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後日談02(前野視点)
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「おいひい……!」
思わず、感嘆の声が漏れる。
愛しい人が作ってくれた料理だから、きっとすごく美味しいんだろうな。ローテーブルに料理を並べる涼ちゃんを眺めながら、なんて表情を綻ばせていたけど、まさかこれほどまでに絶品だとは。
甘辛く煮立ったじゃがいもを飲み込んで、俺の隣に腰掛けた涼ちゃんへ視線を向けた。
「今まで食べてきた肉じゃがのなかで、一番おいしいよ」
「お、大袈裟だな……」
俺が真剣に告げると、涼ちゃんは少しだけ視線を逸らして気恥ずかしそうに笑う。淡雪のような白い頬が、ぽわっと赤く色づいて、かわいい。
やっぱり肉じゃがだけじゃなくて、涼ちゃんも食べちゃいたいよ。脳内でエプロン姿の涼ちゃんを甘やかしながら、もぐもぐとご飯を頬張る。
でも、もう勘違いされたくないから今日はえっちなことはしないって決めたんだ。ご飯を食べたら、絶対に帰るぞ。揺らぎそうになった決意を再び固めていると、涼ちゃんがどこか浮ついた声で俺を呼んだ。
「なあ、前野」
「ん?」
「食べ終わったら、その、一緒に映画でも観ないか?」
「へ……」
突然のお誘いに、目を丸くする。涼ちゃんは不安そうに眉根を下げて続けた。
「だめか……?」
「だ、だめなわけない。なに観る?」
これ以上一緒にいたら危ないって、頭ではちゃんとわかってるのに。微かに濡れた視線を投げられてしまうと、俺はやっぱり抗うことができなかった。
ああ、涼ちゃんってなんて可愛いんだろう。上機嫌に映画の話をする涼ちゃんを見て、そう思った。沸々と腹の底から湧いてくる欲望ごと噛み殺すように、無我夢中でご飯を食べる。
他愛ない会話をしていると、何かに気づいたらしい涼ちゃんがゆっくりと身を寄せてきた。
「ふふ、前野。ご飯粒ついてるぞ」
「え、ほんと?ここ?」
「逆だ。僕が取るから、目瞑って」
無邪気に笑う涼ちゃんに従って、大人しく目を瞑る。涼ちゃんが手を伸ばしたのか、衣擦れの音がヤケに大きく耳に響いた。緊張して、心臓がどきりと跳ねる。その瞬間、ちゅっと柔らかく頬に唇が押し当てられた。
「へ……?」
「うそだよ、米粒なんてついてない」
「じゃあ、どうして」
「キス、したくなった……」
驚いて目を開けると、そんな言葉が返ってきて心臓がさらに慄いた。必死に飼い慣らそうとしていた欲望が獣みたいに暴れ出す。もう利口ではいられない。
ソファへ柔らかく涼ちゃんを押し倒して、細い手首を掴んだまま噛み付くようにキスをした。甘やかすように何度も浅く口付けて、舌を深く捩じ込む。
ねえ、ほら。ちゃんとわかってるかな。俺が教えた、涼ちゃんが一番好きなやつ。初めてキスをしたとき、俺のを締めつけてイってたの、ちゃんと俺は覚えてるよ。
ちゅぷちゅぷと甘く舌を絡めながら、片手で耳朶をくすぐって、期待感を持たせたあと唇を離した。
ずるい男でごめんね、もう逃げられないことわかってて聞くよ。
「涼ちゃん、いいよね?」
吐息を吹き込むように耳元で囁くと、涼ちゃんはとろんと惚けた顔のまま小さく頷いた。
(続く)
思わず、感嘆の声が漏れる。
愛しい人が作ってくれた料理だから、きっとすごく美味しいんだろうな。ローテーブルに料理を並べる涼ちゃんを眺めながら、なんて表情を綻ばせていたけど、まさかこれほどまでに絶品だとは。
甘辛く煮立ったじゃがいもを飲み込んで、俺の隣に腰掛けた涼ちゃんへ視線を向けた。
「今まで食べてきた肉じゃがのなかで、一番おいしいよ」
「お、大袈裟だな……」
俺が真剣に告げると、涼ちゃんは少しだけ視線を逸らして気恥ずかしそうに笑う。淡雪のような白い頬が、ぽわっと赤く色づいて、かわいい。
やっぱり肉じゃがだけじゃなくて、涼ちゃんも食べちゃいたいよ。脳内でエプロン姿の涼ちゃんを甘やかしながら、もぐもぐとご飯を頬張る。
でも、もう勘違いされたくないから今日はえっちなことはしないって決めたんだ。ご飯を食べたら、絶対に帰るぞ。揺らぎそうになった決意を再び固めていると、涼ちゃんがどこか浮ついた声で俺を呼んだ。
「なあ、前野」
「ん?」
「食べ終わったら、その、一緒に映画でも観ないか?」
「へ……」
突然のお誘いに、目を丸くする。涼ちゃんは不安そうに眉根を下げて続けた。
「だめか……?」
「だ、だめなわけない。なに観る?」
これ以上一緒にいたら危ないって、頭ではちゃんとわかってるのに。微かに濡れた視線を投げられてしまうと、俺はやっぱり抗うことができなかった。
ああ、涼ちゃんってなんて可愛いんだろう。上機嫌に映画の話をする涼ちゃんを見て、そう思った。沸々と腹の底から湧いてくる欲望ごと噛み殺すように、無我夢中でご飯を食べる。
他愛ない会話をしていると、何かに気づいたらしい涼ちゃんがゆっくりと身を寄せてきた。
「ふふ、前野。ご飯粒ついてるぞ」
「え、ほんと?ここ?」
「逆だ。僕が取るから、目瞑って」
無邪気に笑う涼ちゃんに従って、大人しく目を瞑る。涼ちゃんが手を伸ばしたのか、衣擦れの音がヤケに大きく耳に響いた。緊張して、心臓がどきりと跳ねる。その瞬間、ちゅっと柔らかく頬に唇が押し当てられた。
「へ……?」
「うそだよ、米粒なんてついてない」
「じゃあ、どうして」
「キス、したくなった……」
驚いて目を開けると、そんな言葉が返ってきて心臓がさらに慄いた。必死に飼い慣らそうとしていた欲望が獣みたいに暴れ出す。もう利口ではいられない。
ソファへ柔らかく涼ちゃんを押し倒して、細い手首を掴んだまま噛み付くようにキスをした。甘やかすように何度も浅く口付けて、舌を深く捩じ込む。
ねえ、ほら。ちゃんとわかってるかな。俺が教えた、涼ちゃんが一番好きなやつ。初めてキスをしたとき、俺のを締めつけてイってたの、ちゃんと俺は覚えてるよ。
ちゅぷちゅぷと甘く舌を絡めながら、片手で耳朶をくすぐって、期待感を持たせたあと唇を離した。
ずるい男でごめんね、もう逃げられないことわかってて聞くよ。
「涼ちゃん、いいよね?」
吐息を吹き込むように耳元で囁くと、涼ちゃんはとろんと惚けた顔のまま小さく頷いた。
(続く)
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