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32話
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話そうとすればするほど言葉は喉につっかえて出てこない。自分を選んでくれたはず、でももし違ったら?…東雲は優しいからいっときの関係でも心配してくれただけなのかも。
「清水、先にご飯食べる?せっかく作ってくれたし…冷める前に食べよう?」
「う、うん口に合うといいんだけど」
いただきますと、やけに嬉しそうな顔で一口食べる東雲が少し目を見開いたような気がした。けれどすぐにいつもの顔に戻り、美味しい美味しいと食べ進めて行く。これが日常だったらきっと楽しいだろうな。
「東雲、ぼく…東雲が好きなんだ」
さっきまでつっかえていた言葉があっさりと伝えられる。顔は見れなくて、俯きながらゆっくりと話し出した。
アルファとオメガの本能とか運命とかじゃなくて、ちゃんと自分の意思で東雲が好きなこと。甘えるのは苦手だけど東雲に甘やかされるのは好きだし東雲にも甘えてもらいたい。
暖かい笑顔も自分にだけ向けて欲しくて誰かと距離が近いだけで妬いてしまうのも初めての感情だった。いつも穏やかな東雲が必死な顔で求めてくれるだけでこんなにも愛おしく感じるのだと教えてくれた。
自分のために作ってくれたご飯を一緒に食べる幸せも、好きなものを好きな人と話し合える楽しさも東雲が教えてくれたから、こんな自分でも少しだけ好きになれた。
本能で感じる運命の香りだとかで振り回されたから…もう信じたくはないけど、自分の香りが東雲にとって運命であれと願ってしまう。いつも理性的な東雲が自分にだけ欲情して、感情のままに好きにしてほしい。
不器用なぼくをいつも待ってくれるのは東雲の愛だってわかったから、その隣を一緒に歩いて行きたい。東雲の感じる幸せの中にぼくも入れて欲しい。
いつの間にか溢れてきた涙が頬を伝って落ちていく。璃暖の言葉を柔らかく受け止めるように聞いていた暖の指先が目元を拭い、頬を包み込んだ。
「アルファだからとかオメガだからとか関係なく、ずっと前から璃暖が好きだよ」
柔らかくても芯のある、心地よくて澄んだ声が頭の中に響いてくる。
「ずっと言い続けるよ、可愛くて甘え下手だけど甘やかすと幸せそうな顔をしてくれる璃暖が好きだって」
「ぼくも、好きだから甘えてほしいんだ東雲に…」
拗れるきっかけはそれだったから。
「東雲は優しいから、自分のしたいことを言ってくれなくて不安なんだ…ぼくばっかりじゃなくて、キスしたい時はキスして、触りたい時は触ってほしい、東雲の好きなものをぼくも好きになりたい」
頬を包む大きな手に触れて、いつも見てくれるようにまっすぐな視線で綺麗なブラウンの瞳を見つめる。
「璃暖は名前の通り暖かいね。璃暖のペースに合わせてるつもりだったけどそれは俺の独り善がりだったよね?…ごめんね、不安にさせて」
「…暖だって、名前の通りあったかいよ、これからはちゃんと話すから…だからぼくと幸せになってくれる?」
もちろんと頷く暖は嬉しさに頬をほころばせ、いっそう強く璃暖を抱き締めた。ようやく伝えられたことに安堵して暖の背中に腕を回す。シャツ越しから名前の通りの暖かさが少し早い鼓動ととも感じられた。きっとそれは璃暖のように張り詰めていたのだろうと思うと、あまりの愛おしさに小さな笑みが溢れてしまう。
「清水、先にご飯食べる?せっかく作ってくれたし…冷める前に食べよう?」
「う、うん口に合うといいんだけど」
いただきますと、やけに嬉しそうな顔で一口食べる東雲が少し目を見開いたような気がした。けれどすぐにいつもの顔に戻り、美味しい美味しいと食べ進めて行く。これが日常だったらきっと楽しいだろうな。
「東雲、ぼく…東雲が好きなんだ」
さっきまでつっかえていた言葉があっさりと伝えられる。顔は見れなくて、俯きながらゆっくりと話し出した。
アルファとオメガの本能とか運命とかじゃなくて、ちゃんと自分の意思で東雲が好きなこと。甘えるのは苦手だけど東雲に甘やかされるのは好きだし東雲にも甘えてもらいたい。
暖かい笑顔も自分にだけ向けて欲しくて誰かと距離が近いだけで妬いてしまうのも初めての感情だった。いつも穏やかな東雲が必死な顔で求めてくれるだけでこんなにも愛おしく感じるのだと教えてくれた。
自分のために作ってくれたご飯を一緒に食べる幸せも、好きなものを好きな人と話し合える楽しさも東雲が教えてくれたから、こんな自分でも少しだけ好きになれた。
本能で感じる運命の香りだとかで振り回されたから…もう信じたくはないけど、自分の香りが東雲にとって運命であれと願ってしまう。いつも理性的な東雲が自分にだけ欲情して、感情のままに好きにしてほしい。
不器用なぼくをいつも待ってくれるのは東雲の愛だってわかったから、その隣を一緒に歩いて行きたい。東雲の感じる幸せの中にぼくも入れて欲しい。
いつの間にか溢れてきた涙が頬を伝って落ちていく。璃暖の言葉を柔らかく受け止めるように聞いていた暖の指先が目元を拭い、頬を包み込んだ。
「アルファだからとかオメガだからとか関係なく、ずっと前から璃暖が好きだよ」
柔らかくても芯のある、心地よくて澄んだ声が頭の中に響いてくる。
「ずっと言い続けるよ、可愛くて甘え下手だけど甘やかすと幸せそうな顔をしてくれる璃暖が好きだって」
「ぼくも、好きだから甘えてほしいんだ東雲に…」
拗れるきっかけはそれだったから。
「東雲は優しいから、自分のしたいことを言ってくれなくて不安なんだ…ぼくばっかりじゃなくて、キスしたい時はキスして、触りたい時は触ってほしい、東雲の好きなものをぼくも好きになりたい」
頬を包む大きな手に触れて、いつも見てくれるようにまっすぐな視線で綺麗なブラウンの瞳を見つめる。
「璃暖は名前の通り暖かいね。璃暖のペースに合わせてるつもりだったけどそれは俺の独り善がりだったよね?…ごめんね、不安にさせて」
「…暖だって、名前の通りあったかいよ、これからはちゃんと話すから…だからぼくと幸せになってくれる?」
もちろんと頷く暖は嬉しさに頬をほころばせ、いっそう強く璃暖を抱き締めた。ようやく伝えられたことに安堵して暖の背中に腕を回す。シャツ越しから名前の通りの暖かさが少し早い鼓動ととも感じられた。きっとそれは璃暖のように張り詰めていたのだろうと思うと、あまりの愛おしさに小さな笑みが溢れてしまう。
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