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16章
王太子の婚約者
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婚約の儀の当日の朝を迎えた。ルシアの養父母になる、老公爵夫妻も昨日から、田舎の領地から出て来ていた。エスコートは現公爵夫妻がすることになる。
「ルシアいよいよね、でも大丈夫堂々としていなさい。あなたの美しさに賛辞を贈らない人はいない。それは神殿の神官様たちもよ」
「ルシアは美しさだけではない。ルイーズの厳しい教育によくついていった。その努力には感心した。そなたが私の弟であることを誇りに思う」
公爵の心からの賛辞に、ルイーズは勿論、老公爵夫妻も大きく頷く。
「わしらも今日のような晴れやかな場に同席出来るなど、本当にありがたいことだ。冥土の土産ができた。」
「まあ、お父様方それは早すぎましてよ、まだこの先結婚の儀がございますよ」
「そうじゃったな、更に晴れがましいことになるな。日取りは決まったのか?」
「今日正式に告知されますが、半年後と決まっております」
「この半年は、正式なお妃教育も始まるし、益々忙しくなるけど、ワクワクするわね」
ルイーズの言葉に、ルシア以外の者は同意し頷く。ルシアは、正直ワクワクなどできないと、気を引き締めていた。
王太子アレクシーとルシアの婚約の儀は、神殿で最高神官によって、国王王妃、アレクシーの弟王子、アルマ公爵夫妻に老公爵夫妻が見守る中、厳粛に執り行われた。
神殿から王宮に移ると、一転ん華やかな王太子婚約披露の宴になる。これには、王族はじめ主だった貴族が参加し二人の婚約を祝った。勿論、フランソワも出席している。
「おめでとうございます。ルシア様、今日は一段とお美しい!」
「お前、ルシアに触れるな」
「ったっく、そういう狭量な独占欲を見せると嫌われるぞ」
「それこそルシアは、そんな狭量さはないから大丈夫だよ」
「今度はのろけか、やってらんないなあ、ここまで来るのに俺がどれだけ奔走したか……」
「それは感謝してるよ」
2人の気の置けない会話を聞いているルシアは、羨ましいと思う。ルシアには、フランソワのような友人がいない。ルイーズや公爵は頼りになるし尊敬もしているが、友人ではない。最近ではアレクシーの弟エドワード王子との交流も始まり、懐いてくれて可愛いと思うが、やはり友人とは違う。
ないものねだりをしても仕方ない。両親を亡くした自分に、新たな養父母もできた。結婚後は国王王妃も親になる。頼もしい兄や姉、可愛い弟、十分じゃないか、贅沢を言ったら罰が当たる。ルシアは自分を戒めた。
「ルシア踊ろう、最初の曲は私たちが中心で踊るのだよ。皆が君の美しさに注目している」
ルシアがアレクシーに広間の中心に導かれると、曲が始まる。婚約を祝う華やかな曲に、ルシアはアレクシーのリードで軽やかにステップを踏む。その姿は可憐で、見ている人全てを魅了する。
「ルシア素晴らしかったよ。さあ、両陛下からもお言葉を頂こう」
アレクシーに腕を引かれ、アルマ公爵夫妻に先導され国王王妃の元へ行く。その姿に戸惑いは、見られない、堂々としていた。
「おおーっルシア! 見事な舞じゃったな」フェリックスが、賛辞の言葉で迎える。
「ほんに美しいこと! そなたらはようお似合いですっこと!」王妃もにこやかに言うと、いつの間にか側に来ていたエドワード王子が、ルシアの手を取る。
「ルシア兄さま、僕とも踊ってください。最初の曲が終わったからいいでしょ、ねえ兄上!」
末っ子の甘ったれ王子に、否やを言うのも大人気ないかなと、アレクシーは渋々頷く。するとエドワードは嬉々としてルシアを踊りの中心に導き、踊り出す。これも王子の資質なのか、エドワードのリードは幼いながら巧みでルシアは気持ちよく踊れた。幼い王子と可憐なルシアの舞に、人々はまたもや魅了される。
「さすがに、エドワード様にはやきもちやかないか?」フランソワが耳元で囁く。
「当たり前だ! あんな子供に」即座に応えたが、強がりだった。幼い弟でも許せない自分がいることを、アレクシー自身が一番わかっている。だが同時に、ルシアを公にするということは、こういう事だとも分かっていた。独占欲を前面に出したら、表には出せない。
その後ルシアはアルマ公爵とも踊った。フランソワも誘ったが、それはアレクシーが許さなかった。アレクシーの許容範囲は兄と弟、それだけだった。フランソワもあえて押しはしなかった。アレクシーの嫉妬が可愛らしくも思えたからだ。確かにこれだけ美しく魅力的だと嫉妬も大変だ、自分なら身がもたないと同情さえした。
フランソワの同情を知らないアレクシーは、得意な気持ちでいた、ルシアが人々を魅了する様を、目の当たりにして誇らしい気持ちで満ちていた。そして、改めて己の運命に感謝した。多分、これから己は歴史の流れに身を置き、ルシアと共に、歴史に名が刻まれることになろう。あの壁画と共に……。アレクシーの中には強い予感があった。
思えば、ルシアは単にアルファとオメガの運命を超えた人だと思うのだ。己の運命そのものだと思う。アレクシーは、改めてルシアとの出会いに感謝した。
「ルシアいよいよね、でも大丈夫堂々としていなさい。あなたの美しさに賛辞を贈らない人はいない。それは神殿の神官様たちもよ」
「ルシアは美しさだけではない。ルイーズの厳しい教育によくついていった。その努力には感心した。そなたが私の弟であることを誇りに思う」
公爵の心からの賛辞に、ルイーズは勿論、老公爵夫妻も大きく頷く。
「わしらも今日のような晴れやかな場に同席出来るなど、本当にありがたいことだ。冥土の土産ができた。」
「まあ、お父様方それは早すぎましてよ、まだこの先結婚の儀がございますよ」
「そうじゃったな、更に晴れがましいことになるな。日取りは決まったのか?」
「今日正式に告知されますが、半年後と決まっております」
「この半年は、正式なお妃教育も始まるし、益々忙しくなるけど、ワクワクするわね」
ルイーズの言葉に、ルシア以外の者は同意し頷く。ルシアは、正直ワクワクなどできないと、気を引き締めていた。
王太子アレクシーとルシアの婚約の儀は、神殿で最高神官によって、国王王妃、アレクシーの弟王子、アルマ公爵夫妻に老公爵夫妻が見守る中、厳粛に執り行われた。
神殿から王宮に移ると、一転ん華やかな王太子婚約披露の宴になる。これには、王族はじめ主だった貴族が参加し二人の婚約を祝った。勿論、フランソワも出席している。
「おめでとうございます。ルシア様、今日は一段とお美しい!」
「お前、ルシアに触れるな」
「ったっく、そういう狭量な独占欲を見せると嫌われるぞ」
「それこそルシアは、そんな狭量さはないから大丈夫だよ」
「今度はのろけか、やってらんないなあ、ここまで来るのに俺がどれだけ奔走したか……」
「それは感謝してるよ」
2人の気の置けない会話を聞いているルシアは、羨ましいと思う。ルシアには、フランソワのような友人がいない。ルイーズや公爵は頼りになるし尊敬もしているが、友人ではない。最近ではアレクシーの弟エドワード王子との交流も始まり、懐いてくれて可愛いと思うが、やはり友人とは違う。
ないものねだりをしても仕方ない。両親を亡くした自分に、新たな養父母もできた。結婚後は国王王妃も親になる。頼もしい兄や姉、可愛い弟、十分じゃないか、贅沢を言ったら罰が当たる。ルシアは自分を戒めた。
「ルシア踊ろう、最初の曲は私たちが中心で踊るのだよ。皆が君の美しさに注目している」
ルシアがアレクシーに広間の中心に導かれると、曲が始まる。婚約を祝う華やかな曲に、ルシアはアレクシーのリードで軽やかにステップを踏む。その姿は可憐で、見ている人全てを魅了する。
「ルシア素晴らしかったよ。さあ、両陛下からもお言葉を頂こう」
アレクシーに腕を引かれ、アルマ公爵夫妻に先導され国王王妃の元へ行く。その姿に戸惑いは、見られない、堂々としていた。
「おおーっルシア! 見事な舞じゃったな」フェリックスが、賛辞の言葉で迎える。
「ほんに美しいこと! そなたらはようお似合いですっこと!」王妃もにこやかに言うと、いつの間にか側に来ていたエドワード王子が、ルシアの手を取る。
「ルシア兄さま、僕とも踊ってください。最初の曲が終わったからいいでしょ、ねえ兄上!」
末っ子の甘ったれ王子に、否やを言うのも大人気ないかなと、アレクシーは渋々頷く。するとエドワードは嬉々としてルシアを踊りの中心に導き、踊り出す。これも王子の資質なのか、エドワードのリードは幼いながら巧みでルシアは気持ちよく踊れた。幼い王子と可憐なルシアの舞に、人々はまたもや魅了される。
「さすがに、エドワード様にはやきもちやかないか?」フランソワが耳元で囁く。
「当たり前だ! あんな子供に」即座に応えたが、強がりだった。幼い弟でも許せない自分がいることを、アレクシー自身が一番わかっている。だが同時に、ルシアを公にするということは、こういう事だとも分かっていた。独占欲を前面に出したら、表には出せない。
その後ルシアはアルマ公爵とも踊った。フランソワも誘ったが、それはアレクシーが許さなかった。アレクシーの許容範囲は兄と弟、それだけだった。フランソワもあえて押しはしなかった。アレクシーの嫉妬が可愛らしくも思えたからだ。確かにこれだけ美しく魅力的だと嫉妬も大変だ、自分なら身がもたないと同情さえした。
フランソワの同情を知らないアレクシーは、得意な気持ちでいた、ルシアが人々を魅了する様を、目の当たりにして誇らしい気持ちで満ちていた。そして、改めて己の運命に感謝した。多分、これから己は歴史の流れに身を置き、ルシアと共に、歴史に名が刻まれることになろう。あの壁画と共に……。アレクシーの中には強い予感があった。
思えば、ルシアは単にアルファとオメガの運命を超えた人だと思うのだ。己の運命そのものだと思う。アレクシーは、改めてルシアとの出会いに感謝した。
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