53 / 63
VS北夕鮮・尖閣諸島編
第53話:英霊③
しおりを挟む
――――敵兵たちの前に、姿を現したワタル。
棒手裏剣を2本とも外してしまった事に、痛恨の念を抱いた。
だが、その反省会は、棒手裏剣の猛特訓は……後だ。
……愛読している漫画は多い。
だが!その内 数割ほどは ”打ち切り寸前から、超人気作になった!” という逸話を持っている。
ミジンコは、ちょっとしたきっかけで――龍へと化けるのだ!
――ワタルは、日ノ国刀を抜きながら、殺意を持って迎撃態勢に入った敵兵たちを見据えた。
そして、雄叫びを上げて突進していく。
-キィィン-
――敵兵1名が持つ刀剣と、鍔迫り合い。
火花を散らす日ノ国刀を持つ、ワタルの顔は――自信に満ちていた。
――――マキが突進した相手、敵のリーダー格、ヨハン。
おそらく、このショートカットの女性マキが、敵の部隊長だろう。
-ぶんっ-
女性は、遠い間合いから、刀を振った。
難なく、バックステップで躱す。
――だが!その意図は見え透いている。
北夕鮮軍の同胞たちが、より中央へと、より狭いフィールドへと追いやられる!
しかし、相手が刀を振ろうとする瞬間に懐に入るには、もっと近い間合いに近づいていなければならない。
――後ろへ下がるな――活路は、横だ。
左側には、懸命に戦う同胞がいる。
ならば、右側へ――
ヨハンの目が、カッと見開かれた。
視線の先には、銀髪の少女――と、鮮血と共に舞う……親指!?
居合で同胞の右親指を、斬り飛ばしながら――こちらを一瞥もせず 左腕を、ぶんっ、と振った少女の姿を捉えたからだ。
首めがけて、黒く長い金属製の棒が飛んでくる!
-ジャッ-
反射的に、仰け反ったヨハンの首の表皮を、棒手裏剣が通過――わずかに出血。
-ドッ-
紙一重で棒手裏剣を躱したヨハン――の左にいた同胞の後頸部に、それが刺さった。
うっ、と小さな呻き声が聞こえた。
「信じらんねぇ!北夕鮮じゃ、リーダーは部下を刺すのか!」
「なっ……」
日ノ国刀を これ見よがしに振りかぶるマキの大声に、ヨハンは怒りを覚えた。
”この……卑怯者め!”
遠い間合いから、日ノ国刀を大振りしながら声を張り上げるマキ。
「その左手の暗器、なんで部下の背中に向けてんだ?即死すんぞ!血迷ったか!?」
ヨハンは、その表情に強い怒りを湛えつつも、さらに一歩下がった。
――身体も。精神も。
―――― -スアッ-
敵の親指を斬り飛ばしたオウカは、戦いに没頭しようとしていた。
《―――裏切り者が―――――――――――》
無心で戦いに没頭することで、何も考えなくて済む。
激痛の悲鳴を上げる敵兵……腹は、ガラ空き。
居合を放った推進力を左脚に移行――
-ドズッ-
――左前蹴りを叩き込んだ。
「……がああぁっ……」
敵兵は、苦しそうな呻き声を上げて、その場に倒れ込んだ。
……仰向けに倒れた敵兵の視界に、虚無感を湛えたオウカの顔と……自分の喉に向けて急接近してくる――鋭利な切っ先。
-ドズッ-
両目を剝く身体から、最期の断末魔が絞り出された。
――何も感じない。
敵兵の悲鳴、呻き声、断末魔。
それらが紛れもない現実であると、感じる事ができない。
まるで、自覚しつつも抜け出せない悪夢の様だ。
――戦況は、生存者は、味方5名・敵6名。
2名を、私が倒した……殺した。
”実力を低く偽る” という意識が、酷く希薄化している。
他隊員も、自分の戦いに集中していて、違和感を持つヒマなど無いが――これ以上は、”新米隊員として不自然な強さ” と思われかねない。
……後は、他隊員のフォローに徹しよう。
――もう、嫌だ。何もかも。
棒手裏剣を2本とも外してしまった事に、痛恨の念を抱いた。
だが、その反省会は、棒手裏剣の猛特訓は……後だ。
……愛読している漫画は多い。
だが!その内 数割ほどは ”打ち切り寸前から、超人気作になった!” という逸話を持っている。
ミジンコは、ちょっとしたきっかけで――龍へと化けるのだ!
――ワタルは、日ノ国刀を抜きながら、殺意を持って迎撃態勢に入った敵兵たちを見据えた。
そして、雄叫びを上げて突進していく。
-キィィン-
――敵兵1名が持つ刀剣と、鍔迫り合い。
火花を散らす日ノ国刀を持つ、ワタルの顔は――自信に満ちていた。
――――マキが突進した相手、敵のリーダー格、ヨハン。
おそらく、このショートカットの女性マキが、敵の部隊長だろう。
-ぶんっ-
女性は、遠い間合いから、刀を振った。
難なく、バックステップで躱す。
――だが!その意図は見え透いている。
北夕鮮軍の同胞たちが、より中央へと、より狭いフィールドへと追いやられる!
しかし、相手が刀を振ろうとする瞬間に懐に入るには、もっと近い間合いに近づいていなければならない。
――後ろへ下がるな――活路は、横だ。
左側には、懸命に戦う同胞がいる。
ならば、右側へ――
ヨハンの目が、カッと見開かれた。
視線の先には、銀髪の少女――と、鮮血と共に舞う……親指!?
居合で同胞の右親指を、斬り飛ばしながら――こちらを一瞥もせず 左腕を、ぶんっ、と振った少女の姿を捉えたからだ。
首めがけて、黒く長い金属製の棒が飛んでくる!
-ジャッ-
反射的に、仰け反ったヨハンの首の表皮を、棒手裏剣が通過――わずかに出血。
-ドッ-
紙一重で棒手裏剣を躱したヨハン――の左にいた同胞の後頸部に、それが刺さった。
うっ、と小さな呻き声が聞こえた。
「信じらんねぇ!北夕鮮じゃ、リーダーは部下を刺すのか!」
「なっ……」
日ノ国刀を これ見よがしに振りかぶるマキの大声に、ヨハンは怒りを覚えた。
”この……卑怯者め!”
遠い間合いから、日ノ国刀を大振りしながら声を張り上げるマキ。
「その左手の暗器、なんで部下の背中に向けてんだ?即死すんぞ!血迷ったか!?」
ヨハンは、その表情に強い怒りを湛えつつも、さらに一歩下がった。
――身体も。精神も。
―――― -スアッ-
敵の親指を斬り飛ばしたオウカは、戦いに没頭しようとしていた。
《―――裏切り者が―――――――――――》
無心で戦いに没頭することで、何も考えなくて済む。
激痛の悲鳴を上げる敵兵……腹は、ガラ空き。
居合を放った推進力を左脚に移行――
-ドズッ-
――左前蹴りを叩き込んだ。
「……がああぁっ……」
敵兵は、苦しそうな呻き声を上げて、その場に倒れ込んだ。
……仰向けに倒れた敵兵の視界に、虚無感を湛えたオウカの顔と……自分の喉に向けて急接近してくる――鋭利な切っ先。
-ドズッ-
両目を剝く身体から、最期の断末魔が絞り出された。
――何も感じない。
敵兵の悲鳴、呻き声、断末魔。
それらが紛れもない現実であると、感じる事ができない。
まるで、自覚しつつも抜け出せない悪夢の様だ。
――戦況は、生存者は、味方5名・敵6名。
2名を、私が倒した……殺した。
”実力を低く偽る” という意識が、酷く希薄化している。
他隊員も、自分の戦いに集中していて、違和感を持つヒマなど無いが――これ以上は、”新米隊員として不自然な強さ” と思われかねない。
……後は、他隊員のフォローに徹しよう。
――もう、嫌だ。何もかも。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる