跪かせて、俺のDom

瀬野みなみ

文字の大きさ
1 / 7

act.05

しおりを挟む
act.05

この世にはバース性というモノがある。男、女という区別があるがそれとはまた別の話。人間はなにかしら、物事を区別し名前を付けたがるが、それは認識できていないものに恐怖を覚えるからだろうか。
Domと言われる性は所謂「支配をする側」で、Subと呼ばれる側は「支配される側」だ。する側とされる側。俺達人間にはさして問題ないようで、大きな問題だったりする。

keel跪け

街のど真ん中で聞こえてきたコマンド。する側が、人間を「される側」にする瞬間のスイッチのようなモノだ。尤も、Subにしかコマンドは効かないけれど。
声が聞こえた方に顔を向けると、男性Subが既に次の命令を待っている。既に、顔をとろり、と蕩けさせ周りもあまりの色が含んだこの行為に目が釘付けだ。

そもそも、このD/Sのこの行為を人前でするなんて、街中でセックスしているのと変わりないだろう。周りはそう思わない奴もいるようだが、俺には理解出来ない話だ。

大人しく、足全体をぺたり、と地面に付けて雌顔を晒しているSubに相手と思われるDomは頭を撫で、目を細めた。

good boyいい子だ

俺はそこで足の歩調を早める。あぁ、気持ち悪い。

人間を「される側」にできる力なんていらなかった。…俺はDomだ。誰かに首輪を渡して番になるつもりもない。出来損ないのDomだ。

一刻も早く家に帰りたくて、俺の足は自然と走り出していた。




「おかえり、俊平しゅんぺい君」
息を切らして部屋に入ると、そこには恋人がエプロンを付けて待っていた。いい匂いが部屋いっぱいに広がっていおり、走ってきた俺の胃は食べ物を入れるスペースを開けていく。
「……ただいま山蛇やまださん」
黒髪に端正な顔立ち、180cmの俺を優に越す身長、覗き込んだ瞳は真っ黒だ。普段は真っ黒で上質なスーツを着た彼がワイシャツになり、エプロンをしている姿は我が家じゃないと拝めないもので、俺は途端に優越感を感じる。

手を洗い、俺をぎゅっと抱きしめる山陀さんはとてもいい匂いがする。
「山蛇さん、俺今走ってきたんで…臭いですよ」
「本当だ、ちょっと汗の匂いがするね…でもいい匂いだ。君の匂いが濃くて好きだよ」

こんな台詞も一般人なら変態臭くて叶わないが、こうもイケメンだと悪い気はしない。というか物凄く照れる。

「山蛇さ、ん…俺手洗ってないし、お腹減った」
「うん、もうできてるけど、あとで温め直してあげる。だから、ね?」

するり、と腰を撫でる大きな手、武骨な指。ないはずの子宮が疼き思わず目の前の厚い胸に縋りついた。

「ね、命令してよ」

俺が自分のDom性を嫌っているのをわかっている癖に酷い人だ。こうなってしまえば、俺がこの欲求を我慢できないのを知っているくせに。

ふるふると、ゆるく首を横に振る。すると、軽いキスを瞼に堕とし、頬に堕とす。つまり、この先をしたければ、してほしいということだろう。
俺は、つけていたマフラーをゆっくりととり、着ていたアウターを床に落とした。

kneel跪け

口から発した言葉、形に成るのがわかる。街中のSubのようにみっともなく座るのではなく、まるで騎士のように跪く山蛇さんはカッコいい。彼の欲に濡れた瞳を見るとゾクゾクと背筋に快楽が渡り、本能が「命令しろ、支配してやれ」と騒いでいる。

good boyいい子だ

この言葉はSubにとって、最大のご褒美になる。山蛇さんは、目を細め俺の手を取り、甲に口づけした。

「ね、命令してよ、たくさん。そしたらもっと気持ちよくしてあげる」


そうして、俺は彼に自ら抱かれ、「もっと」と命令するために口を開く。傷だらけの美しい顔に口づけをすると嬉しそうに目を細める山蛇さんに、俺も嬉しくなった。

今日も彼からもらった黒塗りのピアスが光っている。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

待てって言われたから…

ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

世界で一番優しいKNEELをあなたに

珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。 Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。 抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。 しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。 ※Dom/Subユニバース独自設定有り ※やんわりモブレ有り ※Usual✕Sub ※ダイナミクスの変異あり

不透明な君と。

pAp1Ko
BL
Dom/Subユニバースのお話。 Dom(美人、細い、色素薄め、一人称:僕、168cm) 柚岡璃華(ユズオカ リカ) × Sub(細マッチョ、眼鏡、口悪い、一人称:俺、180cm) 暈來希(ヒカサ ライキ) Subと診断されたがランクが高すぎて誰のcommandも効かず、周りからはNeutralまたは見た目からDomだと思われていた暈來希。 小柄で美人な容姿、色素の薄い外見からSubだと思われやすい高ランクのDom、柚岡璃華。 この二人が出会いパートナーになるまでのお話。 完結済み、5日間に分けて投稿。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...