I-State (侵略国家)

エス

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VS北夕鮮・尖閣諸島編

第53話:英霊③

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――――敵兵たちの前に、姿を現したワタル。

棒手裏剣を2本とも外してしまった事に、痛恨の念を抱いた。

だが、その反省会は、棒手裏剣の猛特訓は……後だ。

……愛読している漫画は多い。

だが!その内 数割ほどは ”打ち切り寸前から、超人気作になった!” という逸話を持っている。

ミジンコは、ちょっとしたきっかけで――龍へと化けるのだ!

 

――ワタルは、日ノ国刀を抜きながら、殺意を持って迎撃態勢に入った敵兵たちを見据えた。

そして、雄叫びを上げて突進していく。

-キィィン-

――敵兵1名が持つ刀剣と、鍔迫り合い。

火花を散らす日ノ国刀を持つ、ワタルの顔は――自信に満ちていた。

 

――――マキが突進した相手、敵のリーダー格、ヨハン。

おそらく、このショートカットの女性マキが、敵の部隊長だろう。

-ぶんっ-

女性は、遠い間合いから、刀を振った。

難なく、バックステップで躱す。

――だが!その意図は見え透いている。

北夕鮮軍の同胞たちが、より中央へと、より狭いフィールドへと追いやられる!

しかし、相手が刀を振ろうとする瞬間に懐に入るには、もっと近い間合いに近づいていなければならない。

 

――後ろへ下がるな――活路は、横だ。

左側には、懸命に戦う同胞がいる。

ならば、右側へ――

ヨハンの目が、カッと見開かれた。

視線の先には、銀髪の少女――と、鮮血と共に舞う……親指!?

居合で同胞の右親指を、斬り飛ばしながら――こちらを一瞥もせず 左腕を、ぶんっ、と振った少女の姿を捉えたからだ。

首めがけて、黒く長い金属製の棒が飛んでくる!

-ジャッ-

反射的に、仰け反ったヨハンの首の表皮を、棒手裏剣が通過――わずかに出血。

 

-ドッ-

紙一重で棒手裏剣を躱したヨハン――の左にいた同胞の後頸部に、それが刺さった。

うっ、と小さな呻き声が聞こえた。

「信じらんねぇ!北夕鮮じゃ、リーダーは部下を刺すのか!」

「なっ……」

 

日ノ国刀を これ見よがしに振りかぶるマキの大声に、ヨハンは怒りを覚えた。

”この……卑怯者め!”

遠い間合いから、日ノ国刀を大振りしながら声を張り上げるマキ。

「その左手の暗器、なんで部下の背中に向けてんだ?即死すんぞ!血迷ったか!?」

ヨハンは、その表情に強い怒りを湛えつつも、さらに一歩下がった。

――身体も。精神も。

 

―――― -スアッ-

敵の親指を斬り飛ばしたオウカは、戦いに没頭しようとしていた。

《―――裏切り者が―――――――――――》

無心で戦いに没頭することで、何も考えなくて済む。

 

激痛の悲鳴を上げる敵兵……腹は、ガラ空き。

居合を放った推進力を左脚に移行――

-ドズッ-

――左前蹴りを叩き込んだ。

「……がああぁっ……」

敵兵は、苦しそうな呻き声を上げて、その場に倒れ込んだ。

……仰向けに倒れた敵兵の視界に、虚無感を湛えたオウカの顔と……自分の喉に向けて急接近してくる――鋭利な切っ先。

-ドズッ-

両目を剝く身体から、最期の断末魔が絞り出された。

 

――何も感じない。

敵兵の悲鳴、呻き声、断末魔。

それらが紛れもない現実であると、感じる事ができない。

まるで、自覚しつつも抜け出せない悪夢の様だ。

 

――戦況は、生存者は、味方5名・敵6名。

2名を、私が倒した……殺した。

”実力を低く偽る” という意識が、酷く希薄化している。

他隊員も、自分の戦いに集中していて、違和感を持つヒマなど無いが――これ以上は、”新米隊員として不自然な強さ” と思われかねない。

……後は、他隊員のフォローに徹しよう。

――もう、嫌だ。何もかも。
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