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act.05
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act.05
この世にはバース性というモノがある。男、女という区別があるがそれとはまた別の話。人間はなにかしら、物事を区別し名前を付けたがるが、それは認識できていないものに恐怖を覚えるからだろうか。
Domと言われる性は所謂「支配をする側」で、Subと呼ばれる側は「支配される側」だ。する側とされる側。俺達人間にはさして問題ないようで、大きな問題だったりする。
「keel」
街のど真ん中で聞こえてきたコマンド。する側が、人間を「される側」にする瞬間のスイッチのようなモノだ。尤も、Subにしかコマンドは効かないけれど。
声が聞こえた方に顔を向けると、男性Subが既に次の命令を待っている。既に、顔をとろり、と蕩けさせ周りもあまりの色が含んだこの行為に目が釘付けだ。
そもそも、このD/Sのこの行為を人前でするなんて、街中でセックスしているのと変わりないだろう。周りはそう思わない奴もいるようだが、俺には理解出来ない話だ。
大人しく、足全体をぺたり、と地面に付けて雌顔を晒しているSubに相手と思われるDomは頭を撫で、目を細めた。
「good boy」
俺はそこで足の歩調を早める。あぁ、気持ち悪い。
人間を「される側」にできる力なんていらなかった。…俺はDomだ。誰かに首輪を渡して番になるつもりもない。出来損ないのDomだ。
一刻も早く家に帰りたくて、俺の足は自然と走り出していた。
「おかえり、俊平君」
息を切らして部屋に入ると、そこには恋人がエプロンを付けて待っていた。いい匂いが部屋いっぱいに広がっていおり、走ってきた俺の胃は食べ物を入れるスペースを開けていく。
「……ただいま山蛇さん」
黒髪に端正な顔立ち、180cmの俺を優に越す身長、覗き込んだ瞳は真っ黒だ。普段は真っ黒で上質なスーツを着た彼がワイシャツになり、エプロンをしている姿は我が家じゃないと拝めないもので、俺は途端に優越感を感じる。
手を洗い、俺をぎゅっと抱きしめる山陀さんはとてもいい匂いがする。
「山蛇さん、俺今走ってきたんで…臭いですよ」
「本当だ、ちょっと汗の匂いがするね…でもいい匂いだ。君の匂いが濃くて好きだよ」
こんな台詞も一般人なら変態臭くて叶わないが、こうもイケメンだと悪い気はしない。というか物凄く照れる。
「山蛇さ、ん…俺手洗ってないし、お腹減った」
「うん、もうできてるけど、あとで温め直してあげる。だから、ね?」
するり、と腰を撫でる大きな手、武骨な指。ないはずの子宮が疼き思わず目の前の厚い胸に縋りついた。
「ね、命令してよ」
俺が自分のDom性を嫌っているのをわかっている癖に酷い人だ。こうなってしまえば、俺がこの欲求を我慢できないのを知っているくせに。
ふるふると、ゆるく首を横に振る。すると、軽いキスを瞼に堕とし、頬に堕とす。つまり、この先をしたければ、してほしいということだろう。
俺は、つけていたマフラーをゆっくりととり、着ていたアウターを床に落とした。
「kneel」
口から発した言葉、形に成るのがわかる。街中のSubのようにみっともなく座るのではなく、まるで騎士のように跪く山蛇さんはカッコいい。彼の欲に濡れた瞳を見るとゾクゾクと背筋に快楽が渡り、本能が「命令しろ、支配してやれ」と騒いでいる。
「good boy」
この言葉はSubにとって、最大のご褒美になる。山蛇さんは、目を細め俺の手を取り、甲に口づけした。
「ね、命令してよ、たくさん。そしたらもっと気持ちよくしてあげる」
そうして、俺は彼に自ら抱かれ、「もっと」と命令するために口を開く。傷だらけの美しい顔に口づけをすると嬉しそうに目を細める山蛇さんに、俺も嬉しくなった。
今日も彼からもらった黒塗りのピアスが光っている。
この世にはバース性というモノがある。男、女という区別があるがそれとはまた別の話。人間はなにかしら、物事を区別し名前を付けたがるが、それは認識できていないものに恐怖を覚えるからだろうか。
Domと言われる性は所謂「支配をする側」で、Subと呼ばれる側は「支配される側」だ。する側とされる側。俺達人間にはさして問題ないようで、大きな問題だったりする。
「keel」
街のど真ん中で聞こえてきたコマンド。する側が、人間を「される側」にする瞬間のスイッチのようなモノだ。尤も、Subにしかコマンドは効かないけれど。
声が聞こえた方に顔を向けると、男性Subが既に次の命令を待っている。既に、顔をとろり、と蕩けさせ周りもあまりの色が含んだこの行為に目が釘付けだ。
そもそも、このD/Sのこの行為を人前でするなんて、街中でセックスしているのと変わりないだろう。周りはそう思わない奴もいるようだが、俺には理解出来ない話だ。
大人しく、足全体をぺたり、と地面に付けて雌顔を晒しているSubに相手と思われるDomは頭を撫で、目を細めた。
「good boy」
俺はそこで足の歩調を早める。あぁ、気持ち悪い。
人間を「される側」にできる力なんていらなかった。…俺はDomだ。誰かに首輪を渡して番になるつもりもない。出来損ないのDomだ。
一刻も早く家に帰りたくて、俺の足は自然と走り出していた。
「おかえり、俊平君」
息を切らして部屋に入ると、そこには恋人がエプロンを付けて待っていた。いい匂いが部屋いっぱいに広がっていおり、走ってきた俺の胃は食べ物を入れるスペースを開けていく。
「……ただいま山蛇さん」
黒髪に端正な顔立ち、180cmの俺を優に越す身長、覗き込んだ瞳は真っ黒だ。普段は真っ黒で上質なスーツを着た彼がワイシャツになり、エプロンをしている姿は我が家じゃないと拝めないもので、俺は途端に優越感を感じる。
手を洗い、俺をぎゅっと抱きしめる山陀さんはとてもいい匂いがする。
「山蛇さん、俺今走ってきたんで…臭いですよ」
「本当だ、ちょっと汗の匂いがするね…でもいい匂いだ。君の匂いが濃くて好きだよ」
こんな台詞も一般人なら変態臭くて叶わないが、こうもイケメンだと悪い気はしない。というか物凄く照れる。
「山蛇さ、ん…俺手洗ってないし、お腹減った」
「うん、もうできてるけど、あとで温め直してあげる。だから、ね?」
するり、と腰を撫でる大きな手、武骨な指。ないはずの子宮が疼き思わず目の前の厚い胸に縋りついた。
「ね、命令してよ」
俺が自分のDom性を嫌っているのをわかっている癖に酷い人だ。こうなってしまえば、俺がこの欲求を我慢できないのを知っているくせに。
ふるふると、ゆるく首を横に振る。すると、軽いキスを瞼に堕とし、頬に堕とす。つまり、この先をしたければ、してほしいということだろう。
俺は、つけていたマフラーをゆっくりととり、着ていたアウターを床に落とした。
「kneel」
口から発した言葉、形に成るのがわかる。街中のSubのようにみっともなく座るのではなく、まるで騎士のように跪く山蛇さんはカッコいい。彼の欲に濡れた瞳を見るとゾクゾクと背筋に快楽が渡り、本能が「命令しろ、支配してやれ」と騒いでいる。
「good boy」
この言葉はSubにとって、最大のご褒美になる。山蛇さんは、目を細め俺の手を取り、甲に口づけした。
「ね、命令してよ、たくさん。そしたらもっと気持ちよくしてあげる」
そうして、俺は彼に自ら抱かれ、「もっと」と命令するために口を開く。傷だらけの美しい顔に口づけをすると嬉しそうに目を細める山蛇さんに、俺も嬉しくなった。
今日も彼からもらった黒塗りのピアスが光っている。
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