【R-18】満足に人生を終える方法

オレオレオ

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稲葉 七海③

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起きた瞬間、身体に異物が入っている感覚と腰の痛みと、多大な疲労感が一気に襲いかかってきた。

「おにい・・・」
あてなく振り回した手が人の皮膚に触れ、寝ぼけた頭はそれを兄の身体だと判断した。

またそのままで寝ちゃったんだ・・・。

お兄ちゃんが研修とかで家を数日空けて帰ってきた日はそれはそれは正気染みたくらいに激しく交わる。
そのせいで、そのままお兄ちゃんの上で寝てしまうことが度々あった。
今回もその類だろうと思った。
寝ぼけた目の焦点が合ってきて、寝ていた場所が風呂場であることに気づいた。こんな所で盛って、そのまま寝てしまったのかと錯覚し、羞恥心が顔を赤くした。

しかし、何かおかしい。
自宅の風呂場とは微妙に違う、色味が、大きさが、置かれている物が、違和感が頭に覆い被さる。
あっ・・・。
記憶が整理されて過去が逆流してくる。忌々しい現実を思い出し、血の気が引いていった。
今いる場所は自宅ではない、私は犯されたのだ。


とにかくここを出ないと。
頭はまずそれを考えた。身体が勝手に腰をあげるとズボッと膣からソレが抜けた。知らない人の白濁液が私から垂れている。
私の膣から精子が流れ出る光景なんてなんて今まで何度も見てきたのに、それが知らない男のものというだけで吐き気を催してしまう。
「うっ・・・」
食道を逆流してくる吐き気をなんとか耐えて、震える足を立たせる。
身体を動かしたせいで湯船に残った少ない水がチャポンと異様に大きな音を立てる。

ギクリとして思わず見ず知らずの男の方を見てしまう。
見ず知らずの男は目を覚まさない。男の寝顔は憔悴していて、苦しそうな表情で寝ていた。
何故こいつが苦しんでいるのか、と思いながらも私はその男を起こさないように静かに湯船を出る。その間男はピクリとも動かなかった。

風呂のドアを開けると、脱衣所には私の服はおろか男の服もなかった。それどころかバスタオルすらない、洗面台にも何も置かれてない。
なんとも生活感がない。

しかたなく全裸のまま脱衣所を出ると既視感のある畳の部屋に出た。
淫らにシワができたシーツは様々な体液で汚れ、布団の周りには衣類が散らかっている。遠くの方にはくるまった私のショーツがあった。
ショーツのところまで行き、手に取る。いまだに中心部には染みができているそのショーツは私を無性に腹立たせた。

私が初めて自分で買ったショーツだった。今までのキャラクターが貼り付けてあるような子供向けのパンツではなくて、大人が履くような、オシャレな刺繍が施されている白のショーツ。
ネット注文ながら、買った時にドキドキしたことを今でも思い出せる。
それを履いた姿を初めて晒した時のお兄ちゃんの驚いた表情、お兄ちゃんが丁寧にそのショーツを脱がす姿はいまだに覚えている。

お兄ちゃん・・・。
汚れたショーツを握りしめ、兄を思う。

とにかく、ここを出なければ。
怒りと失望が頭を蔓延しながらも、お兄ちゃんのことを考えたらそれを堪えることができた。
とにかくここをでなければいけない、そして兄の元へと帰るのだ。
私は湧き出てきた希望を携え、部屋をグルっと見回した。ここを出るための出口へいくために。
その時、ようやく奇妙なことに気づいた。
脱衣所への扉はある。しかし・・・。
それ以外の扉が見つからない。それどころか窓すらない。


「・・・・・・」
私は呆然とその場で立ち尽くした。
溢れ出てくる気持ち悪さを抑えながら、必死に自分の記憶をまさぐる。
どうやってここに来たのだろう…。
目を覚ました時には既にここにいた。
どうやってここに入ったのか…知らない。

男がいつ起きてくるか分からないという恐怖が私を雑に動かす。
壁を手当たり次第に触る。どこかに突起はないか、外の音が聞こえたりしないか。そんなファンタジーな可能性にかけて必死で探っていく。
音を立てないように、でもなるべく速く壁を触っていく、何もない、何もない。
壁を触り終えてしまう。何もなかった。
焦燥感に急かされ、とにかく辺りを見渡す。無造作に置かれた男の服が目に止まった。あの男の物になんて触りたくなかったが、私は飛びついて漁る。
それが男のものというだけで。胸に気持ち悪い空気が入り乱れているような錯覚に陥った。
それでも私はジーパンの、ポロシャツのポケットに手に入れ探る。

チャリン
ポロシャツの胸ポケットに手を入れたとき、確かな金属音がした。
掴み、外に出す。現れたのはキーホルダー。
新しい手がかりに私は一瞬テンションが上がった。顔がほころぶのを感じた。
しかし、肝心の扉が見つかってない。

微かに芽生えた希望を胸に再び捜索を開始する。
脱衣所に戻ったり、風呂場に戻ったりもした。動かない男を見ただけで吐き気を催したが我慢して、見落としがなかった隈なくチェックした。



…見つからない、何も。
ここは紛れも無い密室空間だ。
一切外界との接点がない。本当にここは実在している場所なのだろうか、そんなことすら考えてしまう。
あるいは、ここは地獄なのかもしれない。親近相姦に溺れた罪を罰せられているのかもしれない。

身体が勝手にペタリと座り込んでしまう。
お尻に直にフローリングの感触が伝わり、自分がまだ裸のままでいたことに思い当たる。
フラフラと立ち上がり、クシャクシャになった自分の服を拾い上げる。
ショーツはまだ水気を持っていて気持ち悪かったので履くのを断念して、1つずつノロノロと服を身につけていく。
ダラダラと服を着終えた。でも服を着ただけで少し精神が落ち着いた。
ふと布団に目が向いた。
私が犯されたことを証明するように汚れている布団。
何も考えず、ふと思い起こした行動だった。そこに何かを見出したわけではない思いつきの行動。
私は布団をめくった。

地続きのフローリング…、銀色の四角い枠。


驚きのあまり、ひゃっと声を上げそうになる口を両手で抑えた。
見つけた。アドレナリンがドクドクと急速に体中を回っているのを感じる。
ドキドキしながら銀色の枠に付いていた把っ手を掴んだ。扉は重く、全力を必要としたがそれでも持ち上がった。
興奮で身体中が震える。扉の先には下ろし梯子がぶら下がっていて、土の地面が下に見えた。虫の音が聞こえてきた。


…外に出れる。

興奮と感動と嬉しさと、色んな感情がポジティブに全身を包ん「ねぇ」


「ねぇ」
その一言が体を凍らせた。
その短い一声が私の全ての行動と思考を止め、絶望をもたらした。

「何してるの」
二の腕を掴まれた。身体はまるで抵抗できない。その男に支配された様に体が全く動かない。
「外に出てどうするの?」
二の腕を引かれて男の胸に抱かれる。私の耳に囁かれる。
私はガタガタと震える自分の身体がコントロールできない。男に抱かれて、そのままでいる。
「逃げたって君とお兄さんの爛れた秘密がバレるだけなんだよ。君は私の言うことを聞いて私を満足させるしかないんだよ」
男はそう囁いて私の首にそっと口付けた。
ありったけの抵抗の様ん私の目からスッーと一筋の涙が流れた。
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