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永田結衣の部活
しおりを挟むトラック内外で三々五々と散らばって各々が思い思いにウォーミングアップをしている陸上部はまとまりがないようで、ユニフォームの色が統一されていて、不思議な一体感を出していた。
その中でも孤高に静かに集中してメニューをこなしていく結衣の姿は陸上という個人競技を体現しているように見えた。
綺麗にすらりと伸びた背筋は教室で見る姿勢と変わらず、その後ろ姿だけでもそのストレッチしている人物が結衣であることが判別できた。
日直の日から、結衣との関係性に主だった変化はない。結衣とはいつもの様に接し、話す。
変化がないのは当然と言えば当然なのだが、あれでも深く踏み込んだつもりだったので最後の1歩を踏み出せなかったことが今になって後悔として心の隅に残っていた。
あの日以来2人きりになる機会なんてなく、後悔は一層募った。
あの結衣の後ろからそっと抱きしめたりして…、とか想像したり。
「どこ見てるの?」
隣で走る広輝が怪訝そうに聞く、全員が全員隣の人と話しながら走っている中で、トラックの方をボッーとみているのは確かに異様だった。
「陸部?」
広輝もちらっとトラックの方を見て、それから合点がいったように僕の方を見る。
「まぁね、陸部のユニってエロいもんな。見たくなる気持ちはわかるけど、そんなに見てたら怪しまれるぞ」
やれやれ、といったように言う広輝に対し、言い訳をしたいようなしたくないような気持が僕を押し黙らせる。
「…え?まじでそういう視線だったの?」
ボケだったんですけど、という風に広輝が聞いてくる。
「…いや、半分合ってるというか、なんていうか…、陸部の男子連中はよく平気でいるなと思って」
しどろもどろに適当な言い訳を始めるが、以外にも広輝はその話に乗ってくる。
「いや、意外と隠れてジロジロみてるらしいよ、恭子が言ってた。」
広輝が目線を結衣の方に向ける。結衣は今恭子に後ろから抱きしめられ、何か話をしている最中だった。
「へぇ、恭子とそんな話したことあるんだ、なんか意外」
広輝が女の子を避けがちなのを薄々感じていたし、広輝が恭子と話しているところを見たことがなくて、驚いた。
「いや、まぁね、なんかの成り行きでそんな話をした気がする。」
広輝はスラスラと答える。反応が薄すぎて逆に怪しかったが、そこから深くは掘り下げなかった。
広輝にせよ、恭子にせよ、結衣にせよ。
誰もが僕の知らない一面を持っていて、そこに踏み込むのは正直怖い。
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