どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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一章 颯太アテネ

第三話

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ベールで顔見られてないよね……?
そのあと気が立ったのか分からないけど何人かで束になって襲いかかってきた。
取り敢えず攻撃をかわしながら少しずつ攻撃をする。
顔を隠すのは、見られると面倒だから。
それも、特に王家の人間に。
だから、顔にむけての攻撃は特に神経質になってしまう。
それこそ、
「くっ、いったいなぁ!」
体の傷が増えてきた。
そろそろヤバイかな?
くらくらしてきた……
傷口から血が止まらない。
「思い知ったか!この呪い子が!!」
うるさいなぁ……
「おとなしく奴隷になれ!」
嫌だ。
お前ら王族なんて嫌いだ。
うるさくて、嫌で嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い……
剣が宙を舞う。
ベールを切り裂く。
あぁ、取れちゃった。
顔があらわになっちゃった。

突然、歓声が上がる。
何が起こったの?
ベールが外れ、顔が現れる。
「女王イザベラだ!」
「聖女イザベラ様の生き写しだ!」
そっくりだった。

もしかして………
彼は王族なのではないか?
だとしたら……
「王宮に………兄弟がふえるのです。」
だとしたら、嫌だな。
彼も僕の事馬鹿にしそうだし。
「ああ、だから僕はイザベラとまったく関係ない!他人の空似だよ!」
叫び出す。
剣を向けて、殺意のこもった瞳で。
「全員かかってきなよ。魔法で全員蹴散らしてやる。」

顔を見られた。
「ふむ……奴隷ではなく、使用人にしようか。」
あぁ、静かにしてよ。
もう、止めてよ。
魔法を暴発させようとしたとき、
「痛いです!放して‼」
「黙ってろ!良いか?お前はしんでも構わねぇ。とっとと俺達の盾になれ❗」
目の前でそんな声が聞こえた。
髪を引っ張られて無理矢理引き摺るようにして連れてこられた少年。
美しい金髪に青い瞳。
透き通るような白い肌に、整った顔立ち。
(神に祝福された少年ってあの子の事言うんだろうなぁ………)
「てめぇはいるだけで気分が悪くなる!醜いってのはいるだけで罪なんだよ!」
「うぅ………」
そんな言葉を吐きながら、僕に目を向け、魔力を練る。
「こいつをとっとと手にいれてやるぜ………」
「うるさいし、美的感覚ぶっ壊れてるね、君達。」
両腕を切り取る。
辺りには血が広がっていく。
金髪のあの子と、あと無害そうなの以外全員の。
「痛い?あぁ、痛いよね。でも、君達が与えてきただろう傷みとははるかに違うよ?」
腕を治してやる。
「僕は君達貴族の性でさ、結構大変なんだよ?」
また切断する。
「僕を隷属したかったら自分達で僕のところに来なよ。」
また治して、
「まぁ、勝てないだろうけど。」

圧倒的な力の差だった。
僕は震えた。
恐怖が体を支配する………けれど。
(あの強さになら………)
憧れてしまった。
「えーっと、君、大丈夫?」
「え?あぁ、はい!大丈夫です!それよりあなたの方が………」
「ん?あぁ、別に大丈夫。」
僕の心配してくれてありがとう。
なんて、目の前の人は笑う。
とても、綺麗だな、と思った。
同性に対して抱く感情じゃないけれど。
「お礼なんて、言わないでください‼僕は醜いですから…………」
「そんなことないと思うけど?」
「え?」
醜くないってこと?
僕が?
「多分呪いの性でさ、そうなってるんじゃない?」
「そうなんですか?」
「うん!というか………」
「今までよく頑張ったね。偉いと思うし、それだけでも君は十分綺麗だよ。そういう我慢強いとことか?多分僕なら殴っちゃいそう。」
ずっと、欲しかった言葉だった。
醜い、なんて言葉じゃなくて、ちゃんと僕を評価して。
兄弟のいじめにも耐えた僕を誰か、認めて。
頬に液体が伝う。
泣いていた。
「えっ!泣かせちゃった!」
「あ、違うんです、嬉しくて………」
遠くで警報が聞こえる。
「やばっ!そろそろ行かなきゃ……」
「もう、会えないのですか?」
「うーん…君がもっと強くなって……いや、僕を殺せるくらい強くなってから森の塔に来て!」
その時が僕らの再開の時だよ!
そういって、瞬間移動を行った。
(また、会いたいな………)
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