I-State (侵略国家)

エス

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VS北夕鮮・尖閣諸島編

第28話:世界最悪②

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――――――――――――――――――――――――
■戦争ルール(国際条約制定)

・ARレンズ装着の上、参加
敵=赤マーカー表示
味方=緑マーカー表示
(※視界の外にいる者には、マーカーは表示されない)

・対象者が死亡すると、マーカーは消滅

・戦闘員以外には、マーカーは表示されない

・冷兵器(=火薬や爆発力を利用しない兵器・武器の総称)のみ使用を許可
※レーザー・電撃・空気銃等の代替策 および 化学兵器も一切禁止

 

□補足情報

・マーカーは両者に同じ色が表示される
(AのARレンズに、Bに赤マーカー表示
=BのARレンズに、Aに赤マーカー表示)

・戦闘への参加権利があるのは、登録された者のみ

・移動手段は、申請・登録された軍用車・軍用機・軍用艦に限定される

・複数の第三国が、公平性を担保

 ――――――――――――――――――――――――



――現代の戦争ルールは、白兵戦。

冷兵器以外の使用は、即時検知される。

また、ルール違反国は、相応の国際制裁を受ける。

 

――複数の第三国が、リソースを割いてまで わざわざ公平性を担保する理由。

それは、”他国の戦術データ収集” というメリットがあるからだ。

(とうぜん、シーナ国もこの戦争……というより小競り合い、における日ノ国と北夕鮮の戦術データを収集すべく、公平性の担保とやらをするのだろう。)

また、尖閣諸島は無人島なので、一般人はいない。

 

――隊員全員の視界。

他隊員たちの頭上に、味方であることを示す 緑マーカーが表示された。

 

「はあァ?ふざけんな!」

マキが、イラつきながら 鉄柱を蹴る音が鳴る。

 

「武器を構える事すら、ダメなんだと!

”こちらには集団的自衛権がある。従って、あちらの目的はただの威嚇であり、武器は使わないだろう。万が一相手が武器を使用した場合のみ、武器使用を認める”

……とか、寝言ほざいてやがる!」

怒号が響きわたる。

「相手が武器使ってから、悠長に武器を構えろと? 頭 悪すぎんだろ!

領土侵犯して退去要求もシカトしてんのはあっちなんだから、こっちが先制して武器使えばいいのによー」

 

――カンナの呼吸が早まり、身体は小刻みに震えている。

(他の新米隊員達にも、同様の反応を示す者が複数いる)

無理もない。

今まで、カンナ……というか新米隊員は訓練のみで、実際に戦った経験が無いのだ。

(無論、私もそういう ”設定” にしている)

オウカは、それに気づき、何か声をかけようと思った……が。

何と声をかけたら良いか わからず、言葉に詰まる。

 

「――ねえ~。古流柔術って、崩しながらの当身は、こんな感じだっけ~?」

エレナが わざと緊張感のない声を発し、身体を動かし実演を交えながらカンナに話しかける。

カンナは戸惑いながらも、エレナに実演で応じる。

「あ……うん。こんな感じ。」

意識のベクトルを変えて 身体を動かす事で、カンナの緊張は少しばかり緩和された様に見えた。

 

――その様子を黙ってみていたマキ。

表情が、わずかに和らぐ……が、すぐに元の険しい表情に戻った

その視界に新たな指令が表示されたからだ

[敵部隊にテソンはいないだろう。安心して任務を実行すべし]

あたりめーだろ!

”テソン”が、こんな小競り合いに来るか?

来るなら、本格的な戦争状態になってからだ!

――と、キレそうになったが、これ以上バカ相手にエネルギーを浪費したくない。

精神を整えるため、深呼吸を始める。

 

オウカは、その様子を見ていた。

マキを直視するのではなく、目の端で捉えていた。

 

落ち着いた口調で、言葉を続けるマキ。

「”仮に、相手が武器使ったとしても、制圧目的だけで殺意が無い可能性も否定できない”……とか言ってる。

結局、武器を向けてくる相手だろうと殺してはいけないんだと。

――こちらの隊員が、殺されない限り」

 

”殺しては―” ”殺され―”

マキの口から、その言葉が放たれた時、カンナ及び隊員達の表情に明らかな緊張が見て取れた。

 

――マキは、呆れ果てた末に深いため息が吐く。

「事を荒立てて責任を取りたくない……にも程が ありすぎる。

――国衛隊の上層部はシンプルにバカが多いのか?それとも敵が紛れ込んでいるのか?」

たぶん、両方だろう。

特定分野に関する知識は豊富でも、それを活用する知恵がないバカは よくいるし、

この国の政治のあらゆる場所に、スパイが紛れ込んでいる――最早、国民にも知れ渡っていることだ。

 

――マキは続けて、言葉を放つ。

「――裏切り者は、許さない」

その言葉は、自分に向けて発せられている――そんな錯覚が、オウカの脳裏をよぎった。

……いや、錯覚ではない。

自分は、スパイなのだから。

 

 

――尖閣諸島が、近づいてきた。

すでに、北夕鮮の艦船は別の場所に停船しているだろう。

爆破することは戦争ルール上、できない。

小競り合いとはいえ国家間の武力衝突…… ”戦争” と認定されている。

戦争では、爆発物もレーザーも使ってはいけないのだから。

 

――尖閣諸島の中で最大の島、魚釣島に接近。

魚釣島は、面積3.81㎡(東西約3.5㎞、南北約1.3㎞)・最高標高362m。

険しい断崖と濃い緑が共存する孤島だ。

島の北側は比較的なだらかな斜面で、鬱蒼うっそうとした森が広がっている。

一方、南側は断崖絶壁が広がっており――この船は、そこに向かっている。

隊員達は、武器を用意・携帯する。

 

――魚釣島・南西部に停船、マキ率いる小部隊30人程が、上陸。

目の前には、切り立った崖が悠然とそびえている。

波に削られた岩肌が荒々しい印象を与えつつも、大自然の雄大さを感じさせる

 
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