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VS北夕鮮・尖閣諸島編
第42話:レッドオーシャン③
しおりを挟む――――”2つ目の通知” を受け取ったマキは、ケンジと共に ”現場” へと到着した。
それを視認したマキの表情が、一気に強張る。
そこには、心臓部を刀剣類で貫かれたと思われる――カンナが、仰向けに倒れていた。
緑マーカーは、消滅している――つまり、生体反応がなく、死亡しているのだ。
――マキは、空中を2回タップ、仮想キーボードを叩き始める。
部隊長として、一秒でも早く情報課ひいては上層部への報告をせねばならない。
[〈緊急連絡〉カンナ隊員の死亡を、現場にて目視確認。新たな指示を、求む]
”新たな指示” とは、つまり――
――報告を終えたマキは、改めて地面に横たわるカンナに視線を移す。
心臓部および右肩から、血液が流れ出し続ける。
仰向けのカンナの身体の周りには、血だまりが形成され――広がり、そして地面へと吸い込まれていく。
――右手で、カンナに触れてみた。
まだ、体温は温かい。
数分前までカンナは、生きて動いていたのだ。
敵と、最期まで戦ったのだ。
――左手に握られた日ノ国刀が、それを物語っている。
……感傷に浸っている暇は無い。
次の死亡者を出す前に、部隊長として次の行動を――
――!!
背後から、何者かが近づいてくるのを察知したマキは、即座に振り返る。
鬼気迫る表情を浮かべている、その人間は――オウカだ。
ペア組んだ者には、ペアを組んだパートナーの死亡が、即時通知される。
――オウカは、立ち尽くした。
さっきまで共に戦っていたカンナが、力なく横たわっている。
今までは、国衛隊の同期として業務上必要な事は 何回か話したが、それ以外では数回、表面的な話をした程度だった。
深い話をした事は、一度も なかった。
しかし、今日。
この魚釣島でペアを組んだ ごく短い時間で、カンナの――その深奥、本質に触れた気がした。
その数十分後の現在、カンナはもう――この世にはいない。
――オウカは、カンナの顔を見た。
右肩を刺突され、利き腕を使えなくなって、なお勝ち目の無い敵に対して向かっていったのだろうか?
身体が ほぼ戦闘不能になっても――最期まで、敵を見据え続けた。戦い抜いた。
そんなイメージが脳裏に浮かぶ、表情をしていた。
マキは、オウカの心中を察しながらも――知りたい、聞きたい衝動を抑えられなかった。
「――カンナ隊員の、左手の甲の傷は?」
「カンナの信念が、本物になった瞬間――武士道の証です」
オウカは、新米隊員として自然な行動――もっと狼狽える演技をすべきだ……と思いつつも、それを実行できなかった。
上手く言えないが……カンナに申し訳ない、と思ったからだ。
――オウカは、カンナの顔に手を伸ばし――静かに、両目を閉じさせた。
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