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三章 雫ポイズン
白蛇
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だから私には罪を洗い流さなければいけないといつも教えられていた。
危険な仕事ばかりが回ってくる。
体中が傷ついたって、怪我をしたって自分で何とかしなければいけない。
いつの日か私の周りに人なんていなくなっていた。
優しさなんてものに触れずに生きていた。
別にそれで全然かまわないと思っていたのだ。
そんな疲弊しきってボロボロになっていた私に唯一寄り添ってくれていたのは、一匹の美しい白蛇だった。
誰も近寄らずに避ける私に近づいて、頭からすり寄ってくる。
いつの日か、その蛇に名前をつけた。
今じゃ、なんて名付けたのかすらも思い出せなくなっているけれど。
その名を呼ぶと喜んでやってくる。
人懐っこい蛇だった。
裏を返せば警戒心の薄い蛇だったとも言える。
傍にいてくれた。
それだけで充分だった。
それだけで幸せだった。
周囲から浮き出た私にとって蛇は、何よりも大切な物となった。
だって、他に大切な物なんて無かったから。
愛しい物なんて無かったから。
蛇さえいれば他は何も要らないと本気で思っていた。
そんなある日の事だった。
教会では珍しく肉が出てきた。
私にだけだ。
普段皆の残り物ばかりを食べさせられる私にとっては珍しすぎる待遇で。
「いつも頑張ってくれるお前の為にご褒美を準備したんだ。さぁ、食べてくれ」
私は涙を流しながらお礼を言った。
こんな事初めてだったからだ。
黒い皿の上に置かれた肉は、肉汁を垂らしながら、食べられるのを今か今かと待っているように見えた。
傍に肉厚のポテトが添えられ、ソースがかけられている。
生まれて初めて食べた肉の感触は、中々弾力があって、懐かしい味がした。
おかしいな、一度も食べたことないのに。
なぜかあの白蛇の顔が浮かんでくる。
奇妙な感覚と、今まで味わったことのないような美味に舌は歓喜するけれど、脳みそは素直に喜ばなくて。
ちぐはぐな心のまま蛇に会いに行った。
なのに蛇は来てくれなくて。
不思議に思って。
何故か焦り始めて。
心臓はドクドクと脈打ち、胃の中で何かが暴れまわっているような、奇妙な感覚にずっと襲われている。
まるで、思い出してとでもいうように。
その時、話声が聞こえたんだ。
あいつ本当に馬鹿だよな。あの肉何の肉かも知らずに食ってさ。傑作だったよ。泣いてお礼を言ってきてさ。これだからキメラは」
「本当だよな。あんなに大切に飼ってた蛇なのに。あ、いや、飼ってるじゃなくて友達、だっけな。あぁ、こいつは共喰いならぬ友喰いってな!」
危険な仕事ばかりが回ってくる。
体中が傷ついたって、怪我をしたって自分で何とかしなければいけない。
いつの日か私の周りに人なんていなくなっていた。
優しさなんてものに触れずに生きていた。
別にそれで全然かまわないと思っていたのだ。
そんな疲弊しきってボロボロになっていた私に唯一寄り添ってくれていたのは、一匹の美しい白蛇だった。
誰も近寄らずに避ける私に近づいて、頭からすり寄ってくる。
いつの日か、その蛇に名前をつけた。
今じゃ、なんて名付けたのかすらも思い出せなくなっているけれど。
その名を呼ぶと喜んでやってくる。
人懐っこい蛇だった。
裏を返せば警戒心の薄い蛇だったとも言える。
傍にいてくれた。
それだけで充分だった。
それだけで幸せだった。
周囲から浮き出た私にとって蛇は、何よりも大切な物となった。
だって、他に大切な物なんて無かったから。
愛しい物なんて無かったから。
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そんなある日の事だった。
教会では珍しく肉が出てきた。
私にだけだ。
普段皆の残り物ばかりを食べさせられる私にとっては珍しすぎる待遇で。
「いつも頑張ってくれるお前の為にご褒美を準備したんだ。さぁ、食べてくれ」
私は涙を流しながらお礼を言った。
こんな事初めてだったからだ。
黒い皿の上に置かれた肉は、肉汁を垂らしながら、食べられるのを今か今かと待っているように見えた。
傍に肉厚のポテトが添えられ、ソースがかけられている。
生まれて初めて食べた肉の感触は、中々弾力があって、懐かしい味がした。
おかしいな、一度も食べたことないのに。
なぜかあの白蛇の顔が浮かんでくる。
奇妙な感覚と、今まで味わったことのないような美味に舌は歓喜するけれど、脳みそは素直に喜ばなくて。
ちぐはぐな心のまま蛇に会いに行った。
なのに蛇は来てくれなくて。
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心臓はドクドクと脈打ち、胃の中で何かが暴れまわっているような、奇妙な感覚にずっと襲われている。
まるで、思い出してとでもいうように。
その時、話声が聞こえたんだ。
あいつ本当に馬鹿だよな。あの肉何の肉かも知らずに食ってさ。傑作だったよ。泣いてお礼を言ってきてさ。これだからキメラは」
「本当だよな。あんなに大切に飼ってた蛇なのに。あ、いや、飼ってるじゃなくて友達、だっけな。あぁ、こいつは共喰いならぬ友喰いってな!」
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