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我が弟よ、兄をなんだと思ってるんだ。

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「会長~おはよ~!」
「世良会長だー、おはようございまーす」

「おはよう」登校すると、すれ違う生徒たちに返事をしながら生徒会室へと歩いていく。いつも通り、気さくに…というより、茶化すそうに挨拶してくれる奴等。「会長」と呼ばれるのも四月からで、本当につい最近の話だから、少しくすぐったい。
歴代の生徒会会長を務めてきた先輩たちは、皆顔良し成績良し家柄良しなのに、俺が持っているものとしたら、人より良さげの成績と、大量のコスプレ衣装と化粧品くらいだ。
それなのに、この学園の奴等は良い奴ばかりだ。こんな俺でも、こうして認めてくれているのだ。嬉しい事この上ない。

生徒会室に着くと、副会長の灰澤(ハイザワ)が自席で缶コーヒーを飲んでいた。
「おはよう、灰澤。早いな、部屋にもうすでにいないからどうしたのかと思った」
同室者でもある灰澤は俺を一瞥するとそのままパソコンと向き合った。
「週末にやり残して帰った仕事があんだよ。」
「ふうん、お前が珍しいな?」
艶やかな黒髪が、朝の強い日差しに撫でられて輝いている。俺は、灰澤の自席の前に鎮座する自分の席に向かう。灰澤は、顔良し成績良し家柄良しというまさに生徒会長に似合う男だ。去年だって、直前まで「次期生徒会長」と呼ばれていたのはコイツだった。それなのに、突然指名された俺。
反対の声もあったようだが、それらすべてはいつのまにか収まっていたので、俺は多分この澄ました顔のコイツがなんとかしたのではないか、と思っている。

最初は、俺様で不遜な灰澤は最初こそ俺に威嚇するような姿勢をとっていたが、俺にはそれがうちに来たばかりの猫にしか見えなかった。
いつの間にか、灰澤の角もとれていて、上手く俺の居場所を作ってくれたと思う。

ふと視線を感じ顔を上げると、目の前の灰澤がパソコン越しにこちらを不思議そうに見つめている。
「な、なんだよ…」
訝しそうにこちらを見つめる視線が痛い。なんか、やらかしたかな…。目つきが悪いコイツに睨まれるのは心臓が縮む。というか、おしっこちびる。
「…お前、今日熱あるんじゃねえの?」
「ね、えよ…」

この週末は思い出したくないほどの出来事があった。俺は、大人の階段を違う方向に二段も三段もすっ飛ばして昇ってしまった。
土曜日はそのままホテルで爆睡、いつの間にかいたのは、弟・朝陽の自室。父さんの単身赴任に母さんが付いていったらしく、家には俺と朝陽だけだった。いや、母さん、俺になにも言わずに出ていくなよ!しかも長期間て!

日曜日の朝に目覚めれば、脅し材料である一枚の写真と、いわゆるアナルセックスで使用する道具たちが俺の目の前に並べられていた。

泣く泣く弟相手に泣き寝入りした俺は、昨晩まで浣腸をして中の洗浄、弟にケツの拡張を施されてしまった。泣きたい。
週末、また再び実家に帰ってくることを約束させられたのだが…。

朝陽は人当たりの良いあの笑顔で、
「次会った時、南月のケツマンが狭くなってたら、無理やり犯すから。」
と言っていた。激怖だろ…俺の弟ってあんな怖かったっけ…?
そのために、朝から小さめのアナルプラグを自らケツに挿入しなければならない事態に陥っている。顔が火照っているのもそのせいなのかもしれない。

俺のそんな顔を見て、不審そうにむっとした顔をした灰澤に「心配すんなって、大丈夫だから」と言うと、さらに不機嫌になってしまった。
全く、灰澤心は俺にはわからん。その日は結局、俺の相棒である副会長の機嫌取りをしていたのだった。
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