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一章 颯太アテネ
第二十四話
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昔々あるところに女の子がおりました。
女の子は運命の相手を見つけ、その人と結ばれると本気で信じていました。
結婚の約束を結んだはずなのに、いつまで経っても王子様は迎えに来ません。
何故なら、王子は女の子との約束などとうの昔に忘れてしまっていたからです。
だから女の子は....
魔力を失っても、人は意識を保てるみたいだ。
アテネに奪われた主導権を取り戻しながらそう思った。
体の感覚だけはある。
動かせるほどの体力は無いけれど。
でも、音を聞くことはできる。
だから、会話も全部聞いていた。
何もかも、聞いていた。
月という女が僕の記憶だけとっておくと言っているのを聞いた時、なんで僕が?と思った。
僕なんかより、適材はいるだろう?
そう、理久だ。
それでも僕を選んだのは何故なんだろうか。
先輩の叫び声が聞こえる。
続いて何かの爆発音に、誰かの叫び声が聞こえる。
先輩以外の声なんて、まともに覚えてない。
ただ、理久か奏多のどちらかが叫んでいることだけがわかる。
僕の意識も段々と闇に飲まれていく。
「ねぇ、颯太。あなたは凪を愛しているんですか?親愛ではなくて」
そんな問いかけが聞こえた。
それは、自分の声とすごい似ていて。
「当然です...僕は先輩と結婚するんですよ?必ずその未来を掴むんですから...」
そう答えたところで、僕の意識は、ぷつりと切れた。
暗く、何処までも沈んでいくような感覚に襲われる。
頭の中の大事なものがどんどん壊されていくような。
嫌なはずなのに、それは何故か心地良くて。
お母さんのお腹の中にいるようで。
何かが、僕を呼んでいる。
もう少し、この居心地の良い空間に漂っていたいのに。
なのに、何かがそれを阻もうとするんだ。
声は、止まない。
僕はそっと目を開けた。
目を開けると、そこにいたのは、
「颯太...?どうしたの...?」
「先輩!良かった...生きてたんですね...」
颯太が僕を抱き締める。
その颯太の顔が揺らいで、一瞬別の人物が浮かんだ気がして、
「アテネ....?」
「せ..ん、ぱい?」
颯太の僕を抱き締める腕に力が入る。
「アテネってどなたですか?」
「いや...なんか、颯太の顔見たらそんな名前が浮かんじゃって、なんか変だよね、僕」
そう、そんな名前を僕は知らないはずなのに。
なのに、なんで、涙が出てくるの?
涙が止まらないの?
心は、大切な何かを失ったと喚いている。
僕にはその正体が全くわからないのに。
「先輩、先輩には僕がいます、僕はずっとあなたから離れません。だから、泣かないで」
颯太の手が、僕の頬に触れる。
その温もりに、僕は安心する。
だから、僕は気がつかなかった。
この時点で気づいていればあんなことが起こらなかったかもしれないのに。
「先輩には僕以外何にもいらないんです。アテネだっていらないんです。今はアテネの代わりでもいい。でも、僕を見て。僕だけを見てくれるその日まで僕は頑張りますから」
颯太は暗く淀んだ瞳でそうつぶやいた。
女の子は運命の相手を見つけ、その人と結ばれると本気で信じていました。
結婚の約束を結んだはずなのに、いつまで経っても王子様は迎えに来ません。
何故なら、王子は女の子との約束などとうの昔に忘れてしまっていたからです。
だから女の子は....
魔力を失っても、人は意識を保てるみたいだ。
アテネに奪われた主導権を取り戻しながらそう思った。
体の感覚だけはある。
動かせるほどの体力は無いけれど。
でも、音を聞くことはできる。
だから、会話も全部聞いていた。
何もかも、聞いていた。
月という女が僕の記憶だけとっておくと言っているのを聞いた時、なんで僕が?と思った。
僕なんかより、適材はいるだろう?
そう、理久だ。
それでも僕を選んだのは何故なんだろうか。
先輩の叫び声が聞こえる。
続いて何かの爆発音に、誰かの叫び声が聞こえる。
先輩以外の声なんて、まともに覚えてない。
ただ、理久か奏多のどちらかが叫んでいることだけがわかる。
僕の意識も段々と闇に飲まれていく。
「ねぇ、颯太。あなたは凪を愛しているんですか?親愛ではなくて」
そんな問いかけが聞こえた。
それは、自分の声とすごい似ていて。
「当然です...僕は先輩と結婚するんですよ?必ずその未来を掴むんですから...」
そう答えたところで、僕の意識は、ぷつりと切れた。
暗く、何処までも沈んでいくような感覚に襲われる。
頭の中の大事なものがどんどん壊されていくような。
嫌なはずなのに、それは何故か心地良くて。
お母さんのお腹の中にいるようで。
何かが、僕を呼んでいる。
もう少し、この居心地の良い空間に漂っていたいのに。
なのに、何かがそれを阻もうとするんだ。
声は、止まない。
僕はそっと目を開けた。
目を開けると、そこにいたのは、
「颯太...?どうしたの...?」
「先輩!良かった...生きてたんですね...」
颯太が僕を抱き締める。
その颯太の顔が揺らいで、一瞬別の人物が浮かんだ気がして、
「アテネ....?」
「せ..ん、ぱい?」
颯太の僕を抱き締める腕に力が入る。
「アテネってどなたですか?」
「いや...なんか、颯太の顔見たらそんな名前が浮かんじゃって、なんか変だよね、僕」
そう、そんな名前を僕は知らないはずなのに。
なのに、なんで、涙が出てくるの?
涙が止まらないの?
心は、大切な何かを失ったと喚いている。
僕にはその正体が全くわからないのに。
「先輩、先輩には僕がいます、僕はずっとあなたから離れません。だから、泣かないで」
颯太の手が、僕の頬に触れる。
その温もりに、僕は安心する。
だから、僕は気がつかなかった。
この時点で気づいていればあんなことが起こらなかったかもしれないのに。
「先輩には僕以外何にもいらないんです。アテネだっていらないんです。今はアテネの代わりでもいい。でも、僕を見て。僕だけを見てくれるその日まで僕は頑張りますから」
颯太は暗く淀んだ瞳でそうつぶやいた。
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