どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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三章 雫ポイズン

これが愛という感情なのだ

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あぁ、頼むからその表情をやめてくれ。
君には喜びが似合うから。
満開の笑顔を見せてくれ。
泣きそうになんてならないでよ。
どうせ泣きそうになるならば、生きたいと、生に必死に縋ってくれよ。
「…、どうせ殺されるならあなたが良いなと思ったの。大好きなあなたと一つになりたいと思ったの。それって、だめかなぁ…」
涙が一粒、落ちた。真珠となって落ちた。
「ねぇ、ローズ。私を食べてよ。私の魂をあなたの中に納めて欲しいの。お願い、私をあなたのものにして。ほかの誰も引き裂けないように」
「…、分かった。ラブの全てを食べよう。魂も私の中へ納めよう。だから泣かないでくれ。嫌なんだ。君の涙を見るのは」
ラブを食べた。
泣きながら全てを食べた。
髪も、瞳も、骨も、肉も。
一つ残らず食べた。
ラブは最後まで笑っていた。
後から知ったことだが、ラブは人間のところに嫁ぐ事が決まっていたらしい。
けれど、ラブは私と結婚したいといって、その誘いを突っぱねた。
その結果、人魚達の怒りを買った。
どうやら、人魚達はラブを人間に差し出す事で、自分達の立場向上を狙ったらしい。
けれど、はっきりラブが拒絶したせいでその計画も水の泡となった。
人魚達は、はじめは飢餓で殺そうとしたらしい。
けれど、それじゃあ足りないと。
奴隷として人間の国に売ろうとした。
それを知ったラブはそんな事になって、私と離れる位なら、と。
私に食べられる事を願った。
もしも私がバケモノじゃなかったら?
彼女と同じ人魚だったなら、彼女は死なずにすんだ?
それとも、私がここに来なければよかったのか?
全部が全部どうでも良くなるくらいの自己嫌悪が私の中に渦巻く。
何をしたって無駄だと、言われている気分だった。
全てを腹に納めた後、私は閉じ籠った。
何もかも拒絶したくて。
自分に関わる全てを見ないふりしていたくて。
これで二回目だ。
愛しいものを食べたのは。
二回目なんだよ。
これからもっと増えるのか?
いや、増えない。
だって、ラブ以上に好きになれる人なんていないから。
自身の食べるという行為に嫌気が差した。
もう何も食べたくなかった。
口に入れて、ラブを汚したくなかった。
ほかの物と混じらせたくなかった。
ラブのままにしたかった。
だからこれ以上何も口に含まないと決めた。
何を差し出されても固く口を閉じたままの私に、人魚も呆れたようで。
人間達も私を回収する気が起きないようで、そのまま放置された。
その方が私にとっては好都合だった。
 
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