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VS北夕鮮・尖閣諸島編
第62話:螺旋創出③
しおりを挟む――――「やられたらやり返せ。その為には 力が必要だ」
シンプルで無骨な この教えをくれた両親には、感謝している。
この国の教育機関では、こんなこと子供に教える親がいると知れたら、異常者扱いされるだろう。
……しかし、私自身が成長して視野が広がるにつれて、実感を深め続けている。
この教えは――世界の本質だ。
そんな事を考えながら、セツナは座禅を組んでいた。
……座禅を解き、別の部屋へと移る。
正座になり、仏壇に手を合わせる。
両親への祈り。
”今日から稽古を再開します。見守っていてください
――私達、姉弟を”
――命の重さは、平等ではない。
家族の死には、絶望し、涙を流し、丁重に弔う。
しかし、地球上の60億人の内、見ず知らずの1人が死を遂げたといって、(感傷に浸るために利用する奴はいても)いちいち心の底から悲しんでいる奴はいない。
その価値は、限りなくゼロに近い。
そして、正当な理由なく 罪なき他者に非業の死を与えた者――その命の価値は、マイナスだ。
博愛主義は、誰も愛さないのと同じだ。
優しさに、誠意で応えてくれる相手のみを、愛すべきだ。
(あ、恋愛的な愛ではないよ。この場合)
優しさに、更なる要求で返してくるような奴には、愛を寸毫すんごうたりとも与えるべきではない。
誠実な相手と、不誠実な相手を、平等に扱うなど……不義理にも程がある。
博愛主義など、本当に実践しつづけていたら、邪よこしまな奴に喰い物にされる。
いや、この国の政府は博愛主義……多文化共生を謳っているが、その実 日ノ国人に他文化を強制して我慢を強いている。
邪な奴を優遇して、どうする。
……まあ、利権だろうな。
不誠実極まる政治家共と、それを取り巻くクズ企業。
さらにその裏には、日ノ国を侵略したくてたまらない、シーナ国がいるのだろう。
――忍者族から、侍族全体へと協力要請があった。
”帰化歴の有無を調べたいので、戸籍謄本の提出をお願いしたい” との旨の要請が。
恐らく、政界や各省庁にも同様の協力要請が行っているだろう。
忍者族は、純日ノ国人でない者の炙り出し をしようとしている。
(侍族にも国際結婚者はいる。忍者族は国際結婚が不可)
その先で、何をしようとしているのかは、皆目見当がつかないが。
……しかし、何かをしようとしている、何かをするための準備をしている、のは確実。
何かが、変わる……のか……?
――マンションを出た。
川に浮かぶカルガモの親子が見える。
国衛隊の訓練は、まだ再開されない。
だが、何もしないでいると考えすぎてしまうので、とにかく身体を動かしたい。
……いつも通り原チャで行ってもいいが、今日は なんだ走りたい気分だ。
平日昼過ぎの河川敷、人はいない。
全力で走れる!
セツナは、侍族の稽古場へ向かうべく、大地を蹴る――疾走する。
――――霊峰・恐山。
ゴツゴツとした岩場、血の様に真っ赤な水を湛えた赤い藻の池。
観光客たちは、疑似的な地獄を楽しんでいる。
そんな観光客たちを横目に――カズマは、奥へ奥へと進んでいく。
本堂の裏手に回り、そこにいる”従業員”に軽く挨拶を交わすと、”従業員 専用通路”へと案内された。
その先には――山の奥へと続く道が広がっている。
カズマは、歩を進める。足早に、誰もいない坂道をひたすら登っていく。
左に目をやると、その眼下に広がる美しい湖が 夕日を反射して眩しく輝いている。
日が暮れる前に、到着したい――急ごう。
――忍者族は、日ノ国に古来より伝わる山岳信仰の宗教である”修験道”をルーツとする。
故に 忍者族の拠点も、複数の霊峰の奥地に、人知れず存在している。
恐山は拠点の一つであり、総本山がどこに存在するのかは、新米であるカズマには知らされていない――
……1時間ほど歩いただろうか。
鬱蒼とした深い森の中に、突如として長い長い石段が姿を現した。
カズマは、その上へと視線を移す。
視線の遥か先に、小さく見えるのは――
悠久の時を感じさせる巨大な門、そして その両横に控える2名の忍者……門番の姿。
――新米忍者カズマは、石段を一歩一歩 力強く上がっていく。
自分の意向を、意志を、決意を――伝えるために。
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