。
屋台の影で身を潜めながらシリウスの胸元で淡く光ったペンダントを凝視する。
【キャンサー・ユラーク 51% → 70%】
(うおっ!? 一気に跳ね上がってる! ……ってことは、萌え確定、キャンサーの告白成功やな!)
胸を撫で下ろし、俺は再びそっと二人の様子を覗き込む。
だが肝心の会話までは聞き取れない。
⸻
「……シリウス君。僕は、あなたが好きです」
吐き出すように、それでいて祈るように紡がれた言葉。
その声には、抑えてきた年月の重みが滲んでいた。
短い沈黙。
シリウスはゆっくりと息を吸い込み、真っ直ぐ答える。
「……ごめん。僕はその気持ちには応えられない」
「なぜ……ですか」
キャンサーの声は震えていた。
「僕は本気なんです。ずっと孤独だった僕に、あなたは光をくれた。だから……どうして」
シリウスの瞳が揺らぐことはなかった。
「好きな人がいるから」
「……誰なんです」
キャンサーは一歩詰め寄る。
「あなたはいつも誰かを見ている。僕じゃないのは分かってる。けれど、それでも僕は——」
シリウスは淡い笑みを浮かべ、しかし首を横に振った。
「……本当に、僕だったのかな」
「……え?」
「確かに声をかけたことはある。けど——君を一番支えてきたのは誰だ?
困ってる時に自然と隣にいて、孤立しそうな時に手を差し伸べてくれたのは。
……僕じゃなかったはずだ」
花火が夜空を裂き、キャンサーの横顔を赤く照らす。
言い返そうとしても、浮かぶ記憶はひとつだけ。
救ってくれた笑顔。受け入れてくれた温もり。
シリウスは静かに続ける。
「誤魔化す必要はない。君が誰に惹かれているのか、自分が一番分かってるはずだ。
——ただ、僕も退くつもりはない。負ける気もない」
キャンサーは強く唇を噛み、やがて小さく呟いた。
「……そう、ですね」
その背を踵で返し、人混みへと消えていった。
⸻
屋台の影でそれを見ていた俺は、胸を高鳴らせていた。
二人がなんだかスッキリした様子でお互いを見ていたからだ。
(あのお互いを見る熱い眼差し……やっぱり告白は成功したんや! 好感度も爆上がりやったし!)
だがその数秒後、キャンサーはまっすぐこちらへ向かってきた。
眼鏡の奥の瞳は、先ほどまでの迷いを完全に捨て去っている。
「……アリエスさん」
呼吸を整える間もなく、手首を掴まれた。
そして——唇を重ねられる。
「……っ!?」
世界が一瞬で止まった。
提灯の灯りも、祭囃子も、夜風の涼しさも、すべて遠のいていく。
残ったのは頬を灼く熱と、暴れる心臓だけ。
ラスが「お、おい!?」と叫び、
スコーピオが「はぁ!? てめぇ何してんだ!」と睨み、
シリウスはただ、揺るがぬ瞳で俺とキャンサーを見ていた。
やがて唇を離したキャンサーは、真っ直ぐに告げる。
「……僕が本当に好きなのは、あなたです」
花火が散り、火花の雨が降る。
その宣言は鮮烈で、胸の奥を焼き尽くすようだった。
ペンダントが光を弾き、数字が跳ねる。
【キャンサー・ユラーク 70% → 82%】
(な、なんで!? シリウスへの告白やなかったんか!?)
信じられない事実に足が震える。
⸻
キャンサーは俺の手を強く握ったまま、周囲を見渡す。
ラス、スコーピオ、シリウス——三人の視線を正面から受け止め、力強く宣言する。
「僕はアリエスさんを本気で好きになりました。——だから遠慮しません。正々堂々、勝負します」
場の空気が一気に張り詰めた。
ラスは頭をかき、苦笑混じりに言う。
「……マジかよ」
思わず心の中で叫ぶ。
(そうだよな!? マジでなんなんだこの状況……!行け、ラス!いつもの調子で流してくれ!)
けれどラスの口から出たのは、いつもよりずっと真剣な声だった。
「けど、俺だって負ける気はねぇ。長年ルームメイトやってんだ。あいつのことなら、俺が一番知ってる」
(……な、なんだと!?)
スコーピオは顔を背け、低く吐き捨てる。
「……チッ。面倒くせぇ。でもな、あいつが笑う顔を他に向けさせるとか虫唾が走るんだよ。……だから容赦しねぇ。潰してでも手に入れる」
(え!?)
シリウスは目を伏せてから、静かに顔を上げた。
「……僕も同じだ。誰がいようと、僕の気持ちは揺らがない。だから正面から挑む。最後に隣にいるのは、必ず僕だ」
⸻
(な、なんで全員!? 俺は脇役のはずやろ!?)
頭の中で必死に叫ぶ。
けれど数字も、彼らの視線も、揺るがなかった。
(これってもしかして、、
俺がヒロインポジションにいるのか!?)
屋台の影で身を潜めながらシリウスの胸元で淡く光ったペンダントを凝視する。
【キャンサー・ユラーク 51% → 70%】
(うおっ!? 一気に跳ね上がってる! ……ってことは、萌え確定、キャンサーの告白成功やな!)
胸を撫で下ろし、俺は再びそっと二人の様子を覗き込む。
だが肝心の会話までは聞き取れない。
⸻
「……シリウス君。僕は、あなたが好きです」
吐き出すように、それでいて祈るように紡がれた言葉。
その声には、抑えてきた年月の重みが滲んでいた。
短い沈黙。
シリウスはゆっくりと息を吸い込み、真っ直ぐ答える。
「……ごめん。僕はその気持ちには応えられない」
「なぜ……ですか」
キャンサーの声は震えていた。
「僕は本気なんです。ずっと孤独だった僕に、あなたは光をくれた。だから……どうして」
シリウスの瞳が揺らぐことはなかった。
「好きな人がいるから」
「……誰なんです」
キャンサーは一歩詰め寄る。
「あなたはいつも誰かを見ている。僕じゃないのは分かってる。けれど、それでも僕は——」
シリウスは淡い笑みを浮かべ、しかし首を横に振った。
「……本当に、僕だったのかな」
「……え?」
「確かに声をかけたことはある。けど——君を一番支えてきたのは誰だ?
困ってる時に自然と隣にいて、孤立しそうな時に手を差し伸べてくれたのは。
……僕じゃなかったはずだ」
花火が夜空を裂き、キャンサーの横顔を赤く照らす。
言い返そうとしても、浮かぶ記憶はひとつだけ。
救ってくれた笑顔。受け入れてくれた温もり。
シリウスは静かに続ける。
「誤魔化す必要はない。君が誰に惹かれているのか、自分が一番分かってるはずだ。
——ただ、僕も退くつもりはない。負ける気もない」
キャンサーは強く唇を噛み、やがて小さく呟いた。
「……そう、ですね」
その背を踵で返し、人混みへと消えていった。
⸻
屋台の影でそれを見ていた俺は、胸を高鳴らせていた。
二人がなんだかスッキリした様子でお互いを見ていたからだ。
(あのお互いを見る熱い眼差し……やっぱり告白は成功したんや! 好感度も爆上がりやったし!)
だがその数秒後、キャンサーはまっすぐこちらへ向かってきた。
眼鏡の奥の瞳は、先ほどまでの迷いを完全に捨て去っている。
「……アリエスさん」
呼吸を整える間もなく、手首を掴まれた。
そして——唇を重ねられる。
「……っ!?」
世界が一瞬で止まった。
提灯の灯りも、祭囃子も、夜風の涼しさも、すべて遠のいていく。
残ったのは頬を灼く熱と、暴れる心臓だけ。
ラスが「お、おい!?」と叫び、
スコーピオが「はぁ!? てめぇ何してんだ!」と睨み、
シリウスはただ、揺るがぬ瞳で俺とキャンサーを見ていた。
やがて唇を離したキャンサーは、真っ直ぐに告げる。
「……僕が本当に好きなのは、あなたです」
花火が散り、火花の雨が降る。
その宣言は鮮烈で、胸の奥を焼き尽くすようだった。
ペンダントが光を弾き、数字が跳ねる。
【キャンサー・ユラーク 70% → 82%】
(な、なんで!? シリウスへの告白やなかったんか!?)
信じられない事実に足が震える。
⸻
キャンサーは俺の手を強く握ったまま、周囲を見渡す。
ラス、スコーピオ、シリウス——三人の視線を正面から受け止め、力強く宣言する。
「僕はアリエスさんを本気で好きになりました。——だから遠慮しません。正々堂々、勝負します」
場の空気が一気に張り詰めた。
ラスは頭をかき、苦笑混じりに言う。
「……マジかよ」
思わず心の中で叫ぶ。
(そうだよな!? マジでなんなんだこの状況……!行け、ラス!いつもの調子で流してくれ!)
けれどラスの口から出たのは、いつもよりずっと真剣な声だった。
「けど、俺だって負ける気はねぇ。長年ルームメイトやってんだ。あいつのことなら、俺が一番知ってる」
(……な、なんだと!?)
スコーピオは顔を背け、低く吐き捨てる。
「……チッ。面倒くせぇ。でもな、あいつが笑う顔を他に向けさせるとか虫唾が走るんだよ。……だから容赦しねぇ。潰してでも手に入れる」
(え!?)
シリウスは目を伏せてから、静かに顔を上げた。
「……僕も同じだ。誰がいようと、僕の気持ちは揺らがない。だから正面から挑む。最後に隣にいるのは、必ず僕だ」
⸻
(な、なんで全員!? 俺は脇役のはずやろ!?)
頭の中で必死に叫ぶ。
けれど数字も、彼らの視線も、揺るがなかった。
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俺がヒロインポジションにいるのか!?)
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