どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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三章 雫ポイズン

変化

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こんな時に時間切れが来るなんて。
本当に僕はついていないな。
そんなの生まれた時からか。
そんな事を思った。
あの家で生まれて、こんな人生背負ってしまった時点でとっくに詰んでいるようなもので。
最後に僕なんかにはもったいないくらいいい言葉をもらえた。
もうそれだけで全部良いんじゃないかと思えるくらいの言葉を。
僕の人生はきっとこの為にあったんじゃないかって思えるくらい。
一緒に生きようなんて言ってくれるなんてさ。
あはは、と笑ってみたって、今更素直になったって、全部無駄なんだけどさ。
せめて、最後に、これだけ伝えなきゃ。
蛇責めは相当強力な敵だから。
好きな人を傷つけたくないし、僕なんかの所為で死んで欲しくない。
「ごめんね、一緒に行けない。…、ほんとはさ、一緒に行きたいけれどダメなんだ。もう時間切れなんだよね。ほら、こんなとこにいないで早く逃げてよ。僕の中の蛇が君を殺さないうちに。…、大好きな人を傷つけたくないから…。最後の、お願いだからさ」
意識が徐々に浸食されていく。
あぁ、本当に終わっちゃうだなぁ。
蛇の中は一体どんな感じなのだろうか?
せめて楽だったらいいのにな。
水石 雫としての魂が今。
蛇に丸呑みにされた。
 
髪が徐々に黒く染まっていく。
綺麗だった水色の髪がその面影をなくしていく。
まるで別の生物へと変化するように。
雫が形を変えていく。
髪の先は徐々に蛇の頭へと変化していく。
蛇は舌を出し、産声を上げ始めた。
蛇は初めからそうであったとでも言いたげな顔をして居座っている。
独立し、それぞれが蠢いて、とても不気味だった。
綺麗な白い肌に鱗がびっしりとくっつき始める。
その様を、ただ黙って見ている事しかできなかった。
黙ってみる事しか、出来なかったんだ。
なぜか体が一切動いてくれなくて。
「アハハハハッ!!久しぶり、いや何万年ぶりの人の肉体か!!やはり若い体は良いなぁ!動かしやすい!」
開いた瞳は以前のような美しい緑じゃない。
元の色なんてとっくになくしていた。
金色の、蛇の瞳に変わっていた。
あぁ、もう雫じゃなくなってしまったんだと思った。
「あんな暗い箱に押し込めた奴らも、生意気な人魚も皆殺しだ!全部全部壊してやる!私はもう自由なんだ!!」
瞳が僕を捕らえる。
ニタァ、と笑いながらこちらに近づいてくる。
動くことも、逃げることもできない。
一切の行動を禁じられているかのように。
これは、魔法なのか。
けれど、どんなに対抗しようと魔力を練っても全て無効化される。
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